45歳でカラマーゾフの兄弟を読む。十三日目。

今日は224ページから243ページ。

第三編『好色な男たち』
「一.召使部屋で」と「二.リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ」の終わりまで。

カラマーゾフ家がある場所は市の中心部からは遠く、かといって郊外ではないところ。古い家だが中二階がある灰色のペンキの平屋で、赤いトタン屋根の家。

そこそこに広い家でネズミもたくさんいたがフョードルは「夜一人でいても寂しくない」と嘯いています。そんな家に次男の岩男と二人で暮らしているフョードル。
離れには召使部屋があり、そこには古くからの召使である栗氷とその妻・丸川、そして若い召使の酢飯男が住んでいます。

栗氷は頑固一徹な男でフョードルとは正反対の性格だったが、なぜかフョードルに信頼されていました。なお、妻の丸川との間に子供はいません。

以前二人の間に子供はできたのですが、生まれて二週間後に病気で命を落としていました。
その赤子は指が六本あり、栗氷はそれをひどく気にしていました。
赤子が亡くなった晩、庭から赤子の鳴き声が聞こえました。

不思議に思って栗氷が庭に出ると、浮浪者の女・リザヴェータ・スメルジャーシチャヤが虫の息で倒れていました。
そばに、今生まれたばかりの赤子がいました。

ちなみにスメルジャーシチャヤは”ひどい悪臭”という意味です。

さて、ここから「リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ」の章に入ります。

リザヴェータがフョードルの家の庭で倒れ子供を産んでいたことは、栗氷にあったある疑惑を決定的にしました。

リザヴェータは身長140センチほどの小柄の女で口がきけませんでした。
完全に白痴の顔をしていました。
一生の間、夏も冬も粗末な麻の肌着と裸足で暮らしていました。
地べたや泥濘で寝るので髪の毛は土や泥にまみれていました。

リザヴェータの母はずいぶん前に死んでいました。
父はアル中のイリヤという男で裕福な町人の下男をしていました。
リザヴェータが家に帰るとイリヤは彼女をひどく打ち据えました。
もっともリザヴェータは家に帰ることはめったになく町を放浪していました。みなリザヴェータに食べ物をあげたので食事に困ることはありませんでした。

イリヤが死んだ後も、リザヴェータは町の人に愛されました。
リザヴェータは人の金を盗むような人間ではなかったからです。

ある夜、酔っ払い五、六人が通りを歩いていると、生垣で眠るリザヴェータを見つけました。
「誰でもいいけどさ、この獣を女として扱うことができるって奴いる?」
誰かが言いました。
「もちろんできますよ、ていうか大いに望むところですよ。ていうか超刺激があってイイよね」
その一団の中の誰かがそう言いました。
言ったのはフョードルでした。

この出来事があったのは、フョードルの最初の妻・アデライーダの訃報をフョードルが受けた頃です。訃報を受けたフョードルは飲み歩き乱交の限りを尽くしていました。

リザヴェータに対するフョードルの発言を聞いた一団は「けがらわしい」と言い放ち、フョードルを残して全員帰っていきました。
「俺もあのとき皆と一緒に帰ったよ。決まってんじゃん」
そうフョードルは言いました。
だが、五、六カ月もするとリザヴェータのお腹は大きくなっていました。

フョードルの仕業だと町中が噂しました。
だが栗氷だけがそのうわさを否定し、火消しに回りました。

その後、リザヴェータは裕福な消化の未亡人に保護され、子供を産むまで家に引き取られました。
そして、もう生まれるというとき、リザヴェータはその家を抜け出してフョードルの家の庭まで来て、子を産んだのでした。
栗氷と丸川はリザヴェータと赤子を保護しました。
ですが、リザヴェータは助かりませんでした。

栗氷と丸川は残された赤子を引き取りパーヴェルと名付けました。
その後、フョードルはその捨て子に名字を与えました。
母親のあだ名であるスメルジャーシチャヤ(ひどい悪臭)にちなんでスメルジャコフ(酢飯男)という名字でした。

この酢飯男の話はおいおい触れることになります。

今日は以上であります。
昨日に引き続き、どうしようもない業を背負ったフョードルという男の巨大なヤバさが浮き彫りになった回であります。

明日に続きます。


本を買って読みます。