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辻ノ名草
2023年6月22日 18:11
幼少期の記憶。誰かが僕に何かを言った。そして去っていった。他は知らない。だけどどんな顔してたかだけ少しだけど覚えてる。微笑んでた。僕はそれに恐怖を憶えた。 僕の記憶は一年前から。それ以前のことはあまり覚えていない。唯一はっきりと覚えているとすれば、名無しさんとの会話。僕の唯一の友達。今でも一緒にいる。 いつか思い出してしまう気がする。思い出してはいけない気がする。なのに思い出してみたいと
2022年11月7日 21:47
「僕の声、聴こえる?」 少年は人形に話し掛ける。「ねぇ」「ダメだ。聴こえてない……お母さん、この子は周りの音が聴こえないの?」 少年が、そばに居た彼の母に問う。「そうだよ」「いつまで?」「……死ぬまでずぅっと」「この子は目も見えないの?」「うん。そうだよ」「……死ぬまで?」「うん」「喋れる?」「喋ることもできない」「へぇ」 そして少年は、目の前に置いてある人形をじっ