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VANQULLWAR’Sの目下奴言水さん
初めに
「VANQULLWAR‘s」(ばんくるわす)というバンドでリーダーとして作詞作曲を担い、かつ「立川dancingず」というソロで関西を主に活躍する、目下奴言水(もっかどごんすい)さんが作る歌詞にはその語感に不思議な響きがあり、どういう人なのか?とその人物に興味を持ち、ブログでその魅力をまとめてみようかな?と思いました。ただ、このブログを読んだ人に、私の文章力でそれが伝わるか?は、知らんけど(笑)
きっかけは「服部さん」という曲
今年、3月に「淀川パリジェンヌ」というバンドのドラマー「タカシ」さんから、ネット視聴によるライブのお誘いがあり、淀パリさんと「穢土川番狂わす」のツーマンライブを見ました。
![](https://assets.st-note.com/img/1666767862209-IBzHd1yqIO.jpg?width=800)
まず目下奴言水さんの話を始める前に、上記ライブでの対バンである「淀川パリジェンヌ」について・・
淀パリさんを、初めて見た時、大袈裟かもしれないけど、まあ私は衝撃を受けましたね。私の乏しいバンドに関する知識では、今まで見たこともないステージ構成(曲の流れ)でした。次、何が来るか?全く予測不能。ミクスチャーロックという言葉を初めて知りましたね。
で、「穢土川番狂わす」(現在は改名し、VANQULLWAR’S)ですが、最初フライヤーを見る限り、正直あまり興味を持たせるバンドという印象は受けませんでした。が、・・いざライブを見てみると、このバンドも淀パリ同様、「なんじゃこりゃー!」のバンドでした。ライブで印象に残ったGOZARUという曲があるんだけど、あくまで私の個人的意見ですが「講談の口調にロックのリズムとメロディーが掛け合わされたもの」という今まで聞いたこともないという曲という感想です。
そして、ライブの最後に、「服部さん」という曲が始まる。
これも、大袈裟ですが、衝撃を受けましたね。「曲」というより近所のおっちゃんが、若いもんに「説教」する?という感じかな〜?でも、正味やでと、「俺はこう思うぞと、言い切っている」けど、必ず「知らんけど」とオチがある(笑)俺の主張に対して批判は受け入れる、俺が間違っていたら、それはゴメンと謝る。(世の中に絶対の正解はないという基本認識)まあ、柔軟性のある、言い切りですね。それが、温かさ、優しさにもつながる・・そんな感じかなぁ?
「穢土川淀川戦争 完結編」というタイトルのこのライブの話に戻るけど、
音の万華鏡のような変幻自在な展開をする、淀パリと、歌詞(言葉)の万華鏡で変幻自在な展開をする「VANQULLWAR’S(この時は穢土川番狂わす)、両バンドもその個性でステージ上からお客に迫ってくる・・このツーマンライブは素晴らしかったです!
目下奴言水さんという人はどういう人なのか知りたい
まあ、上記に色々興味を持ったきっかけ(ライブを視聴)を書いたけど、不思議な語感の響きを持つ作詞をする、目下奴言水さんってどういう人なのか?何か知ることができる、コンテンツはないか?と色々探し、以下の対談の動画を見つけました。
引用したのは、光源レコードのオーナーである高垣氏との、今年の7月頃の対談の動画。光源レコード(2021年5月14日に尼崎杭瀬中市場にて開店! 日本のインディーズミュージックと中古CD・レコードを売る店)引用は、対談の#2だけど、#1から#4で構成され、全部みると1時間近くになる。
#1の対談で、目下奴言水さんは、小学校4年の時に始まった「ゆとり教育」が自己の精神形成に大きな影響を与え、それは教育の制度改革に対して肯定的ではなく、否定的であり小学生レベルの語彙力では相手(教師)に上手く伝えることができず、絶えず怒っていて、6年生になる頃はクラスの問題児でもあり、1年間で担任が3回も変わるほどだったという。
対談は、歌詞の語感についてがテーマであり、「ゆとり教育」について、あまり深くは掘り下げてはいないけど、目下奴さんの発言で
①土曜日が毎週休みになり、それで「学校に行かなくていい」と喜ぶクラスの奴は誰もいなかった。休みだから、友達と遊ぼうという気にはならなかった。
②何をしていいか分からないから、町の図書館行って、ひたすら読書をしていた。
③世間で、「ゆとり教育がいい」と思われることでも、社会に出れば価値観のギャップに悩むことになるのではないか。自分のクラスの同級生で結婚した者は、みんな離婚した(笑)
④僕らの2〜3年上の先輩達に認められていた価値観が、僕らの時に認められなくなった。それに戸惑いがあった。
以上、子供の時に感じた、戸惑い、怒り、鬱屈を「読書」に救いを求めたのは、なんとなく分かりました。私の憶測だけど、目下奴言水さんは、「自分は何故それをするのか、そこに意味がなければ動けない」と発言しているけど、「ゆとり教育ってのは、土曜日が休みなれば、ゆとり教育なのか?そこに意味があるのか?」自分が選択したものではなく、勝手に国のほうから制度の変更に従うように求められ、後には「ゆとり世代」という勝手に作られた「カテゴライズ」に一律に世間から見られる「反発」だったのかな?
以上、この対談を見て、少し、目下奴言水という人が分かった気がしました。
歌詞を作る上での語感の温度
![](https://assets.st-note.com/img/1666776737188-UtcOa3ZeoK.jpg?width=800)
対談で、目下奴さんは、愛読書として以下の3冊を挙げています。
①トルストイ「人生論」
②宮沢賢治詩集
③立川談志「現代落語論」
対談の動画を見ると、この3冊、ボロボロです。繰り返し、何度も読んでいることが分かります。以下に、愛読書たる所以(何を学んだか)を彼の発言で要約します。
まずトルストイの人生論
「人生を豊かにするのは考え方次第」
思考というものは、柔軟でなければならない。
コロナ禍というのは、確かに災難ではあるが、「自分は今、
それを楽しんでいる」「コロナでできないことよりも、工夫で
何かできることはないか?それを探す楽しみがある」「今は、
ステージ上での発言はコンプライアンスに配慮をしなければならず
言葉も選ばなければならないが、お客さんを楽しませるには、
言い切ることが絶対必要。だから、それをアウトにならず、どう上
手く表現するか? これを工夫する楽しみがある」
宮沢賢治詩集
「宮沢賢治の詩集を、自分は3,000回読んだ。それは何回読んでも、
詩(言葉)の意味が分からなかったから」「ただ、分かったことが
ある、宮沢賢治は、言葉の語感を『色』と認識し、それを『詩』と
いうキャンバスで、言葉の色を塗っているのだ」
この発言で、目下奴言水さんは、自身の作曲作詞に、宮沢賢治から大
きな影響を受けているのかな?と思いました。
キーワードは「言葉(語感)には温度がある」目下奴言水さんの、曲
作りは以下の手法をとるそうです。
1)まず、この曲は言葉を何度にするか決める(「服部さん」という曲
は絶対20度以下にはしないという設定があったようです)
例として、「ミルクレープ」という言葉があったら、それは何度で
あるか?物資として捉えるのではなく、目に入る「字体」「フォン
ト」で温度を決める。
2)温度が決まったら、その温度に当てはめる「言葉」を羅列する。言
葉の羅列を俯瞰して、メロディーが浮き上がってきたら、それを打
ち込んでいく。
3)以上の作業を、町の行きつけの喫茶店で行い、家とは離れた作業部
屋で完成させ、それを聴きながら家に帰る。家で、「これは違う
な」、と思っても、家では修正しない(できない)一晩保留とな
る。
まあ、こう発言をまとめてみたけど、なかなか、第三者に伝わるかは分らない(笑)・・難しい。ただ、宮沢賢治は、『言葉』を『色』と認識し、様々な色を塗ることで詩を完成し、目下奴言水さんは、『言葉』を『温度』と認識し、その温度帯で曲を完成させる。結果として、読む人、聴く人に、独特の語感を楽しませ、感動させる。これは事実なんだろうな。
立川談志「現代落語論」
目下奴言水さんの、山下達郎の引用の発言があります。
「何百人何千人の聴衆を前に感動喜ばすことは、SHOWであり、演者の目の前立った1人のお客を喜ばすことができることは、それは「芸」である」
お金を払ってライブハウスに来る人に「芸」を見せる。これが、目下奴さんの決意であることが分かりました。その「芸」見せるためのバイブルが、立川談志の「現代落語論」であると。
上記で触れた、GOZARUという曲、歌詞がなんというか、講談、落語の語りのように、語感から聞き手は、その情景が浮かんでくるという、私の勝手な解釈ですが、感想です。この曲も立川談志の影響を受けているのかな?間の取り方とか・・ドラムのスネアの音が講談の「張扇」のように聴こえるんだけど(笑)
終わりに
現在31歳(2022年7月現在)の目下奴言水さん、今の心境を一言で言い表すと「全てを許す」のようです。対談で、手塚治虫の「火の鳥」や「ブッダ」にも触れているけど、輪廻転生というか、「ゆとり教育」の目的は「多種多様な経験をして人間性を豊かにするゆとりを大切にする」とあります。結果として、目下奴言水さんは、長い年月の間に、読書を通じ怒り、憎しみから「悟り」を開き、「全てを許す」という心境になったということは、この「ゆとり教育」の目的を自ずと実現したのではないですかね?知らんけど・・
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