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3. 根津のヴァナキュラー:地域とカメが織りなすアートプロジェクト


根津の街を歩くと、至るところで「カメ」のモチーフを目にします。ふれあいゾーンの路面サインや、観音通り商店街の店先、そして根津神社の池の中にまで、カメが潜んでいます。このカメたちは、単なる装飾や偶然の産物ではなく、根津のヴァナキュラー(地域特有の文化や象徴)として、地域の記憶と未来をつなぐ存在となっています。


カメから引き出す根津とのつながり

「根津‧営みの美術館」プロジェクトでは、地域の人々との関わりを最も大切な要素としています。初年度には、根津地域に既に存在するさまざまなモチーフを探し、その中でも特に目立ったのが「カメ」でした。文京区のふれあいゾーンを象徴するカメのサインや、カメを飼っている商店主、そして100年以上の歴史を持つ根津神社の池に住むカメたち。なぜこの地域でこれほど多くのカメが見られるのか、地域の方々に尋ねても、その理由は謎に包まれています。

住民と共に描く「カメ」

私たちは、この謎に満ちた「カメ」を、地域のヴァナキュラーとして捉えました。地域の住民にカメのグラフィックを配り、なぜカメがここにいるのか、カメにどんな意味があるのかを話し合うきっかけを作りました。子供からお年寄りまで、また素人から作家まで、多くの方々がこの活動に参加し、自分なりの「カメ」を描いてくれました。

特に観音通り商店街では、店主の方々が自分のお店のイメージをカメに反映させたアレンジをしてくださり、個性豊かな作品が生まれました。こうして描かれた「カメ」たちは、フラッグという商店街ならではのメディアに仕立て上げられ、商店街を彩る一つの風景となりました。

商店街のお店の方々や地域の住民が協力して作り上げたフラッグは、根津という街の持つ温かさや、地域のつながりを感じさせるものとなりました

ワークショップのご案内
近々、根津の住民と写真家、地域デザイナー、民俗学者が参加するワークショップを開催します。このワークショップでは、地域の風景や日常を新たな視点から捉え、根津の魅力を再発見する機会となります。ぜひ、詳細は以下のURLをチェックしてください。
https://nezuartworkshop.peatix.com/


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