龍王の帰還

世界から龍が駆逐されたと宣言されてから10年。
人間達の国では争いが絶えず、聖都エチオピアであっても、度重なる戦乱で荒廃は酷いものだった。多くの国民は、オールドエルフ達がそうしたように、戦乱の拡大を避けるように黒き森を越えて、涅槃へと疎開。
いまやエチオピアは、疎開し遅れた他国の難民で溢れかえっていた。

その様子を眠るように見つめていたのが、本当の意味での「最後の龍」にして「龍の中の龍」と目されているグラドグリであった。彼は今、エチオピア最深部の地下迷宮にいた。

しかし、偶然の経緯から、その地下迷宮に逃げ込んできた孤児達に見つかってしまう。しかもあろうことか真名まで知られてしまい、孤児達の命令に従わされる羽目になる。

実は孤児達のリーダー、レーンは龍使いの血筋を引く存在だったのだ。

世界最後の龍は、孤児達一団を引き連れてエチオピアを脱出。
孤児達の安住の地を目指す、彼自身にとっても最後となる冒険に旅立つこととなる。

[キャラクター]

グラドグリ:
世界最後の龍。6度の大戦では何れも人間側の軍に属し戦った、心優しき龍。
先大戦が終わった後に、それでも争いが避けられぬ人間達に嫌気が差し、自らの翼を噛み切ると、姿をくらましていた。実は寿命そのものも尽きかけようとしている。4対8本の足が最大の特徴。トト山のマグマよりも熱い火炎を吐き、100の呪文を一気に詠唱できるなど、無類の戦闘能力を持つ。

レーン:
3世代に渡る龍使いの血筋を引く少年。実は彼の祖父とグラドグリは共に戦った経験もある。孤児達のリーダーとしての資質も高く、後に自らの王国を築きあげるまでになる。

ルトビア:
レーンの幼馴染。精神面の問題で話すことができない。泳ぐことが得意で、セイレンの守護を受ける巫女になる。後にレーンの妻となる。


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