ねくすぽすと

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記事一覧

百万本のバラ

ねくすぽすとリバイバルフェスタvol.1 『百万本のバラ』 脚本 たかはしともこ 音楽監督・ピアノ演奏 かねこしょういち  演出 冨士枝鈴花  ◆絵描き  ◆女優  ◆花…

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最後の魔女の物語

 ヴィオラ・ホワイトは生まれてからずっとひとりぼっちでした。孤児院の先生が言うには、まだ赤ん坊のころ、門の前に置き去りにされていたというのです。随分ひどい親もい…

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アントニーの憂鬱

 太陽が顔を出す少し前の、薄暗い朝のことでありました。私はこの、大きなお屋敷――風光明媚な港町ポートヴェールで一番大きなお屋敷の入り口に立ち、とある人を待ち構え…

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『Marry meeeeeeeeee!』

ねくすぽすとミュージカル企画vol.4 『Marry meeeeeeeeee!』 脚本  たかはしともこ 音楽監督   原嘉宏 S#0    開演10分前。オープニングパフォーマンス。 ♪M0「…

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『Dream Nights』

ねくすぽすとミュージカル企画vol.5 『Dream Nights』 脚本・演出 たかはしともこ 音楽    原嘉宏   S#0-1   開場1分前    風の音と木々のざわめきがかすかに…

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百万本のバラ

ねくすぽすとリバイバルフェスタvol.1
『百万本のバラ』

脚本 たかはしともこ
音楽監督・ピアノ演奏 かねこしょういち 
演出 冨士枝鈴花 

◆絵描き 
◆女優 
◆花売り 
◆浮浪者 
◆支配人 

◆プロローグ  薄暗いバー。 
 男がピアノを弾いている。 
 バーの雰囲気に合った、ムーディーなメロディである。 
 カウンターでは、薄汚い身なりの男が酒を飲んでいる。 
 グラスの中身を一

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最後の魔女の物語

 ヴィオラ・ホワイトは生まれてからずっとひとりぼっちでした。孤児院の先生が言うには、まだ赤ん坊のころ、門の前に置き去りにされていたというのです。随分ひどい親もいるものね、と物心のついたヴィオラは思いました。孤児院での生活は窮屈で退屈で、あまり楽しいものではありませんでした。けれどもヴィオラは寂しくありませんでした。なぜなら、ヴィオラが悲しくて辛くて枕を濡らす夜には決まって、どこか遠くの方から、優し

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アントニーの憂鬱

 太陽が顔を出す少し前の、薄暗い朝のことでありました。私はこの、大きなお屋敷――風光明媚な港町ポートヴェールで一番大きなお屋敷の入り口に立ち、とある人を待ち構えておりました。どうしても、誰よりも早くその人に会わねばならぬ理由が、私にはあったのです。このお屋敷に執事として仕えて早十数年。祖父の代から、変わらず忠誠を誓ってきたにも関わらず、今の私の心持ちは、まるでひどい裏切り者にでもなったかのようであ

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『Marry meeeeeeeeee!』

ねくすぽすとミュージカル企画vol.4
『Marry meeeeeeeeee!』 脚本  たかはしともこ
音楽監督   原嘉宏

S#0    開演10分前。オープニングパフォーマンス。

♪M0「Overture」 
 パパ
  そうだ 旅に出よう
  まだ見ぬ地へ
  旅に出よう そうだ 旅に パパ  皆様、当船はもうまもなくポートヴェールへ到着いたします。到着に先立ちまして、お客

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『Dream Nights』

ねくすぽすとミュージカル企画vol.5
『Dream Nights』
脚本・演出 たかはしともこ
音楽    原嘉宏

S#0-1   開場1分前
   風の音と木々のざわめきがかすかに聞こえ始める

♪「おやすみ伯爵の調べ」

   舞台中央に一人の少年
   あたりは薄暗く、はっきりと顔は見えない
   うさぎのぬいぐるみを固く抱きしめている

   高台より、少年を見つめる一人の女
   

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