山崎にう

犬とミステリと美味しいものが好き。埼玉県秩父市在住。 ASD確定診断済。天候変化に弱い…

山崎にう

犬とミステリと美味しいものが好き。埼玉県秩父市在住。 ASD確定診断済。天候変化に弱いひきこもり。 20代の暗黒期を経て得た結論は「正誤より苦楽を考える」「論理より合理を優先する」。 普段の生息地はtwitterとpixiv(ID:738811)です。

マガジン

  • 大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。

    オリジナルミステリ小説です。都市伝説×民俗学×ミステリ

最近の記事

雨穴著『変な家』文庫版・読了後の考察~結局、バラバラ遺体は誰だったのか~

解説を読んで考えたこと 今話題の雨穴著『変な家』の文庫版を電子で購入して読んでみた。間取り図や人物関係図が豊富で、会話を主体に進む、さくさく読めるホラーミステリーである。 娯楽作品としてはライトに楽しめて申し分ない。 しかし、文庫版の解説で、少し引っかかった箇所がある。 解説を書いた栗原氏はその一例として、書籍化の際に省かれた自身の「憶測」を、文庫化するだけの時間が経過したのだから、という理由で解説に書いている。 これはオマケが読めたようなお得気分になれていいのだが、そ

    • ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場へ行ってみた。」第6話

      8後半 「お風呂ありがとうございましたー」 23区内ワンルーム賃貸ではあり得ない、足を余裕で伸ばせる広さの湯船を堪能して俺が釈氏家の一階のリビングルームに戻ると、木目の大テーブルの上はきれいさっぱり片づけられ、煌々と光る照明の下、そこにあるべき釈氏家の人々の姿もどこにもなかった。 戸惑ってあたりを見回すと、リビングルームからサッシを抜けて直接出られる庭のデッキ上で、グラスを掲げている背高の人影が声をかけてくる。 「小中くん、こっちこっち」 いつの間に起きたのだろう、那由多さ

      • ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第5話

        7 俺も香西同様、奈津子さんの厚意をありがたく受けとって、完全日焼け防止&虫除けファッションになることにした。奈津子さんは日焼け止めのラッシュガードを上下身につけているが、俺たちは首元や手首、足首の隙間を網で完全に覆い、虫の侵入を固く防止する虫除け防護服を身につける。幅広帽子も虫除けネット付のもので、俺はテレビの特集で見た、スズメバチ駆除業者の格好を連想した。 「蚊はもちろん、草原近くにはアブやブヨもいるし、うかつに手で払ったりしたらかえって刺されるから、気を付けてね」 奈

        • ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第4話

          6 「ぎゃーっ、落ちる、落ちる、なんでガードレールないんすかここはぁ!」 旧久鼻集落へと向かう山道を登る軽ワゴン車の中で、俺は恐怖のあまり叫んでいた。 久冨家の前を通り過ぎ、車が林の中の坂道を上る本格的な山道に入る直前、なぜか香西が「集中して考えたいことがあるから」と、俺に席の交換を持ち掛けてきたのだ。視界に入る情報が少ない方がいい、という彼に、そういうものか? と思いつつ俺は了解し、俺は助手席、香西は運転席側の後部座席に乗る位置を変えた。 五分後の俺の状態が冒頭である。

        雨穴著『変な家』文庫版・読了後の考察~結局、バラバラ遺体は誰だったのか~

        • ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場へ行ってみた。」第6話

        • ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第5話

        • ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第4話

        マガジン

        • 大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。
          6本

        記事

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第3話

          第1話 第2話 3の続き セツさんの夫で久鼻集落出身であるという老人、久冨武市は、奥の和室で座布団の上に胡坐をかいていた。彼の前にあるのは巨大な樹木を輪切りにして、そのうちの一枚を天板にしたと思われる低いテーブルで、光沢ある表面の艶の奥には、幅広の年輪が刻まれていた。ずいぶんと立派で高価そうだ。それを言うなら、この部屋の調度品すべてがそうなのだが。 武市氏は妻と同じく、シワだらけでくしゃくしゃの顔であった。頭頂部に髪の毛はもはやなく、白髪が頭部の周囲に薄くかろうじて残っ

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第3話

          以前、締切までの目算が甘いと言われたことがあり、そうなのかな、とよくわかってなかったですが、本当甘かったです。出かけた日や翌日に残る疲れとか体調不良とか勘定に入れるべきなんですね。今日、よーくわかりました。23日に完成できないかもしらん…。自分で決めた締切すら守れないとは…反省。

          以前、締切までの目算が甘いと言われたことがあり、そうなのかな、とよくわかってなかったですが、本当甘かったです。出かけた日や翌日に残る疲れとか体調不良とか勘定に入れるべきなんですね。今日、よーくわかりました。23日に完成できないかもしらん…。自分で決めた締切すら守れないとは…反省。

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮るために都市伝説の現場に行ってみた。」ですが、7月23日中に最終話まで投稿できるよう執筆していきます。締切がないといつまでもダラダラ書いてしまいそうなので、ここで宣言しておきます。

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮るために都市伝説の現場に行ってみた。」ですが、7月23日中に最終話まで投稿できるよう執筆していきます。締切がないといつまでもダラダラ書いてしまいそうなので、ここで宣言しておきます。

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第2話

          第1話 https://note.com/newyamazaki85/n/nb21096600c88 2 奈津子さんは俺と香西の無言のやり取りをどう捉えたのか、嬉しそうに、 「来てくれてどうもありがとうね! 今夜はうちに泊まって。母さんがごちそう作るって張り切ってるのよ。小中くんはお酒飲む人?」 と尋ねながら俺たちを乗ってきた軽ワゴン車に誘導した。 「飲めなくはないですけど、あまり飲んだことないです。あの……」 「そう。父さんが浮かれていいお酒買っちゃったのよ。礼一くんは

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第2話

          note創作大賞のタグをつけていた投稿済みの『ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮るために都市伝説の現場に行ってみた。」第1話』の記事ですが、諸事情で締切までに完結まで書き終わらないことが確定したためタグを外しました。

          note創作大賞のタグをつけていた投稿済みの『ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮るために都市伝説の現場に行ってみた。」第1話』の記事ですが、諸事情で締切までに完結まで書き終わらないことが確定したためタグを外しました。

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第1話

          あらすじ 有名になりたい大学生の小中高大は、埼玉県父冨市の山奥にある廃集落・旧“久鼻集落”でバズり動画を撮ろうとしていた。 廃墟探索でその集落を訪れた若者が、出来心である廃屋から“おたまさま”とよばれる人形を持ち出し、事故を起こしたという話が、現在、ネット上で「“おたまさま人形”の呪い」として話題となっているのだ。高大は父冨出身の同期生・香西礼一に同行を依頼し、盛夏の強い日差しが降り注ぐ中、ふたりは彩部線父冨駅に降り立った。 果たして高大の撮影する動画の内容は。 そして「“

          ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場に行ってみた。」第1話

          黒丸白丸の何だか救いがない会話(ひとりブレスト対話式)

          8050問題の字面が目に慣れて久しい 黒丸「7040問題が8050問題に移行して久しい昨今、9060問題と名称がまた移行するのも時間の問題だな」 白丸「いきなり随分な導入だね。ひきこもりや福祉に関心がある人しか意味がわからないよ」 黒丸「いいんだ。頭の中の整理のために会話形式でブレストしてるだけだから」 白丸「舞台裏を明かすのが早い」 黒丸「さらに首相は『異次元の少子化対策』とか口にして大手新聞社の投稿欄でSF小説読書中、などと大喜利のネタになる始末。第3次ベビーブームを牽引

          黒丸白丸の何だか救いがない会話(ひとりブレスト対話式)

          故郷を舞台にミステリを書いてみた・プロトタイプ版・便利屋AIAIの事件簿③消えたスリを追え!

          故郷・埼玉県秩父市の名称を架空の市・父冨(ととふ)に変え、そのほかいろいろ秩父をモデルにしてミステリを書いてみました。書籍化もしていますが、現在、申し訳ありませんが在庫なしです。 「あ、スリ!」  札所巡(ふだしょめぐる)は声を上げた。  カーキ色のジャケットを着た長髪の人影がすれ違いざま、隣の女性のバッグから財布を取り出したのを見たのだ。  だが、声が聞こえたらしく、犯人は財布を持ったまま駆け出し瞬く間に出口へ向かってしまった。  巡は後を追いながら口元のマイクに向かって

          故郷を舞台にミステリを書いてみた・プロトタイプ版・便利屋AIAIの事件簿③消えたスリを追え!

          発表会当日にピアノを辞めた思い出

          前回、納豆を初めて食べた日の思い出を書いたら、それに付随していろいろ思い出したので。 私がピアノを始めたのは小学校一年生の時。 母が私にピアノを習わせたがっていて、母の妹の友人という方が近所でピアノ教室を開いていたので通わせてもらったのだ。 当時の私はアリの巣観察や本を読むことも好きだったが、おままごとやお菓子作りも好きという、今では信じられないほどオンナノコな趣味だったので、母から「ピアノを習わない?」と訊かれて、ほいほいその誘いに乗ったのだった。 ピアノ教室は(私

          発表会当日にピアノを辞めた思い出

          はじめて納豆を食べた日の記憶。

          私がはじめて納豆を食べたのは、小学校一年生の給食でだった。 母が納豆嫌いだったため、私の家の食卓に納豆が並んだことはなかった。 存在は知っていたが、未知の食べ物だったのだ。 そして私は未知の食べ物を口に入れることに対する抵抗感が非常に大きい。 未だにそうだし、当時は未経験の物事に対する拒否反応はもっと強かった。 (診断後の今だからわかるが、たぶん発達障害(ASD)の一症状だと思う。想定外の事態に対しての拒否反応が異常なほどで、母にも学校にも、それはそれは迷惑をかけた)

          はじめて納豆を食べた日の記憶。

          神さまはぼくたちにクレヨンをくれた

          生まれる前、神さまはぼくたちにクレヨンをくれた。 箱に入った12色のクレヨンだ。 「生まれたら、このクレヨンで絵を描いてください」 神さまはぼくたちに言った。 生まれて最初に入った教室には、たくさんの生徒と厳しい先生がいた。 先生はぼくたちに言った。 「神さまからもらったクレヨンで、画用紙に絵を描いてください。お手本はこの絵です」 お手本には太陽と空とブランコと花が描いてあった。12色ぜんぶの色が使われている。 ぼくたちは言われたとおり、お手本と同じ絵を描こうとしたけれ

          神さまはぼくたちにクレヨンをくれた

          秩父・小鹿野”太田甘池堂”の絶品羊羹

          原材料は昔のまま! 老舗和菓子店の絶品羊羹!埼玉県小鹿野町の老舗和菓子店・太田甘池堂はいんげん、小豆、砂糖、寒天のみを原材料とする昔ながらの羊羹を販売しています。みっしりと重い高密度な歯ごたえと後味のさっぱりとした甘さが絶品と評判です。大小さまざまなサイズの羊羹を扱っており、一番手頃な小サイズは1ヶ220円です。羊羹はいんげんを使い滑らかに仕上げた本練り羊羹、小豆粒を残し歯ざわりを追求した田舎羊羹、柑橘の香りが爽やかな柚子羊羹の3種類があります。 地元密着から観光客にも

          秩父・小鹿野”太田甘池堂”の絶品羊羹