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秩父・小鹿野”太田甘池堂”の絶品羊羹

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原材料は昔のまま! 老舗和菓子店の絶品羊羹!

埼玉県小鹿野町の老舗和菓子店・太田甘池堂はいんげん、小豆、砂糖、寒天のみを原材料とする昔ながらの羊羹を販売しています。みっしりと重い高密度な歯ごたえと後味のさっぱりとした甘さが絶品と評判です。大小さまざまなサイズの羊羹を扱っており、一番手頃な小サイズは1ヶ220円です。羊羹はいんげんを使い滑らかに仕上げた本練り羊羹、小豆粒を残し歯ざわりを追求した田舎羊羹、柑橘の香りが爽やかな柚子羊羹の3種類があります。

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地元密着から観光客にもウケる羊羹作りへ

太田甘池堂は江戸時代、日本橋の老舗・甘林堂で修業した2代目が故郷の小鹿野に帰り、享和3年(1803年)に創業しました。戦中戦後は羊羹や鉄砲玉(飴)を、昭和30年代にはパンやシュークリームなどの洋菓子も製造販売し、甘池堂は地元の人々の生活と密着していました。しかし昭和44年に西武線レッドアロー号が開通すると、小鹿野にも多くの観光客が訪れるようになります。観光客向けの商品も作るようになった8代目主人は、職人の負担を考え、複数あった羊羹の種類を本練り一本に絞る決断を下しました。多種多売の時代の趨勢とは逆行していましたが、おかげで羊羹の品質は保たれたのです。

代々続く羊羹への強いこだわり

昭和後期、羊羹の包装は手作業から充填式に代わりました。羊羹の表面には結晶(糖化するという)ができることがあります。わざと糖化させた羊羹もありますが、甘池堂では糖化した羊羹は売り物にしないので、販売前に検品が必要です。充填式を始めた当初は竹の皮模様のパッケージだったので、検品はパッケージの上から手で触って行なわれていました。現在のパッケージが透明なのは、この検品が目視で済ませられるよう工夫したためだそうです。
また、お菓子の小型化が流行すると、甘池堂も羊羹の小型化に挑戦しました。しかし、主人は羊羹を噛んだ時に歯に伝わるねちっとした食感に強いこだわりがあり、それまでの1/5サイズまで小さくするのが限界でした。1/5サイズの羊羹を自動充填するために、彼は大阪の会社まで出向いて交渉し、特注で機械を開発してもらったといいます。

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皇室献上品にも! 広まる羊羹の評判

こうした代々の主人の努力と熱意は、太田甘池堂の評判を全国へと広めていきました。昭和42年の埼玉国体の折には、太田甘池堂の羊羹は皇室献上品に選ばれています。
平成26年に亡くなった俳優の高倉健氏は、生前この羊羹を「年賀」として関係者に送りたいと甘池堂に注文し、全国に発送したそうです。これをきっかけに、関東近県以外の地方からも注文が入るようになりました。
太田甘池堂には秩父支店があります。小鹿野本店を9代目が、秩父支店はその息子の10代目が営んでいます。秩父への出店は10代目が発案し実現させたものです。
現在ではオンラインショップも開設され、全国から簡単に注文を受けられるようになりました。

まとめ

小鹿野の和菓子店が、全国に注目される美味しい羊羹を作ることができた背景には、代々続く主人の羊羹への強いこだわりと愛情があります。
太田甘池堂の羊羹の持つ、昔ながらのシンプルな味。分厚い羊羹にかぶりつくと感じる、歯にねっちりと貼り付くような感触。
他の羊羹では味わえないあの味と感触がある限り、太田甘池堂の羊羹は愛され続けるでしょう。

<参考文献>
太田甘池堂よりパンフレット、商品同封のチラシ
他、2021年春に秩父伝承館にて太田甘池堂9代目主人が市民講座で公演した内容を含む。


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