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【新聞の読み方⑦―紙面・電子版の活用で業界・企業研究~インターンシップ参加~採用試験へ】

さあ、スタートしましょう。

【新聞の読み方⑦―新聞が役立つ、業界・企業研究~インターンシップ~採用試験の準備】

こんにちは! 就活モチスキゼミコーチの山内康義です。
たとえば、就活では、例年、食品業界を志望する人が多いのです。
食品メーカー・商社、コンビニ本部など、就活人気の原因は、幼少時代からTV、ネットで食品広告に慣れ親しんでいるからかな?

その供給元である農業・水産業界を含めて全体の動き(サプライチェーン)を知ることは、大事です。
今日は、新聞を活用して、食品、農業水産業界を通じて業界・企業研究のやり方を解説していきましょう。
さて、就活モチスキゼミコーチのおすすめする業界・企業研究の3つのステップごとのポイントは、以下の通りです。

■ステップ1.どんな業界があるのか、その特色を調べる。

●『業界地図』(日経新聞、東洋経済新報社)を使って、しっかり読み込もう。

●日経新聞「5分でわかる〇〇業界」動画は、社会・業界の問題をわかりやすく解説してくれます。

■ステップ2.興味ある業界の企業インターンシップに参加する。

新聞を読みながら、インターンシップ参加を通じて、3つの視点<●社会の役割・問題、●業界・企業の動き・将来性を知り、●自分とのつながり、仕事のやりがい>から考える。

■ステップ3.社会問題であれば、例えば「食料問題」「食品自給率問題」について着目しよう。

 官公庁HP、新聞を使って、世界・日本の動き、政府・企業の動向・真相を調べる。

●<事例>「知ってる?日本の食料事情2022」(令和4年12月農林水産省)

■ステップ4.興味を持ち、社会的意義から「やってみようか」とやりがい感じたら、積極的に採用試験を受けてみよう。

3つの視点から、新聞活用しながら「多面的・深堀思考」することで、ES/面接対策を進めていこう。
●社会・業界問題を探求しながら、自分の考え(食品の接点、食品への思い)を深堀していく。
3つの視点を複合的に探究して、社会的意義~仕事のやりがい・面白さをまとめて「就活の軸」へつなげていく。
●社説、記事の「業界の串刺し検索」から「なぜ〇〇業界か?」をヒントにする。
●「企業の串刺し検索」から強み・特色を読み取る。
「〇〇業界のなかでなぜ、この企業に入社したいのか?」「入社して、何がしたいか」の理由・根拠として固めていきましょう。

【本日の注目される新聞記事】

今日の注目される記事は、農業・水産業界です。
日経新聞2面「食料自給率の向上へ農政の転換を」7面ビジネス「陸上養殖、事業化相次ぐ」の食糧問題です。
ニッスイがサバ、ニチレイがサーモンの陸上養殖が期待されますね。

ウクライナ危機、円安で食料値上げが日本を直撃する前から、就活モチスキコーチは、スーパーマーケットめぐり・マーケティング考が好きなので、「最近の魚介類、特にマグロ、サーモンにしても値上がりが顕著で、中国に買い負けているんだろうなぁ…。」と感じておりました。

また、日本の農業を見回してみれば、農業従事者は平均67歳と高齢化しており、耕作放棄地は滋賀県の面積に匹敵して、農業を抜本的に変革させる「待ったなし!」の状況であることを、まずは自覚することが大切だね。
「事実と意見」を知り、「ものごとの真相は何か、では、どうすればよいか」見極めることが大切だね。

たとえば、私は、抜本的な法律整備・規制の弾力化、養殖システムの開発アーク社のように新興企業の農業・水彩業界に参入を後押しすることが求められていると考えました。

【社説の読み方】

新聞記事は事実(ファクト・報道)と意見(オピニオン・社説)に分けられます。
社説から事実と意見を読み分けましょう。
ES/面接において、社会性、業界・企業の役割をふまえて、自分の考えを述べることが求められます。
自分の考えを固めるには、社説の意見はたいへん参考になりますよ。
しかし、1つの社説=意見だけで、自分の考えを固めることは性急です。
社説は、新聞各社とも無料で全文掲載していますので、読み比べてみましょう。
就活モチスキゼミコーチは、徹底した情報収集力で、ゼミ生を納得のいく企業や難関・優良企業に導いています。
新聞は、日経新聞、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞をチェックするだけではなく、食品業界であれば、日本農業新聞、日本食糧新聞、食品新聞、激流(流通専門誌)などにも目を通して、調べ上げることです。

面接担当者に「ここまで、やるか!」と感心してもらうだけではだめです。
「社員として、当社で活躍できる」と心を動かしてこそ、合格です。

●日本経済新聞(2023年1月9日)

●読売新聞 農業政策社説
「スマート農業 技術革新で魅力ある産業に」

日本の農業立て直しに向け、先端技術の活用が期待を集めている。課題を洗い出し、次世代の農業を育てていきたい。
政府は、人工知能(AI)やロボット、あらゆるモノをインターネットにつなげる「IoT」などによる「スマート農業」の実証実験を進めている。
佐賀県の農家は今年、国の補助を受け、AIでアスパラガスの育ち具合を検知して、最適な時期に収穫するロボットを導入した。人員が2~3割少なくて済む。

北海道のJAでは、小麦などの畑に農薬を散布するドローンを3機同時に操作している。作業時間が大幅に短縮されるという。
成果や問題点を検証し、着実に普及につなげてほしい。
日本の農業は担い手不足に苦しんでいる。農業を主な仕事とする人は2019年に約140万人で10年と比べ約3割減った。平均年齢は67歳と、高齢化が深刻だ。

新型コロナウイルスの流行で、農業を支えてきた外国人の技能実習生が来日できなくなっている。日本の農業の弱点が、一層浮き彫りになったと言えよう。 スマート農業は克服策の一つとなり得るが、本格的な運用に向けては課題が山積している。
市販が始まっている自動運転トラクターは、値段が1000万円を超える製品が多く高価だ。価格の引き下げが欠かせない。

利用拡大には、機器のシェアリング(共有)が有効だが、農作物の収穫時期は集中しがちで、効率的なやりくりは簡単ではない。JAや民間企業が農機具のシェアリング事業を積極展開できるよう、政府が後押しできないか。 気になるのは、データの利用が他産業より遅れていることだ。

情報を生かして高精度な出荷や需要の予測ができれば、廃棄ロスが減らせる。生産や在庫の情報を連携させることで、最適な集荷・発送ルート選びも可能になる。
政府は、民間企業や官公庁などが持つ幅広いデータを農家や農機具メーカーに提供する仕組みを設けた。生産性向上に役立つ手法を官民で研究してもらいたい。

担い手の確保には、若者が農業に目を向ける環境作りが大切だ。農機具は熟練者でないと操作が難しいものが多く、農作物の育成は経験や勘に頼る部分が大きい。こうした経験をデータ化できれば、就農のハードルが下がる。
先端技術を駆使して「重労働」のイメージがある農作業の負担を軽くすることや、魅力ある農作物を生む技術革新が重要となる。

2020/07/21 05:00

●毎日新聞 2022/8/16 農業政策社説
「’22平和考 食料安保と日本 リスク直視し政策点検を」

新型コロナウイルスの感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻が食料価格の高騰と飢餓の深刻化を招き、各国の食料安全保障を脅かしている。
農林水産省によると、コロナ禍が広がった2020年、ロシアやベトナムなど19カ国が小麦や米などの輸出を一時規制した。危機時に囲い込みを図った形だ。21年以降もタイの鶏肉や北米のポテトの供給が滞った。

食料不安に拍車をかけたのがロシアのウクライナ侵攻だ。
世界の小麦輸出量の3割を占める両国からの供給が止まって食料の国際価格が急騰し、インドは小麦、インドネシアはパーム油の輸出規制に踏み切った。日本でも食品の値上げが相次ぎ、国民生活に打撃を与えている。
国内農業の強化が急務食料を巡る混乱は、日本にとって重大な問題だ。

消費者の米離れなど食生活の変化で、輸入依存度が高まってきたためだ。1960年代に70%を超えていた食料自給率は30%台後半まで落ち込んだ。
日本総合研究所の三輪泰史氏は「食料不足のリスクが表面化すると、自国優先の動きが顕著に出てくる」と指摘する。
国内の農業を強化することが必要だ。しかし、現状では、補助金で米農家を守る旧来型の政策から脱却できていない。
政府は主食の米について、2018年産から生産調整(減反)を廃止しながら、補助金で飼料用米などへの転作を促している。事実上、主食用米の価格維持策で、競争力向上につながっていない。

農家の中には、海外に活路を求める動きも出ている。
茨城県の株式会社「百笑市場」は、地元農家と米の輸出に取り組んでいる。生産コストを抑えるため、単位面積当たりの収穫量が多い品種を栽培し、ドローンで種をまくなどの工夫を重ねてきた。
この5年で輸出量は5倍に増え、販売先は米国やシンガポールなど10カ国に広がった。

政府も近年、輸出強化に取り組み始めている。農林水産物・食品の輸出額は21年に1兆円を突破した。30年までに5兆円に増やす目標を掲げている。
作物の多様化を進める地域もある。米の産地で知られる秋田県大潟村はここ数年、タマネギの生産を本格化させている。北海道や兵庫など主要産地と収穫時期が重ならないため付加価値が高く、機械化もしやすいためだ。
食料安全保障の観点からも、こうした前向きな取り組みを後押しする政策が欠かせない。
 農水省はコロナ禍やウクライナ侵攻を踏まえ、省内の検討チームで価格急騰や供給量減少などのリスクを分析している。農業関係者らと情報を共有し、早期に対策を打つ体制づくりが不可欠だ。
国際的な連携深めたい
ただ、国内で農業政策を見直すだけでは限界がある。日本は小麦や大豆だけでなく、化学肥料の原料の多くを海外に依存している。安定調達に向け、国際社会と連携を深めることが重要だ。

6月に開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議は、ルールに基づかない輸出規制を控えることで合意した。やむを得ず規制を行う場合も、輸入国に与える影響を考慮し、情報の共有を求めている。
 日米欧の主要7カ国(G7)は食料安保に関する声明に「不当な貿易制限の回避」を盛り込んだ。各国には、自由な貿易を損なわない取り組みが求められる。
最も深刻な影響を受けるのが、生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)な途上国の人々だ。国連の世界食糧計画(WFP)によると、飢餓などで命が危険にさらされている人は年初から25%も増え、82カ国の3億4500万人に達した。
WFPは国際通貨基金(IMF)、世界銀行などと共同で、各国に支援を要請した。日本を含む先進国には、大きな責任がある。
食料安全保障を脅かす要因はさまざまだ。新興国が著しい経済成長を遂げ、食料需要が急増した。トウモロコシなどを原料にしたバイオ燃料の普及が食料不足への懸念を高め、気候変動の影響と見られる穀物の不作も相次いでいる。
食料を行き渡らせることは、世界秩序の安定と平和な社会の構築に不可欠だ。コロナと戦争で表面化したリスクを直視し、これまでの政策を点検する。その上で自国の枠にとどまらない国際的な食料安全保障を構築することが求められる。

毎日新聞 2022/8/16 農業政策社説

●日本農業新聞 2022年10月29日
経済対策と農業 輸入依存の転換が急務

政府が総合経済対策を決めた。物価高や円安に伴う生活支援と合わせ、肥料の安定供給などを盛り込んだ。食料安全保障の強化へ、裏付けとなる万全の予算措置を求める。対症療法だけで食と農の危機は乗り切れない。今こそ輸入に依存した日本農業の構造転換に取り組む時だ。
日本経済は、「賃金安・物価高の悪いインフレ」「歴史的円安」「新型コロナウイルス禍」「食料有事」の四重苦にあえぐ。資源や穀物を海外に依存してきたツケが食卓や農業を直撃。資源・食料インフレが、暮らしや営農を根底から揺さぶる。まさに「国難」である。

総合経済対策は、「物価高騰・賃上げへの取り組み」「円安を活(い)かした地域の『稼ぐ力』の回復・強化」「『新しい資本主義』の加速」「国民の安全・安心の確保」の4本柱から成る。農業分野では、生産資材高騰の影響緩和措置を講じるとし、「危機に強い食料品供給体制の構築」を掲げた。輸入依存度の高い肥料・飼料・穀物の国産化を進めるとし、大豆、小麦などの国内生産拡大も打ち出した。円安を生かした農産物輸出の促進も挙げた。

いずれもこれまで指摘されてきた課題だ。国内生産基盤の強化と食料の安定供給を進めるために、食料安全保障予算として包括的に計上し、十分な財源の裏付けを図るよう求める。今国会に提出する2022年度第2次補正予算案とその審議を注視したい。
特に肥料原料の安定供給は喫緊の課題である。政府は、経済安全保障推進法が定める「特定重要物資」に肥料原料を指定し、備蓄制度の創設や基金の造成を進める方針だ。制度設計を急ぐとともに、肥料メーカーの負担にならないよう十分な財政支援を講じるべきだ。まして製品価格への転嫁で農家負担が増すようなことがあっては本末転倒だ。

生産現場が求めているのは、迅速かつ実効性のある対策だ。瀬戸際にある農業経営に直接届く施策でなければ意味がない。短期的な対策と併せ、中長期的な国内農業の構造転換にも取り組むべきだ。農畜産物の総自由化路線で弱体化した生産基盤を立て直すのは容易ではないが、食料危機を奇貨として、輸入依存体質からの脱却を進めよう。
日本金融財政研究所の菊池英博所長は、日本農業新聞の「論点」で「国際的視野に立った農業政策の再構築」を提起した。食料安全保障の観点から、食料の国産化と増産、備蓄の必要性を説く。
折しも食料・農業・農村基本法の見直し論議が始まった。これまでの農政の検証から始め、有事の時代の食料安全保障の在り方、食と農の未来について、国民的論議を巻き起こす時に来ている。
 

日本農業新聞 2022年10月29日

<就活モチスキゼミコーチが選んだおすすめ記事>

1.1面トップ 米、宇宙も対日防衛義務
衛星への攻撃抑止想定 2プラス2へ調整

<リード文>
日米両政府は宇宙空間を米国の対日防衛義務の対象と確認する最終調整に入った。米国は日米安全保障条約5条に基づき日本が運用する人工衛星などを防護する。衛星は相手国の軍事活動監視の「目」として重要性を増している。中国やロシアの開発動向を踏まえ日米の抑止力向上を急ぐ。

2023/1/9付 日本経済新聞 朝刊より引用

【この記事のポイント】
・日本の人工衛星への攻撃も米国に防衛義務
・陸海空、サイバーに加え宇宙にも安保適用
・外務・防衛相協議経て共同文書明記めざす

2.2面総合 <社説>食料自給率の向上へ農政の転換を

ウクライナ危機をきっかけに、食料を輸入に依存する日本の危うさが浮き彫りになった。農林水産省はこれを受け、食料・農業・農村基本法の改正を検討し始めた。食料の安定供給に向け、農政を抜本的に見直してほしい。
農政の目指すべき方向を示す基本法は1999年に制定された。政府が食料自給率の目標を定めることや、自然環境の保全につながる農業の多面的機能を大切にすることなどを定めている。

畑作の振興を基本法で
制定から20年余りが過ぎ、基本法が目的を果たせず、時代の変化に対応できていないことが鮮明になっている。農水省は課題を洗い出すための議論を2022年秋に始めており、24年の通常国会に改正案を提出する方向だ。
壁に当たっているのが自給率の向上だ。農水省は自給率を高める計画をつくり続けてきた。だが現実は4割弱で低迷しており、上向く気配はいっこうにない。主要国では異例の低水準だ。

小麦や大豆、飼料用トウモロコシなど食生活に不可欠な穀物の大半を輸入に頼る状態を改善しなかったことが一因だ。そこにウクライナ危機による価格高騰が追い打ちをかけ、家計や畜産業を圧迫している。今後も同様のことが起きかねず、量まで確保できなくなれば国の存立を脅かす。
基本法は自給率を高める具体的な方策を示しておらず、水田偏重の農政を変えられなかった。コメ余りを解消しようと、田んぼに水を入れずに小麦や大豆などをつくった農家に補助金を出してきた。

このやり方は2つの点で問題をはらんでいた。まず自給率の向上で要となる畑作物は湿気に弱く、水田でつくるのに適していない。加えてコメの生産を減らして需給を締める政策は米価を高止まりさせ、コメ消費の減退に拍車をかけるという袋小路に入った。
法改正で考えるべきポイントは明らかだ。小麦などを転作ではなく、畑の作物として正面から振興する。飼料用トウモロコシの最近の栽培実績は、コメより生産効率が高いことを示唆している。日本の農業はコメ以外は不向きという固定観念を変えるべきだろう。

コメ政策の見直しもこれに連動する。畑作を振興するには水田の畑への転換が必要になる。水田が減ればコメの需給が一段ときつくなりかねないが、突破口はある。高米価路線の修正だ。
これまでコメの産地は価格を上げるため、ブランド化を競い合ってきた。これを改め、収量を増やして値ごろ感を追求し、消費を刺激する。実現には品種開発などで後押しが要る。この戦略はコメの輸出にもプラスに働く。
人工知能(AI)やデジタル技術を積極的に取り入れることも求められる。農業も人手不足が深刻になっており、最新技術による省力化が避けて通れない。
農家が法人化して組織的経営への移行が進んだことで、新たな手法を導入しやすい環境も整ってきた。企業が他分野で培ったノウハウを応用し、技術やサービスを提供する余地は十分にある。
地球環境問題にどう貢献するかも論点になる。多面的機能という言葉は、農業が環境に優しいことを暗黙の前提にしている。だが気候変動への対応を求める国際潮流は、農業が環境に及ぼすマイナスの影響の是正を迫る。

国産肥料を活用せよ
牛のげっぷが放出したり、水田で発生したりするメタンは温暖化ガスとして問題視されている。排出を抑制する技術などの研究開発を推進すべきだろう。多様な生き物が存続できる自然環境を保つため、農薬や化学肥料を減らすこともテーマになる。日本は化学肥料の原料の多くを輸入しており、国際相場に左右される構造を変える意味もある。

代わって注目されているのが、有機肥料だ。海外の鉱物資源を使う化学肥料とは違い、家畜の排せつ物や稲わらなどで製造できる。下水の汚泥を肥料に加工することも期待を集めている。下水はリンなど肥料の原料を豊富に含んでおり、有機肥料の利用促進と並んで食料安全保障に資する。

一方、これまで輸入してきた穀物や肥料のすべてを国産に切り替えるのは非現実的であり、海外から安定して調達するための努力は今後も大切だ。国際相場の影響を和らげるにはどれだけ国産比率を高めたらいいかを考え、現実的なシナリオを描くべきだ。
食料生産は農業界だけでなく、国民全体に関わるテーマだ。議論を広く呼びかけ、新しい農政のかたちを示してほしい。

2023/1/9付 日本経済新聞 朝刊より引用

3.7面ビジネス 陸上養殖の事業化相次ぐ ニッスイ、サバを25年めど
アーク、管理手軽な装置

<リード文>
水産大手などが陸上養殖ビジネスを本格展開する。ニッスイは2025年をめどに水を循環させながら育てる方式によるサバの陸上養殖を事業化する。新興メーカーのARK(アーク、東京・渋谷)は管理が手軽な養殖装置を開発する。水産資源の獲得競争が世界で激しくなるなか、魚を安定調達でき環境負荷の小さい陸上養殖を商機と捉える。
(増田由貴、京塚環)

2023/1/9付 日本経済新聞 朝刊より引用

<参考記事>エンジン部品製造の山田製作所、高級魚の陸上養殖参入へ

自動車のエンジン部品などを製造する山田製作所(群馬県伊勢崎市)は、高級魚の陸上養殖を始めた。自社技術を応用した水の循環やろ過システムで大量の給排水を必要としない閉鎖型環境を構築した。
2024年度の事業化を目指す。電気自動車(EV)化が進めば、同社の主要製品は需要減少が見込まれる。新たな分野への参入で将来的な収益源の確保を図る。

くさみを抜く工程のクエタマ

伊勢崎市内にある延べ床面積約700平方メートルの研究開発拠点に、水量10トンの水槽5基などを設置。ヒラメとシマアジ、クエと同じハタ科のタマカイを掛け合わせた交雑魚であるクエタマといった3種の高級魚を養殖している。陸上養殖は19年から着手してきた。

山田製作所はヒラメの養殖から始めた

群馬県水産試験場の協力も得ながら、えさの量や水槽内の魚の数といった最適な養殖環境や施設内の装置改善などの研究開発を進める。3種とも稚魚から1年で、出荷できる大きさに飼育できるよう研究してきた。新事業開発部の山根広介部長は「光熱費やえさ代などを吸収するため、価値の高い魚でないと採算が合わず事業化しにくい」と話す。

人工海水を捨てずに循環させた閉鎖型環境で飼育する。自動車のウオーターポンプを製造してきた技術などを応用し、水の循環や水温管理などに生かす。水のろ過システムは自前で構築した。陸上養殖プロジェクト研究員の渡辺英光氏は「ろ過装置を自分たちで組み立てられることでスピード感が増し、コストダウンにもつながる」と胸を張る。

山田製作所はものづくりの技術を生かして、自前でろ過システムなどを構築できるのが強みだという(群馬県伊勢崎市)

同社が陸上養殖に参入したのは、自動車産業のEVシフトへの懸念からだ。同社はホンダ向けを中心にオイルポンプなどエンジン部品を主力とする。売り上げの80%弱をホンダが占めるというが、ホンダは40年に全ての新車をEVか燃料電池車(FCV)にする方針を掲げている。

エンジン部品はEV化によって需要減少が見込まれ、同社は「検討する余力があるうちに事業の方向性を模索しておくというのが社の方針」(山根部長)だという。新規事業の立ち上げを狙い、社内ベンチャー事業を募集し、その一つが陸上養殖だった。
同社は24年度の事業化を目指しており、その前に試験販売も検討しているという。人工海水を使い、管理された飼育環境で養殖された魚は寄生虫の心配がなく、生でも安心して食べられる。渡辺氏は「魚の安全性や安定供給のニーズに応えていきたい」と語る。(田原悠太郎)

4.14面経済教室 経済教室 危機と分断の時代(4) 「インド太平洋」主導へ総力を片田さおり・南カリフォルニア大学教授

2022年は、冷戦終結後30年続いたグローバリゼーションと国際経済協調体制が音を立てて崩れていくような年だった。コロナ危機、ウクライナ戦争、対ロシア制裁、さらには経済の武器化の動きやそれに対応する各国の経済安全保障政策が経済を分断している。
ポイント
○中国を締め出したアジア経済圏あり得ず
○インド太平洋の枠組み使い仲間を増やせ
○ルールの力を生かして地域秩序の構築を
かただ・さおり 一橋大卒、ノースカロライナ大チャペルヒル校博士(政治学)。専門は国際政治経済学

2023/1/9付 日本経済新聞 朝刊

5.14面経済教室 やさしい経済学 幸せに生きるために(4) 長い目で考え、他者にも配慮を 京都大学准教授 柴田悠

<リード文>
「幸福感を求めると幸福感を得られない」という「落とし穴」を避ける方法は何でしょうか。
「フェデレーション大学(オーストラリア)のアシュレイ・ハンフリー講師らの調査によれば、「各瞬間での幸福感を求める傾向」(短期的視点)が強いと、抑うつやネガティブ感情を感じやすく、自尊心も低い傾向がありました。それらの関連の一部は、「抑うつや不安を避けようとする傾向」で説明できました。(中略)
「他者への広がり」という視野も重要なようです。米アリゾナ州立大学のキャサリン・ネルソン・コッフィ准教授らの実験によれば、「普段以上に自分に親切な行為」を1日3つして報告することを4週間続けたグループは、その後の幸福感が高まらず、白血球遺伝子の発現(身体的炎症反応)が若干増え、ストレス状態になっていました。
他方で、「他者(家族でもよい)に親切な行為」を1日に3つして報告することを4週間続けたグループは、幸福感が高くなり、身体的炎症反応が減りました。人を助けたおかげで自分が助かったのです。
中長期的視点をもつこと、そして他者の幸福も視野に入れること。これらがあなたを「落とし穴」から守ってくれるでしょう。」(引用)

2023/1/9付 日本経済新聞 朝刊

6.21面18歳プラス チーム池上が行く!グローバルな視点で考察 前へ跳ぶ 学生との対話(上) 自分の軸持ち分析に生かす

<リード文>
池上彰さん、増田ユリヤさん、パックンの愛称でおなじみのパトリック・ハーランさんが大学生と対話しました。その一部を2週連載します。第1回の話題は「2023年の目標」です。今年の干支(えと)であるうさぎのように、学生たちは世界を視野に飛躍を目指しています。

池上彰(いけがみ・あきら) ジャーナリスト。1950年長野県出身。慶応義塾大学経済学部卒業。NHKの社会部記者として事件・災害・教育取材にかかわった。人気番組「週刊こどもニュース」でお父さん役を11年間担当した。2005年に独立。東京工業大学のほか複数の大学で教壇に立つ。

増田ユリヤ(ますだ・ゆりや) ジャーナリスト。1964年神奈川県出身。国学院大学文学部卒業。私立高校の社会科講師のほか、NHKでリポーターなどを務めた。国内外の政治・教育問題を中心に取材している。近著に「世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ」(ポプラ新書)。

Patrick Harlan(パトリック・ハーラン) タレント。1970年米コロラド州出身。米ハーバード大学で比較宗教学を専攻。来日後、97年に吉田眞氏とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成した。テレビの情報番組などのコメンテーターも務める。新著に「パックン式お金の育て方」(朝日新聞出版)。

2023/1/9付 日本経済新聞 朝刊

 コラム「チーム池上が行く!」はBSテレ東の経済報道番組「日経ニュース プラス9」で放映中の同名コーナーとの連携企画です。日本経済新聞社とBSテレ東が協力して編集しています(写真はBSテレ東提供)。

 池上彰氏、増田ユリヤ氏、パトリック・ハーラン氏が講師チームを結成し、コロナ禍にあっても新たな学びや活動にチャレンジしている若者たちを訪ねます。同世代の若者に参考になるようなアイデアやメッセージを発信していきます。
 同番組でこれまでに放映した映像は動画配信サービスの「テレ東BIZ」などで視聴できます。

以上
ご精読、どうもありがとうございます。
毎日コツコツ進めていきましょう!
就活モチスキゼミ コーチ 山内康義


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