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企業の中に社会課題に向き合う場づくりを「WILL FESTIVAL2022」を振り返る

こんにちは!今年の8月より、newpeaceのERを新しく担当することになりました照下(自己紹介記事:JICAを辞めてnewpeaceに転職した話)です。

昨年の衆議院議員選挙に引き続き、今年7月には参議院議員選挙が行われました。newpeaceは、昨年の衆議院選挙のタイミングで、社会イシューに本気で向き合う先進的な企業や人が集い、共にビジョン(社会への意志)を語り、学び、議論するコミュニティアクションとして「WILL FESTIVAL」を企画しました。
今回の参院選でも、このWILL FESTIVAL を行いましたが、なぜ行ったのか、どのような意図を備えた企画にしたのか、担当者の視点を含めその振り返りをnoteに綴りたいと思います。

そもそもWILL FESTIVALとは?

昨年のWILL FESTIVALはnewpeaceのあるメンバーの強い意志で始まりました(去年のWILL FESTIVALについてのnoteはこちら)。

選挙に行こう!と呼びかけるのではなく、身近な課題について考えることから始まる、等身大の自分が「選挙に行く理由」を見つける場として作られたWILL FESTIVAL。

公式サイト:https://willfestival.studio.site/

ジェンダーや気候変動などのイシュー別に投票前の選挙期間5日間連日、それらのイシューに取組む企業のトークセッションのオンライン配信を行いました。イベントには4,721人のお申込みをいただき、多くの方から好評の声をいただきました。

【バトンを受けた私が考えた今年のWILL FESTIVAL】

昨年の担当者の強い「Why driven?」の意志を引き継ぎながら、日本の社会の未来について考えるタイミングである今回の参院選では、私自身がdriverとなってWILL FESTIVALの企画を行うことになりました。

ただ、その際、同じことを二度やるのではなく、WILL FESTIVALをやる意味とは何か、改めてWILL FESTIVALという企画が目指すべきゴールを考え直しました。
「社会変革のために動いている企業があるということに希望と勇気を見出すこと」を目標に取り組んだ昨年のアクションの次のステップとして、「自分の声や意見の共有を通じて、自分自身が社会を変える原動力になることを実感する」ということを今年のWILL FESTIVALでは目標に取り組みたいと考えました。

WILL FESTIVALのゴールと今回のWILL FESTIVALの位置付け

WILL FESTIVAL2022は何をやったのか?

去年の企画と異なる点① トークセッションではなくワークショップ

前回が「トークセッションの配信」×5日間という企画に対して、今回は企業ごとで行うワークショップの企画に企画の内容自体ガラッと変え、投票日前の週に、各企業90分のオンラインワークショップを行いました。

去年の企画と異なる点②ターゲットは 広く大きくではなく、狭く深く。

(え?せっかくやるのに、規模を小さくするの?!)
前回が一般からの視聴参加を行ったものに対して、今回は参加してくれる企業の中で、そこで働く人だけが参加する企画にターゲットを限定しました。
今回の参加企業は、allbirds、Timers、ネクイノ、Yom、そしてnewpeaceの5社。
実際、TOTALで100人弱くらいの参加者になりました。
これは前回、50~100人×5日間が視聴していた(※)連日のトークセッションのトータルの参加者数からすると少ない形になります。

【なぜ規模的には小さいものをあえてやったのか?】

① ターゲットによりちゃんと届ける企画をしたい

前回はたくさんの企業を巻き込んで企画ができた一方で、私たちが実際に届けたいと考えていたターゲット(選挙や投票に無関心ではないが自信が持てない人)に届けることができたのか?と言うと、トークセッションに視聴するという能動的な選択をする時点で、蓋を開けてみればやっぱり「意識の高い人」の参加に限定されていたのでは?ないか、と。

実際のリアルタイム視聴数に鑑みても、たくさんの企業や人を巻き込めた一方で、それがきちんと届けたい人に届けられたのだろうか、という疑問が少なからず自分の中にありました。

であれば、今回はトータルの参加者は少なくなるけれど、自ら企業に乗り込むスタイルで、きちんとターゲットに届く形でやりたいと考え、企画内容自体をガラリと変えました。

② 「選挙に行こう!」「投票に行こう!」という呼びかけの割に、「それ」について自分の意見を言うのまだまだ日本で難しい問題どうにかしたい!

昨年の衆院選の良かったなぁと思っているは、主にSNSやメディアを通して、選挙に行く重要性を呼び掛けを行う組織や人がたくさんいたことです(WILL FESもその一人だったと自覚)。それによって意識が変わった人もたくさんいたと思います。

一方で、こんなにもたくさんの呼びかけがあるにも関わらず、依然として投票率が上がらないのは何故か?

たくさん原因はあると思いますが、やはりまだ選挙や政治のことについて考えること、それ自体が個人だけの責任のようになってしまっていることも原因ではないか、と私は考えています。「選挙に行こう!」という種の呼びかけが増えてきた一方で、呼びかけられた人はそれをどのように受け止めたらいいか、戸惑う人も少なくないと思います。

「考えなければいけないこと」が複雑すぎて、かつその人個人にそれが委ねられているような気がして一歩踏み出せなくなっているのを、「それ、本当はみんなで考えていいことなんだよ」という雰囲気を作って行けたら…、「自分の意見や考えもきちんと社会で受け入れられる」という経験を通して、一歩踏み出す行動を後押しできたら…、ただ呼びかけるだけではなく、その呼びかけを受け止めたはいいけど困っている人をサポートする受け皿を作っていかなければ、ぼんやりとした問題意識を次の行動に変えていくことにはつながっていかないのではないかと考え、今回のWILL FESではこの受け皿の環境を作っていくことに注力しました。

③ コミュニティでのアクションを加速させたい

「選挙」を考えるタイミングでは、社会課題の解決を「国」が行っていくには?と言う視点で政党や誰に投じるかを考えることになると思います。

とはいえ、当たり前のことですが、社会を前進させるためには、社会課題に対して国だけでなく、個人や企業の取り組みが必須であり、こうしたアクションの主体間の連帯の必要性についても、改めて認識してもらえる機会としてWILL FESを用いていきたい、そう考えました。

個人でできるアクションも尊いけれど、みんなで力を合わせた方がインパクトは大きい。企業の中で、そこで働く人たちが改めて自分の企業(=コミュニティ)やサービスの意味を捉えながら、それを自分ごと化し、自分たちのコミュニティが未来のために取り組むべきアクションの解像度をあげることをWILL FESのワークショップでは目指しました。

【WILL FESTIVALのインパクトについて振り返ってみる】

インパクトを得るために必要な問いと設計

上述のようなWILL FESTIVALのゴール設定と企画意図を反映するためのワークショップ設計にあたっては、参加いただく企業の担当者の方との各企業のカルチャーや課題などヒアリングを重ねながら、社内のワークショップ設計に専門性と経験を豊富に有するメンバーと協働し、緻密にワークショップを計算し、社内の中でもデモストレーションを数回繰り返し、検証とブラッシュアップを重ねて設計していきました。

一番大切にしたことは、WILL FESTIVALのワークショップを通して伝えるメッセージはワンメッセージに絞る、ということ。
たくさんの意図や伝えたいことはあれど、90分という限られた時間の中で全てを伝えようとすることは不可能です。
今回のWILL FESTIVALで伝えようとしたワンメッセージは、「社会課題の解決に向けて仲間との連帯(=自分一人だけじゃなく、コミュニティで課題に向き合っていくこと)が大事」ということ。

このメッセージを体感できるよう、ワークショップで考えるべき「問い」は、各企業ごとに規模やカルチャーに応じてチューニングし、その企業にとってWILL FESTIVALをやる意味がある最適の問いかけをテーラーメイドで対応をしました。

WILL FESTIVALのワークショップのタイムライン(例)
miroを使ったオンラインワークショップの様子
最後のグループワークにつながる問い「社会課題に対して自分のコミュニティ(=企業)ができるアクションは何か?」

「社会課題」についてコミュニティの中で自分の考えを語り、共有・共感する経験に

最終的にWILL FESTIVAL実施後のアンケートでは、参加者は満足度の高い経験であったことがわかる結果を得ることができました。

また、当初企画を考える上でもっていた「政治や社会課題のことについて、コミュニティの中で話すことが日本ではまだまだ難しい現状があるのではないか?」という仮説についても、やはりそのような現状を感じている人が少なからずいる、ということがアンケートや事後いただいた感想などからもわかることができました。

そして何よりも、企画・ワークショップ設計段階において届けたい、伝えたいと考えていたメッセージである「自分の声や意見を、コミュニティの仲間に共有すること、そしてそれが社会課題の解決に向けたコミュニティの連帯とアクションにつながるということ」がきちんと伝わっていたような感想もたくさんもらい、届けたいターゲットに届けたいメッセージを届けることができた企画になったのではないかと思います。

WILL FESTIVALの参加後アンケート結果

社内で普段直接関わりのないメンバーでのグループワークでしたが、テーマ設定により、みんなが共通の課題に向けて進める設計がとても楽しかったです!

参加者アンケートより

グループ内のぶっちゃけトークが楽しかったです。普段働いている中ではなかなかぶっちゃけトークはしないので笑
個人ではできることは限られているなと感じたのと(少しずつでも日本中のみんなができたら良いんでしょうね)会社であればもっと現実的に少子化対策になることもあるので、アクションにつなげられたら良いなと思います。

参加者アンケートより

なかなか他部署の方の考えや思いに触れる機会がないので、課題感なども一緒に共有することができて今後の施策として会社全体で自分たちに何ができるのかを考えるいい機会となりました。

参加者アンケートより

素敵な体験設計のワークショップへ参加させていただきありがとうございました!
普段あまり自分から話すことのないテーマを、話すことで、話して良いんだ!あ、受け入れてもらえるんだという気持ちになり、とても有意義な時間でした!

参加者アンケートより

newpeaceのERとしての振り返り

政治や社会課題について語ることは、未来について語ることであるにもかかわらず、政治や社会課題のことについて、コミュニティの中で話すことが日本ではまだまだ難しい現状があります。しかしながら、意志ある人や組織が社会を未来に向けて前進させるには、そこに属する人たちが、自分たちの未来について語れる場であることが大前提ではないでしょうか。

今回のWILL FESITIVALでは、意志ある企業を対象に、これまで個人でしか考えるしかなかった話を、みんなで共有し、未来について考えることのできる場を作りたいと考えて実行しました。それこそが日本の社会を前進させるために必要なアクションであるとともに、未来を見据えるそれぞれの企業が目指すビジョンの達成にもつながっていくと私は信じているからです。

今回のWILL FESTIVALでは、上記の考えのもと、あえてターゲットを絞って企画しましたが、この小さくても絶対に社会を動かすのに必要不可欠な意志の塊を少しずつ大きく育てていくことが、次のステップでは必要だと考えています。

今回、参加企業を募る際にとある企業の方から、「普段からこうした社会課題に向き合っているnewpeaceがやる企画だから、信頼できるし、一緒にやろうと思える」という言葉をいただきましたが、newpeaceだけでは社会を変えることができなくても、newpeaceだからこそ意志のある企業や個人を繋ぎ、一丸となって社会を前進させていく力を生み出すことができるのではないか、そのような役割としてnewpeaceが社会に存在することこそが、newpeaceの持つ価値なのではないかと考えています。

WILL FESTIVALの企画に限らず、そのような形で社会へのインパクトを最大化できるようなアクションを今後もnewpeaceのERとして企画・実行していきたい!と考えています!

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文責・照下真女(ER Planner / newpeace)


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