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瞑想が脳にもたらす変化


今回は瞑想を科学的に検証するということで、医学・科学的な学術論文で瞑想に関する研究を紹介していきたいと思います。

文中引用論文:Lutz A, et al. Long-term meditators self-induce high-amplitude gamma synchrony during mental practice. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Nov 16;101(46):16369-73.


「瞑想熟練者による瞑想時の自己誘導性・高振幅ガンマ波同期(の研究)」というLutz氏による研究をご紹介します。Proceedings of the National Academy of Sciences USA (通称PNAS)という日本でも有名な学術雑誌があり、2004年に掲載された研究です。

研究の概要は、瞑想の熟練者であるチベット仏教徒に対して、瞑想の初心者である一般大学生を対比し、“それぞれ瞑想した時に脳にどのような違いが現れるか”を比較したものです。


研究対象となる“瞑想熟練者”のチベット僧の方は8名で平均年齢は49±15歳、対して比較対象となる“瞑想初心者”の一般白人大学生は10名で平均年齢21±1.5歳でした。


“瞑想熟練者”の方は15年〜40年(数万時間の)瞑想修行を続けてきた方々で、対する“瞑想初心者”は瞑想に興味はあるけども、ほとんど経験は無く、実験の1週間前に軽いトレーニングを受けた程度です。


この両者のグループに数十秒〜数分間のサイクルで、準備→瞑想→休憩→準備→瞑想→休憩→…と繰り返し行ってもらう実験が行われました。ちなみに、瞑想の内容は「無償の愛・思いやり」「あらゆる生命に対する無条件の慈愛」といったテーマが与えられました。

計測は数十個の電極を用いた脳波計により脳の各部位の脳波(Electroencephalography: EEG)が計測されました。

計測の結果は、瞑想熟練者の方が一般人の対照群に比べて、ガンマ波帯と呼ばれる25〜42Hzの脳波が高度に活性化していることが観測されました。

グラフ(図1:引用文献より抜粋)を見るとわかりますが、一般学生(青いライン)が瞑想に入ってもほとんど変化しないのに対して、瞑想熟練者(赤いライン)の方を見ると初期状態から瞑想導入にかけて脳波の活性が上昇し、瞑想状態に入ると一般学生を大きく引き離して上昇しているのがわかります。これは統計学的な解析においても明らかに一般学生と瞑想熟練者のグラフの動きが異なることが証明されています(P<0.05, ANOVA)。

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さらに、脳波のデータを画像化したものを見てみましょう(図2:引用文献より抜粋)。


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見比べてみると一目瞭然ですが、瞑想熟練者(右)の方が全体に赤〜黄色の部分が多く、脳全体が活性化していることがわかりますね。

特に前頭部〜側頭部・頭頂部で非常に高い活性が見られます(図の丸く赤い部分)。


瞑想熟練者の脳は活性化されている

この研究を通してわかったことは、以下の通りです:


・瞑想熟練者ではガンマ波帯と呼ばれる25〜42Hzの脳波が高度に活性化していることが観測された

・瞑想熟練者では一般人に比べて、非常に明瞭にかつ迅速に活性化された脳波が検出された

・瞑想熟練者では、脳の局所的な部分のみではなく、前頭部・側頭部・頭頂部と広い範囲にわたって脳が機能していることが観測された


最後に研究者らは「瞑想というメンタル・トレーニングが、経時的な統合メカニズムを経て、短期的および長期的な脳神経ネットワークの変化・発達をもたらす可能性がある」と結論づけています。


まとめると、難しい勉強をしなくても脳は活性化し、「無償の愛/無条件の思いやり」を思って瞑想を行うだけで脳の発達と変化が促されるようです。そして、長期間続けるほど、瞑想に熟練していくほど、脳が迅速に“瞑想状態(活性化状態)”に切り替わることが示された研究でした。


私たちも毎日少しずつでも瞑想を行って“活性脳”をつくっていきましょう。


著者プロフィール

野宮 琢磨 
医師・医学博士

臨床医として20年以上様々な疾患と患者に接し、身体的問題と同時に精神的問題にも取り組む。基礎研究と臨床研究で数々の英文研究論文を執筆。業績は海外でも評価され、自身が学術論文を執筆するだけではなく、海外の医学学術雑誌から研究論文の査読の依頼も引き受けている。エビデンス偏重主義にならないよう、未開拓の研究分野にも注目。医療の未来を探り続けている。

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※記事内引用文献
Lutz A, et al. Long-term meditators self-induce high-amplitude gamma synchrony during mental practice. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Nov 16;101(46):16369-73

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野宮博士によれば、このような実験はほんの一例で、脳波と瞑想、瞑想がストレス解消に与える影響など、様々なテーマで研究がなされているそうです。

博士の解説は書籍『脳を鍛え、可能性を引き出す究極の成功メソッド MAX瞑想システム™️(中込英人著・モダンミステリースクール刊)P24〜に、詳しく掲載されています。

興味のある方は、ぜひそちらもご覧ください。


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https://mmsjapan.jp/products/脳を鍛え、可能性を引き出す究極の成功メソッド-max瞑想システムtm


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