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宇宙規模での地球の文明レベルは?:カルダシェフ・スケール

今まで私達が学校で受けてきた教育では「人間が生物界の頂点であり、現在のところ地球外生命体や文明の痕跡は確認されていない」という前提で教えられてきたと思います。しかしこれまでの記事で焦点を当てたように、まず未確認飛行物体(UFO)が地球にやってきていることがほぼ確実なようです(*1, *2)。そしてよく訓練された旧ソビエト連邦の宇宙飛行士が6人同時に翼を持った人型の発光体を目撃するという事例も過去に報じられています(*3)。

もし私達以外にもこの銀河系や宇宙に文明を持つ生命体がいるとしたら、どれほど発達した文明が存在しているのでしょうか。また、我々の文明は宇宙規模で見たらどの程度発達しているのでしょうか。過去の記事で挙げたUFOの飛行性能からすると、彼らの持つテクノロジーは現在の人類の持つ科学技術を遥かに凌駕しているようです。こうなると我々が受けてきた教えの大前提が変わってくることになります。

今回は1960年代の非常に古い研究ではありますが、当時から既に地球外生命体や地球外文明にフォーカスを当てていたスケールの大きな論文を紹介します。今回も地球人類のテクノロジーを超えて、銀河レベルのテクノロジー・宇宙レベルのテクノロジーについて思考を拡大し瞑想していきましょう。

・旧ソビエトの天文学者:ニコライ・カルダシェフ
1955年旧ソビエトのモスクワ大学を卒業したニコライ・カルダシェフ(N. S. Kardashev, *4)はシュテンベルク天文学研究所の研究員となり、強い電磁波を放出する天体・クエーサー(*5)について研究することになります。そこで外宇宙から放出される電磁波が地球外文明からの信号である可能性について研究し、地球外生命体研究の専門家となりました。カルダシェフ氏は既にこの時期から地球外生命体の存在を意識し、1964年に興味深い研究論文を発表しています(*6)。

・天体間の通信の可能性を探究
カルダシェフ氏は当時研究していたクエーサーからの強い電磁波の研究にヒントを得て「広大な宇宙に存在する文明の情報を知るには、その天体との通信が可能であることが大前提である」という考えに至ります。そのような視点から、地球を越えて宇宙に向けた電磁波による通信の可能性を探索していきました。

宇宙規模の遠くの天体と通信するにはまず「電磁波信号の出力が一定レベル以上、銀河から放出される熱または電磁波によるノイズよりも強い信号でなければならない」といった条件を満たす必要があり、これについて図2のような計算過程が構築されました(Figure 2. *6)。(図の計算内容自体は理解せずに読み飛ばしても大丈夫です)

・情報出力のパワーをエネルギー消費量から推測
カルダシェフ氏は“情報出力における重要な要素であるパワーは、その文明のエネルギー消費量に比例する”と提唱しています。ここで同氏は当時の世界におけるエネルギー入力/出力の総量に着目します。当時のエネルギー産生/消費の世界的な動向を調査した資料(Figure 3, *7)によると木材→石炭→石油/ガスなど燃料の世代交代が行われる度にエネルギー生産効率が指数関数的に増加していくことが示されています。当時のデータでは全人類が1秒間に消費するエネルギーの総量は約4.0x10^19erg(現在のSI単位では約4.0x10^12W: ワット)とされており、年間増加量は3~4%という試算がされています(*7)。


・エネルギー消費量増加の試算
カルダシェフ氏の試算では、人類のエネルギー消費の年間増加分を x%とすると、
  [ t年後のエネルギー消費量 = (1+x)^t = e^tx  ]
で概算可能としています。これによると3200年後には人類の消費エネルギーは4×10^33 erg/sec (4×10^26W: ワット)となり、太陽が生み出すエネルギーに等しくなり、さらに5800年後には太陽の10^11倍(太陽約1000億個分)のエネルギーを産生するようになるだろう、と推測しています。

・当時の推測の妥当性
このようなカルダシェフ氏の展望は一見飛躍した理論のように聞こえるかもしれませんが、ある面では人類の技術的進化は指数関数的に伸びることが実証されています。コンピュータ業界では有名な法則で「ムーアの法則」というものがあります。これはゴードン・ムーア(Gordon Moore)氏により「集積回路の密度(=コンピュータの性能)は毎年2倍のペースで向上する」ということがカルダシェフ氏論文とほぼ同時期の1965年に研究報告されています(*8)。

そしてなんとFigure 4のグラフに示されるように、当時の報告から50年以上経ってもその法則に沿って毎年2倍の速度でコンピュータの性能が向上し続けています(*9)。なので、カルダシェフ氏によるエネルギー消費量の試算も考え方は妥当性の高いものと考えられます。

・エネルギー消費量によって文明レベルを層別化したカルダシェフ・スケール
カルダシェフ氏は人類のエネルギー消費量の試算から、文明のレベルを以下の3つに分けました(Figure 5, *6, *10)。

  • Type I: エネルギー消費量が現状の地球のレベルに相当する。目安として4×10^12ワット(Fig 5は後述するCarl Sagan氏の提案に基づいているため数値が若干異なっています)。

  • Type II: エネルギー消費量が太陽の産生エネルギーに匹敵する。目安として4×10^26ワット。“ダイソン球(Dyson sphere: 後述)”の建造が可能なレベル。

  • Type III: エネルギー消費量が銀河全体の産生エネルギー(およそ太陽1000億個分)に匹敵する。目安として4×10^37ワット。

このカルダシェフ・スケールを言い換えると、Type I=惑星1個分のエネルギー、Type II=太陽と同等の恒星1個分のエネルギー、Type III=銀河1つ分の全エネルギーを使いこなせる文明レベル、と説明することができます。これは当時としても発想のレベルが想像をはるかに上回っていたのではないでしょうか。

・カール・セーガン (Carl Sagan)氏による補正
この後約10年ほど経った1973年、アメリカの天文学者カール・セーガン氏が発行した著書“The Cosmic Connection. An Extraterrestrial Perspective(宇宙とのつながり.地球外の視点 *11)”においてカルダシェフ・スケールの補正案を提唱しています。この著書では太陽と同等の恒星の全エネルギー(約10^26W:ワット)を使いこなせる文明をType IIとし、Type IIの1/10^10(100億分の1)=10^16W(惑星レベル)をType I、Type IIの10^10倍(100億倍)=10^36W(銀河レベル)をType IIIと定義しました。Figure 5はこの補正されたスケール(*11)を基に描かれており、原版のカルダシェフ・スケール(*6)と若干ずれているのはこのためです。

・地球の文明レベルはType いくつ?
セーガン氏により補正されたカルダシェフ・スケールでは、その文明の消費エネルギーが10^16WをType 1.0、10^17WならType 1.1、10^18WならType 1.2、、、というように10倍になる毎にスケールが0.1ずつ上昇するように設定されています。Type I→Type II→Type IIIとちょうど10^10倍になっているのはその間にある文明も0.1刻みで表現しやすいよう考慮されていると考えられます。

そこで肝心の地球の文明レベルですが、当時のデータから地球の消費エネルギーが10^12Wくらいとすると地球の文明レベルは Type 0.7くらいであろうとセーガン氏は提唱しています。宇宙規模ではType Iに満たない開発途上惑星かもしれません。


・1964年のカルダシェフ・スケールの先見性
今から50年以上も前のことで“宇宙人/地球外生命体”というとSF小説やフィクションの世界であったと思われます。実際、カルダシェフ氏が地球外文明探索に乗り出すきっかけとなった宇宙からの未知の電波源はクエーサー(*5)であることがわかりましたが、このような常識にとらわれない研究視点は当時は貴重であったと思われます。そしてカルダシェフ氏の“人類の技術的進歩が指数関数的に増加する”という試算はムーア氏によって翌年同じような予測が提唱されており(*8)、実際にその後の50年間ほぼ予測通りに技術が発達していることは両氏の先見性が非常に優れていたことを裏付けています。

また太陽の全エネルギーや銀河系の全エネルギーを使いこなす文明の存在を定義するなど、その発想の規模も我々の常識的な考えを打ち破る壮大なものであると言えます。


・カルダシェフ氏の想定外だったこと?
21世紀になり、つい最近になって“UFOが実在する”ということが国際的な認識になってきており、地球外生命体というのもほぼ確実とみられています。カルダシェフ・スケールは“天体間の通信を確立するために必要なエネルギー”という前提で計算されています。同氏の研究のきっかけも宇宙からの強い電波であったように“遠く離れた天体に信号を送信または受信可能なエネルギー限界”という視点から計算が構築されています。

しかし「実は彼らは既に来ていた」のではないでしょうか。確かにカルダシェフ氏らの考える通り、人類の文明は指数関数的に発達していき同様にどこかに存在している地球外生命体の文明も指数関数的に発達していき、いずれは恒星1個の全エネルギーを使いこなせるほどのテクノロジーを発展させるかもしれません。ただし、そのようなテクノロジーを持つ文明が通信技術を用いるよりも「直接来ることができる」という水準にまで到達してしまう可能性が高いと考えられます。

・もっと遠い過去から地球外文明が降り立っていた可能性
さらに推測するならば、外宇宙の高度に文明を発達させた惑星では数百年、いや数千年以上前から地球に対してメッセージを送っていたのかもしれません。奇跡的に有機体で出来た生命の生息できる地球に対して何百光年も離れた星からサインを送り続けていた可能性もあります。もしかしたら「地球から我々にメッセージを送れるまで文明の進化を待つよりも直接行った方が早いのでは?」という決断に至ったのかもしれません。

Figure 7はほんの一部ですが紀元前から地球に存在していた古代文明の代表例です。シュメール・メソポタミア文明、エジプト文明、マヤ文明など古代の遺跡や壁画、文字など多くの文明の痕跡が現在まで残されています。その中には「知られてないはずの太陽系の惑星や星々/翼を持つ人型の存在/異形の頭を持つ神々/宙に浮く乗り物の絵」など地球上のものとは思えないものが描かれ、中には現代に至っても謎が解明されていないことも数多く存在します。

学校の教育では何の解説もなく「過去の人類はこのような文明をもっていた」と教えられてきましたが、原始人のような人類が自力で急にこのような文明を世界各地で同時期に発展させたのでしょうか?「広い宇宙に人類以外に生命体はまずいない」「人類は何千万年もかけて猿から進化した」と何の疑問もなく教育されてきましたが、「UFOが実在した」「人類よりはるかに高度な技術を持つ知的生命体がいた」「有史以前から既に地球にコンタクトしていた」という仮説が成立すると全く話が変わってくるのではないでしょうか

実際に、カルダシェフ氏の文献(*6)では「Type IIやType IIIの文明が銀河系内に1つでも存在すれば膨大な情報が得られる可能性がある」と記述されています。地球上においても先進国から開発途上国に技術がもたらされると急速に発展が促されるケースがあります。それと同様に古代人類に知識と文明をもたらしたのは先にType II/IIIに到達した地球外文明であったのかもしれませんね


・ダイソン球(Dyson sphere)とは
先程のカルダシェフ・スケールのType IIに“ダイソン球の建造が可能なレベル”と定義されていました。これはフリーマン・ダイソン(Freeman J Dyson)という物理学者がカルダシェフ氏の研究発表に先駆けて1960年に公表した研究(*14)において、文明の進化が指数関数的に加速することや地球外生命体の存在について考察しており、「我々がそのような地球外生命体を観測できる頃にはその文明ははるかに進歩しているだろう」という考察を述べています。

さらに「高度に進歩した文明においては太陽のような恒星から放出される熱や光を効率良く利用できるような人工生物圏(artificial biosphere)を構築しているだろう」と記述しています。これはどうやらスペースコロニーのような人工生物圏を意味していたとも言われていますが、下図(画像引用 *f)のような「恒星をまるごと取り囲みエネルギーを収集する球体(sphere)」というイメージが定着し、カルダシェフ氏もそのような概念でType II文明レベルに組み込んだとされています。

いずれにしてもとても規模の大きな話です。カルダシェフ・スケールというのは皆さんご存知だったでしょうか。もちろん知らなくても当然のことですが、太陽を丸ごと包み込んでしまうような球体の構築やこの銀河全体のエネルギーを自在に使いこなせる文明とはどのようなものなのか想像を巡らせてみましょう。ここで紹介したカルダシェフ氏やセーガン氏、ダイソン氏らの頭の中にはこれらのような文明がイメージされていたのではないでしょうか。

ちなみに人類の技術の進歩は現在も急速に進んでいます。歴代のスーパーコンピュータでは1997年〜2000年まではアメリカのサンディア国立研究所製の"ASCI-Red"というスーパーコンピュータが約1テラFLOPS(1秒間に1兆回の計算速度)で3年間世界一を保持していました(*15, *16, *17)。その大きさは15メートル〜20メートル四方の部屋にコンピュータが敷き詰められているようなサイズです。しかし、2022年に発売されたスマートフォンのiPhone 14は約2テラFLOPSでこのASCI-Redを上回りました。つまり、12年前は世界一であったスーパーコンピュータの倍の性能のコンピュータが街を歩いている一般人のポケットに入っていたりする昨今です。

宇宙は予想以上に急速に私たちにとって身近な領域になるかもしれません。宇宙規模・宇宙視点で物事を観ることができるように思考を宇宙に向けて大きく拡大していきましょう。そして、我々が学校で受けてきた教育や学校の教え、今まで信じてきた常識がどこかで180度ひっくり返るかもしれません。その時がいつ来てもいいように、常に周囲に流されることなく自分の直感を信じて正しい情報を選び、自分で想像して考えるようにしていきましょう

(著者:野宮琢磨)

野宮琢磨 Takuma Nomiya  医師・医学博士
臨床医として20年以上様々な疾患と患者に接し、身体的問題と同時に精神的問題にも取り組む。基礎研究と臨床研究で数々の英文研究論文を執筆。業績は海外でも評価され、自身が学術論文を執筆するだけではなく、海外の医学学術雑誌から研究論文の査読の依頼も引き受けている。エビデンス偏重主義にならないよう、未開拓の研究分野にも注目。医療の未来を探り続けている。

引用:
*1. 21世紀、UFOに対する世界の認識
https://note.com/newlifemagazine/n/n675d5dea739e
*2. UFO情報公開と某大国の動向
https://note.com/newlifemagazine/n/n5e9e3a134353
*3. 宇宙飛行士が見た地球外生命体?
https://note.com/newlifemagazine/n/nd948625fbace
*4. ニコライ・カルダシェフ−Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ニコライ・カルダシェフ 
*5. クエーサー−Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/クエーサー 
*6. N. S. Kardashev. TRANSMISSION OF INFORMATION BY EXTRATERRESTRIAL CIVILIZATIONS. SOVIET ASTRONOMY-AJ VOL. 8, NO. 2. Translated from Astronomicheskii Zhurnal, Vol. 41, No. 2, pp. 282-287, March-April, 1964
*7. P.C. Putnam, Energy in the Future, New York 1948.
*8. Moore G. Cramming more components onto integrated circuits. Electronics, Volume 38, Number 8, April 19, 1965
*9. ムーアの法則−Wikipedia.
https://ja.wikipedia.org/wiki/ムーアの法則 
*10. Kardashev scale- Wikipedia.
https://en.wikipedia.org/wiki/Kardashev_scale 
*11. Carl Sagan. The Cosmic Connection. An Extraterrestrial Perspective. New York : Doubleday, 1973.
*12. Watch the Pentagon's three declassified UFO videos taken by U.S. Navy pilots. CNBC Television. https://www.youtube.com/watch?v=rO_M0hLlJ-Q
*13. https://edition.cnn.com/2017/12/19/us/pilot-david-fravor-ufo-jim-sciutto-outfront-cnntv/index.html
*14. FJ Dyson. Search for artificial stellar sources of infrared radiation. Science, 1960 -Vol 131, Issue 3414, pp. 1667-1668
*15. 2020-06-26スーパーコンピュータ演算性能の変遷. by ATATAT.
https://atatat.hatenablog.com/entry/2020/06/26/003000 
*16. ASCI Red-Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/ASCI_Red 
*17. FLOPS-Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/FLOPS 
画像引用
*a. https://wallpapercave.com/w/1pHKafp
*b. https://wallpaperaccess.com/sumerian
*c. https://pixabay.com/photos/egypt-papyrus-royals-1744581/: By Souza_DF
*d. https://pixabay.com/photos/camel-desert-pyramids-egypt-person-1839616/ By Pexels
*e. https://wallpaperaccess.com/mayan#google_vignette
*f. https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/6f/Dyson_Sphere_Render.png

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