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ぼくの王国 #6「オンボロレストラン」|小説 ユニバーサル・カバラの物語 第一章

ぼくが買い取ったレストランは町の外れにある。売値の割に敷地は広く、フロアもたっぷりとってある。ぼくはカントリー調の外観が気に入った。5つ星レストランにはなりそうもないけれど、ぼくには勝算がある。居抜きで買ったこのレストランで、ぼくは明日にでも開店する勢いで準備をはじめる。
水道水を流すと水道管が破裂する。電気は一部しか通っていない。木目調のアンティークの椅子やテーブルは座るとガクガクしてひっくり返る。止まったままの時計の日付は数年前を指している。このレストランは長い間放置されている。

「話が違うじゃないか。これじゃあすぐに開店なんてできるまい。大掛かりな修理と改装が必要だ」

5つ星レストランを一緒にやめて、ぼくについてきた仲間は怒る。

「これは詐欺だぞ。はやく弁護士を雇ってお金を返してもらえ」

ぼくは言う。

「弁護士を雇うお金がどこにある? ここを買い取るためにぼくはあちこちからお金を借りた。弁護士に払うお金どころか小銭もない。一刻も早く店を開かないと、ぼくは破産する」

仲間は愛想を尽かし、悪態をつきながらぼくの元から去っていく。

ぼくはおじさんの道場に向かう。道場には腕っぷし自慢の左官屋や家具屋が空手を習いにきている。ぼくは彼らに言う。

「ぼくはレストランを買い取った。キミたちが食べたことがないような料理をだすためにね。ところが建物には修理が必要だ。でもぼくにはもうお金がない」

太ももぐらいの太い腕を見せつけながら、左官屋は言う。

「オレに任せろよ。尊敬する先生のためなら、いくらでも修理してやるよ。お金なら出世払いにしておくから」

あくる日、左官屋と家具屋、水道、電気、ガス工事、庭師までぞろぞろ連なってやってくる。体力自慢の彼らは昼夜ぶっ通しで仕事に精をだす。歩くとボコボコする床も補強されて、オンボロだった設備もすっかり新しく取り替えられる。


ぼくが町中で配った募集用紙を手にして、スタッフ希望の面接者がやってくる。この国のやつらは誰かと競うように激しく自己アピールをする。ぼくは早口でまくしたてるやつらを遮って言う。

「アピールはもう結構。ぼくが知りたいのは、キミの長所じゃなくて短所だよ。キミの欠点をできる限り言ってみてよ」

面接者はキョトンとする。ぼくは、自分の悪いところをはっきり自覚できない人を雇ったりしない。

厨房とホールと、ギリギリの人数のスタッフが集まる。サービス経験が少ないやつらに、ぼくはお辞儀の角度からたたき込む。

「こんな田舎の店で、そこまでやる必要があるのかよ」

やつらはブーブーふてくされる。ぼくは言う。

「このレストランにはやがて一流の客がくる。つべこべ言わずに言われた通りに一流のサービスをめざすんだ」

いよいよ開店を迎える日、ぼくの厳しい注意に怒った厨房のコックが店から逃げだす。ぼくは仕方なく、無我夢中で包丁を握る。

→ …続きを読む(ぼくの王国 7「予約でいっぱいのレストラン」)

前回の話はこちら。


​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人
モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』
谷村典子
作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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