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ぼくの王国 #7「予約でいっぱいのレストラン」|小説 ユニバーサル・カバラの物語 第一章

ぼくは毎日時計を見るひまもない。夜中に店を閉めて、シャワーを浴びて下着を変えるためにアパートに帰る。そしてすぐにレストランに取って返し、次の日の仕込みをはじめる。いつも新しいものを求めるお金持ちの客のために、ぼくは新しいメニューをひねりだす。


ぼくのレストランは口コミで客足を伸ばす。5つ星レストランでつかんだコツが活かされる。お金持ちの欲求を満たすために、こだわりの食材やおもてなしのサービスを提供する。自尊心をくすぐられる客は、見栄を張るためにぼくのレストランを使う。


ぼくは遠い国からやってきて、自分の力でレストランのオーナーになった。若くして野心に燃えるぼくは世間でもてはやされる。同時に、すぐにブームは去っていくだろうと陰口をたたかれている。ぼくは勢いを絶やさないようにひたすら走り続ける。


接客のリーダーがぼくのところへやってくる。


「今日も予約が減っているようですが」


開店からずっと右肩上がりだった予約客の数が減っている。フロアの改装も終わり、新しいメニューも頭打ちで、レストランは勝負の時を迎えている。ぼくは店の勢いが衰えることを死ぬよりも恐れる。

ぼくはスタッフ全員を集めてハッパをかける。


「予約を増やすアイデアを考えてきたやつはいるか?」

ぼくは店のことはなんでもスタッフに相談する。スタッフはお互いに顔を見合わせる。


「考えてみたけど、むずかしくて」

「色々なことはもうやり尽くしたと思うんで」

新しいアイデアはなかなかでてこない。開店してからイベントも数々企画した。もう打つ手はないのか。


ちょうどその時、予約の電話がかかってくる。近くにいたぼくはスタッフの代わりに受話器を取り上げる。
受話器の向こうの客が言う。

「今晩、19時に2名で予約を入れてくれ」

スタッフが予約票をぼくに見せる。19時からの予約は空いている。

「申し訳ありませんが、その時間は予約でいっぱいです」

スタッフは一様に目を見開いてぼくを見る。ぼくはかまわず続ける。

「もしお席が空いたら、こちらから連絡をしましょうか?」

「そうだな、じゃあそうしてくれ」

ぼくは常連客の電話番号をメモに書き留めて電話を切る。

スタッフが口々に言う。

「予約は空いているのに、どうして断ったりするんですか」

ぼくは笑う。

「売り上げを伸ばすためさ」

しばらく経ってから、ぼくは常連客に電話をかける。

「もしもし。19時からお席に空きがでましたが、どうしますか?」

常連客の声が弾む。

「そうか。それなら取っておいてくれ」

ぼくはさらにたたみかける。

「大変申し訳ないのですが、次の予約が20時半に入っております。お食事は1時間半でお願いします」

「仕方ないな」

ぼくは電話を切る。接客のリーダーが心配する。

「そんな失礼なことを言ったら、お客さまは怒って、もう来ないかもしれない」

ぼくは笑う。

「むしろ喜んでいるよ。お金持ちは流行っている店が好きなんだ」

ぼくの予想通り、常連客はそれから毎日やってくる。ぼくは時間制限付きの予約システムを導入する。停滞していた売り上げは巻き返し、勢いは加速する。

→ …続きを読む(ぼくの王国  8「謎の本」)

前回の話はこちら。


誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン
モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー 。
中込英人
モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子
作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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