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ソフトバンクからAI特化型VCへ。数多くの投資を手がけてきたDEEPCORE 仁木氏が起業家を見極めるポイントとは

New Innovationsは2023年4月に合計54.1億円の資金調達を完了し、OMO 事業のさらなる拡大に向けて動き出しています。引受先となったAI特化型ベンチャーキャピタル「DEEPCORE」の代表を務める仁木 勝雅様と当社CEOの中尾・COOの山田が対談を実施。いかにしてNew Innovationsのポテンシャルを見出したのか。そして、これからの事業展開への期待について、投資家の視点からお話いただきました。

■投資家プロフィール
仁木 勝雅(にき・かつまさ)
2016年まで、ソフトバンクグループの投資部門責任者として、国内外の投資案件を担当。ボーダフォン日本法人やSprintといった大型M&Aに加え、Aldebaran RoboticsやGrab、Coupangなど海外のテクノロジー企業やスタートアップへの出資に携わったほか、Renren、Supercell、Grab、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、ジーニー等において取締役を務めた。現在はDEEPCOREにて、アーリーステージのAIスタートアップへの投資活動を行っている。

起業家が持つべき特性は「周りに迎合しないパワー」

──さまざまなスタートアップがあるなかで、投資を行う「決め手」になるのは何ですか。

仁木:産業構造を抜本的に変えられそうな事業や技術を持っているスタートアップに投資しています。また、起業家自身が「異端児」であり「変態性」を持っているかも見ていますね。周りに迎合せず、自らの世界観を持って突き進んでいける情熱とパワーを持ち合わせているかが、大事な要素だと考えています。

我々はファンドを立ち上げポートフォリオ投資を行っているわけですが、もちろん全部が成功するわけでもありませんし、確実に成長を予想できるわけでもありません。

起業家が持っていて我々投資家が持っていないのは、革新を起こすパワーだと思っています。

革新を起こすパワーを持っている起業家は誰か。ビジョンが実現したときに社会を変えられるスタートアップはどこか。という視点で投資先を選定するようにしています。

──さまざまなスタートアップや経営者を見てこられた仁木さんが、New Innovationsに投資を決めた理由を教えてください

仁木:中尾さんと初めてお会いすることになったとき、幼少期から炊飯器を分解して、ロボコンでは世界大会への出場経験もあるという経歴から、“THEロボット少年”が来るかと思っていたんです。それがいざ会って話してみたら、ビジネス感度が高く事業理解も深かった。

特に日本において、技術力は高くても、それをビジネスにするにあたって壁にぶつかるエンジニアが多いように感じています。

一方で中尾さんは、初めて会った18歳のときから、技術とビジネス両方の性質を持っていて、稀有な起業家だと思いました。

あと、投資を決めるにあたって年齢にはこだわっていませんが、若いからこそのフレキシビリティもあるなと感じました。

──創業時からNew Innovationsを見てきて、変わったと思う点はありますか

仁木:変わったというか今でも驚いているのは、COOの山田さんと一緒に経営をしていることですね。中尾さんは一人で進めていくと思ってたんですよ。

山田:なんで一人でやっていくだろうと思ったんですか?

仁木:当初は、単独行動の印象が強かったんです。高校生の頃から自分で事業もやっていた実績もありましたし。山田さんと二人でリーダーシップを取り、組織としても大きくなってきたなと思います。

──経験豊富なシニアエンジニアから現役大学生までいて、すごく多様性のある組織ですが、こうなると想像していましたか

仁木:成功するためにはこうならなきゃいけないとは思ってました。

今までマニュファクチュア系のスタートアップって、日本ではあまり成功してないんです。技術を持っている人を採用し、組織として成長させていく必要があるのをよく理解した組織形成を進めることができていると思います。

──ディープコアでは海外スタートアップへの投資も積極的に行っていますが、日本と海外で違う点はありますか。

仁木:日本は海外に比べ、起業することがキャリアパスとして定着していないので、起業家の数がまだまだ少ないと思っています。また、M&AやIPOを経験し、もう一度起業するシリアルアントレプレナー(連続起業家)も少ないですね。

海外のVCを見ていると、日本のように若い人だけでなく、シニア層の人もたくさんいるんです。カンファレンスに行っても、老若男女問わず、さまざまな年代の起業家やキャピタリストが集っています。日本のように若手を中心にスタートアップ界隈が盛り上がっている様相とは、随分と違いを感じますね。

グロースまで見届ける、責任のある投資をしたい

──企業は加速度的な成長を促すアプローチとして投資やM&Aを行って事業を拡大しますが、仁木さんは前職時代にどういう思いで取り組まれていたんでしょうか。

仁木:孫さんのビジョンを信じていたので、その考えを実現すべくファンドの仕事をしていました。あと、「こんなことをできる会社は日本になく、それができるポジションにいるのは僕しかいない」という確信をもって取り組めたことも大きかったです。

もちろん、前例がなく難易度の高いことをしようとしているので、辛いことや厳しいことも経験するので苦労した部分もありますが、僕のポジションにつきたくてもつけなかった人は多かったと思います。今はビジョンファンドに関わる人数が増えていますが、当時のソフトバンクグループにおける投資企画の部署は、本当にコアなところでした。そのような組織があることもあまり知られていなかったと思いますし、孫さん直下で投資事業をやりたいと思う人もたくさんいたなかで、そのポジションで働ける僕は、すごくラッキーだったと思っています。

アーリーフェーズの投資に興味を持った背景

──事例がない、方法論がないという、何も参考材料となるものがないなかで、どのようにディールを組んでいったのでしょうか。

仁木:弁護士事務所や税理士事務所、通信関係の買収の場合はネットワーク部隊など、プロフェッショナルサービスを巻き込んで何度もディスカッションを行っていました。もちろん、そこに孫さんも入って議論を進めていきます。自分だけでストラクチャを組める場合は、いろんな国の弁護士事務所に案を出してもらって、ディスカッションし、ひとつの方向に決めていきました。

中尾:自分だけで決めていくのに怖さはなかったですか。本当にあっているかどうかわからない状況なわけで。

仁木:もちろん怖いですよ(笑)。当然リスクが伴う場合は弁護士からも事前に周知してもらえますが、誰かに指摘されるかといえば、正直わからないです。そのため、後から刺されて痛い目に合う場合もあるかもしれないという状況と隣り合わせでした。

中尾:ファンドでこの企業に「投資するか否か」よりも、「リスクを背負ってでも投資する」というスタンスの方が、ある意味では武者震いするようなやりがいを感じていたんでしょうか。

仁木:そうかもしれませんね。ですが、一通り経験してしまえば、自分の中では区切りがつけられたような気がします。いっとき、M&Aや投資が「誰がやっても同じ結果になるのでは」と思っていた頃もあります。それが契機となって、自分でVCをやろうと決意したんですよ。

中尾:誰がやっても同じというのは、“仲介役”のニュアンスが強いからですか。

仁木:スキームが決まれば、それこそ誰でも対応できるようなフォーマットがあります。自分が考えるというよりも、優秀なプロフェッショナルサービスを使いながらいろいろと決めていくので、それって自分が旗を振っているだけなのではと感じていた部分もありました。案件は違えど、同じことの繰り返しのように思えてきてしまって、ボラティリティ(価格変動率)は高いけれども将来化けるかもしれないアーリーステージのスタートアップへの投資に次第に興味を持つようになりました。

中尾:完成度がある程度高いものをどう組み合わせるかというのと、これは果たして将来どうなるんだろうという期待値の違いですか。

仁木:そのとおりです。他にも、ビジョンファンドの頃は現在名前が知られているSupercell(スーパーセル)やGrab(グラブ)などをエグゼキューションしてM&AやIPOをするまで見届けていました。他の会社では投資のエグゼキューションが主な仕事だったこともあります。ソーシングしてエグゼキューションした後はポートフォリオのマネジメントチームやPMI(ポストマージャーインテグレーション)のチームに渡すといったフローだったのです。

大型の投資案件や他では転用が効かないような難しいディールも数多く経験してきたので、知見やノウハウはかなり身につきましたが、もっと「責任のある投資をしたい」と考えるようになったんです。グロースまで見るVCをやりたいという思いが、ディープコアを立ち上げるきっかけになりました。

前職のときは大きなファンクションの中のひとつとして投資をしていたのに対して、ディープコアではお金を預かって投資をしています。だからこそ、今はすごく一つひとつの意思決定に対して責任を感じているので、それがやりがいにもつながっていますね。

──今後、New Innovationsに期待することを教えてください

仁木:New Innovationsは、何もないところから事業ドメインを決め、AIカフェロボットのビジネスからOMOソリューションを展開するまでになっています。どんどん変化する社会情勢や市場ニーズに合わせて、柔軟に切り替えていける能力が非常に高いと考えています。ソフトウェアとハードウェアをかけ合わせることで課題解決を行うビジネスモデルを確立し続けていくことで、世界で戦える存在になると期待しています。

今動いている大きなプロジェクトも、秋には店舗実証も始まる予定ですし、OMO 事業の出だしとしては順調といえるのではないでしょうか。着実に実績を積み重ねることで、次の大きな案件に繋がっていくと思います。

ぜひ、日本に閉じずに世界に展開していってください。

●採用情報
New Innovations は、OMO領域における事業企画及び技術者を積極採用しています。人型ロボットをはじめ様々な開発に携わってきたシニアエンジニアや、幼少期からロボット製作に携わり国内外のロボットコンテストで優勝した若手人財まで、幅広いメンバーが活躍している開発組織です。
ご応募お待ちしております。
https://hrmos.co/pages/newinov/jobs


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