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【エッセイ】伊豆①─いざ、伊豆の国へ!!─『佐竹健のYouTube奮闘記(67)』

 城めぐりの旅が、5月2日に再びはじまった。以前から考えていた上洛を視野にいれた城めぐりを実行に移すこととなったのだ。題して、

「東海城めぐり」

 と名付けることにした。

 東海城めぐりに決めた詳しい経緯については、以前投稿した『【エッセイ】これからの方針「佐竹健のYouTube奮闘記(60)」』に詳しく書かれている。

 この日の天気は晴れていたが、動くには調度いい気温だった。昨日雨が降っていたからだろうか。夏ファーストはこういう日があるから、まだどこかへ出かけようとか思える。

 巣鴨駅から山手線に乗り、池袋で降りた。そこから埼京線に乗り換え、新宿で降りた。新宿からは小田急線に乗って、そのまま小田原へと向かった。

 相模編で行くときに見たヒトの欲望渦巻く大都会を走り、都心の延長線の郊外を走り抜ける。いつも鎌倉へ向かうときに降りている相模大野を素通りし、列車はそのまま西へと向かう。

 西へ向かうと、山の風景が目立つようになってきた。山は城壁のように麓にある町を囲っている。秦野の方へ入ると、この傾向はさらに強くなった。もう私の知っている神奈川ではない。

 同時に『新世紀エヴァンゲリオン』に出てくる第3新東京市に似ているなと思った。山とその稜線にある送電用の鉄塔、その麓に広がる町という構図のためだろうか。一部赤くしたら『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』に出てくるそれっぽくなる。

 そういえば『新世紀エヴァンゲリオン』の舞台は箱根だったか。作中に芦ノ湖とか小田原といった具体的な地名が出ていた。


 小田原駅で降りた。

 小田原駅を降り、改札を抜けると、目の前にはお土産屋さんがあった。お土産屋さんには北条氏の家紋が使われている。

 JR東海道線の駅に入ったとき、北条五代祭りの案内があったのが目に入った。予定日は明日5月3日。行けそうにない。

(少し興味あるから見てみたかった)

 実は最近司馬遼太郎の『箱根の坂』という北条早雲を題材にした小説を読んでいるので、少し興味がある。でも、今回の目的は小田原を巡ることではないので、案内を目に入れるだけに留め、JRの東海道線の列車に乗った。


 JR東海道線に乗り換えて、三島を目指した。

 三島へは、高校の修学旅行で新幹線に乗った際通過している。その後だったかで、静岡で富士山を見たときの感動は、今も忘れられない。

 残念ながら、JR東海道線の車窓からは富士山は見えなかった。その代わりに、相模湾の海が見えた。

 伊豆側の相模湾の海は、鎌倉や江の島から見えるものとは大いに違っていた。

 山沿いのためか、むき出しになった岩肌が見える。そこに白い波がぶつかっては青い海へ還っていくのを繰り返している。

 列車は真鶴、湯河原と経由していき、熱海へと入った。

「熱海」

 この地名を耳にすると、つい文豪を連想してしまう。

 ここで有名な小説家が海の見えるホテルを借りて執筆し、時折近くにある温泉へ寄って、そこで息抜きをしている。そんな優雅な光景を連想してしまう。

(そういえば川端康成の『伊豆の踊子』の舞台ってこの辺だっけな?)

 ふとそんなことも考えたりした。中学の時に一度読んだ覚えがあるが、どういう話かは忘れてしまった。もし機会があったら、また読み返そうと思う。

 私は熱海で浜松行きの列車に乗り換え、三島を目指した。

 ちなみに伊豆国へは、もう入っている。


 三島駅へと着いた。ここで伊豆箱根鉄道に乗り換え、最初の目的地がある韮山を目指す。

 伊豆箱根鉄道に乗り換えるため、いつものように、私はここでSuicaを使って降りようとした。だが、駅員さんに、

「もしかしてSuicaで来られましたか?」

 と聞かれた。

 私は、はい、と答える。

「三島駅からはSuicaは使えないんですよ。なので、改札にある窓口で一度清算して券を買ってから入るようお願いします」

 駅員さんは丁寧に説明してくれた。どうやら、私のようにSuicaを使って乗り換えようとするけれどできない人が多くいるらしい。

「わかりました」

 私は駅員さんの説明通りに改札の窓口へと向かった。

 改札の窓口には、長蛇の列ができていた。ここにいる人たちは、私と同じJR東日本の列車に乗ってここまで来た人なのだろう。

 しばらく並んだあと、精算を済ませて三島駅を出た。

(Suicaって全国共通じゃないのね……)

 ずっとSuicaが全国共通だと思っていた。みんなSuicaを使っているから、てっきりどこでも使えるのだと思っていたから。

(また最初の旅で誰かに助けられてしまった…)

 同時に去年土浦へと行ったときにやってしまった失態を思い出した。

 日暮里駅から常磐線に乗って土浦へと向かったのだが、土浦駅を降りようとしたときに、ドアが開かないということがわかり、戸惑ったということがあった。

 幸い、後ろにいた黒いスーツを着た中年男性がボタンを押してくれたことで、何とか出ることができた。

 旅というのは、誰かに助けられたり、反対に誰かを助けたりすることの繰り返し。この事実を強く痛感させられた。いつも助けられてばかりで、とても申し訳なく感じた。同時に、旅先で誰かを助けられるようになれたらなとも。

 私は改札の窓口で精算を済ませた。そして券売機で切符を買い、伊豆箱根鉄道の改札を抜けた。そして数分後に来る修善寺行きの列車に乗り、韮山を目指した。

(続く)


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