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MSP稽古取材日誌~明大生とシェイクスピア劇~ No.4

こんにちは!おちらしさんスタッフの望月です。
若い世代に向けて舞台芸術情報を発信する「ユニコ・プロジェクト(通称:ユニコ)」。

ユニコでは現在、明治大学が主催する学生演劇団体明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)」 に密着取材をさせていただいております。

そして、その舞台製作の風景を、取材日誌として随時公開しています!

▼前回の記事はこちら▼

11月4日の本公演本番まで、あと1ヶ月。
今回の【MSP取材日誌 No.4】は、舞台を彩る衣裳、音楽、美術のセクションに密着しています。ぜひご覧ください!!


10月1日(土)
【本公演】衣裳パレード、楽器隊リハーサル、
舞台美術チームの”吊りもの実験”

この日はまず、和泉校舎で行われた「衣裳パレード」の見学にお邪魔しました。
衣裳パレードとは、役の衣裳をそれぞれの役者に着てもらい、サイズ感や色味、そもそものイメージなど、演出家と衣裳スタッフの間で確認する時間のことです。MSPの場合は、衣裳デザインの段階から、かなり細かく演出家とデザイナーが打ち合わせを重ねているので、大きくイメージが違うことはないのですが、その役の動き方やキャラクターは、日々の稽古でも変わっていくもの。また、他の役とのバランスもあったりもするので、何かとこの日には修正が入るものなのです。

役者たちは、同じシーンに出る役同士で構成されたグループごとに、
衣裳をつけて、衣裳・演出チームの前に並びます。

まだ製作途中の衣裳もあるので「ここにこの装飾がつきます」「布の材質はどっちがいいですか?」など、衣裳チームは演出家のイメージを確認しながら、どんどんとそれを具現化していきます。衣裳チームのメンバーは20人以上いるので、役者に衣裳を当てる人、丈を合わせ修正の指示を出す人、その指示を書き留める人、さらに、演出家のチェックが終わった役者の衣裳付き写真を撮っておく人と、システマチックに、テンポ良く進められていました。

『二人の貴公子』の衣装合わせ。
「もっと素敵にするには・・・」
と試行錯誤中!

初めて本格的な衣裳を身につけはしゃいでいる学生らしい一面を見せる役者もいれば、あと何を加えればもっとカッコよくなるか?と真剣な表情で悩む衣裳スタッフもいました。
素敵な衣裳が出てくる度に「うわあ!」「かわいいー!」「優勝!」と、盛り上がるシーンもあり、皆さんがこの時間を、重要視しながらも、楽しんでいるのがよくわかりました。

私は初めて知りましたが、SHEINというショップサイトがあり、揃いで大量に必要なものがあるときには、そこで買うと安くて便利なのだそうです。一方で、日暮里に昔からある布問屋のTOMATOは未だに使われているようで、ロゴを見て懐かしい気持ちにもなりました。

安く質のいい布製品を取り扱う「TOMATO」。
今でも、服飾を学ぶ学生に愛されています。


このあと和泉校舎内の図書館にも入らせていただき、受付の目の前という好立地に設置された、MSPの特設コーナーを見せてもらいました。

シェイクスピア、舞台芸術など、
MSP関連の本がずらり。
本公演前の予習にぴったりのコーナーです。

MSPの認知度アップのための施策として図書館と連携し、POPの作成や、このコーナーに置く本(主にシェイクスピアの戯曲)のセレクトも、MSPの制作部が行っているのだそうです。MSPのコーディネーターである井上先生の書かれた、MSPの記録本も置かれており、ちょうど今年と同じ演目「夏の夜の夢」「二人の貴公子」をやっていた年の上演台本も載っているので、宣伝力のあるコーナーだと感じました。

こちらがMSPの記録本!!
これを読めばMSPの歴史や魅力が丸わかりです・・・!


午後は場所を駿河台キャンパスに移し、次にお邪魔したのは楽器隊のリハーサル。
この日は全員参加ではなかったのですが、ほとんどの楽器が揃った状態で、1曲ずつ丁寧にさらっていく様子を見学させてもらいました。
リハの進行は楽器隊チーフの富田新菜さんが行い、演奏に対して、作曲の神田大輝さん、音楽監督の丸山怜さんが細かく演出を施していくというスタイルで進められていきます。

MSPの醍醐味でもある生演奏。
しっかりと、着実につくりあげていきます。
※感染対策を行った上で演奏時のみマスクを外しています。

「裏拍でタンバリン足してみようか」「”32”でフォルテッシモに!」などの指示が飛び、皆さんミュージシャンらしくすぐさま対応していきます。短時間聴いていただけでも、この作業を重ねていくことで、みるみる曲が良くなっていくのがわかりました。

音源のイメージと楽譜が違うところは、
どんどんと修正。更に良くするために、
その場で次々と指示が出ます。

やり取りの中から、皆さんが”芝居”を大切にしているのが感じられます。たびたび「あとは役者の気分に合わせよう」とか、「今はまずテンポを大事に、でも、最終的には歌えるように!」という会話が飛び交っていました。ただ楽譜通りに正確な演奏するのではなく、芝居と一体になることを良しとする価値観が、楽器隊全員にしっかりと浸透しているのです。

さらに、舞台美術部は、本番を行うアカデミーホールにて”吊りもの”実験を行っていました。
MSPの舞台美術では、毎年、舞台上に楽器隊のためのスペースがあるのですが、今年はそのエリアを、円柱状の布で囲うプランになっています。この弧を描いた吊りものを、直線のバトンから吊るすためにはどうすればいいのか?を検証するため、舞台美術部の学生さんたちはもちろん、ホールのスタッフさん、プロスタッフの村信保さんも立ち会って、イメージどおりに、しかも危険のないように細心の注意をはらいながら、実験が進められていました。

大きな布を円形に吊り下げるのは、
かなり難しい作業でした・・・!

舞台美術チームのチーフ・藤原李菜さんにエレベーション(立面図)を見せてもらったのですが、かなり凝った美術で、実現したら会場に入っただけでも一気に芝居の世界に引き込まれそうな圧倒的迫力のプランなのです!この段階では仮の布でしたが、必ずや素晴しいものになるだろうと、またも期待が膨らむのでした。

一体どんな舞台デザインになるのか・・・。

この日、ずっと案内をしてくれたプロデューサーの金子真紘さんも、改めてこうして各部署を回るのは珍しいことだそうで、メンバーのプロフェッショナルな部分に触れて、そのすごさに目を輝かせていました。
そして今回、本番の際には、私たちネビュラエンタープライズのチラシ束を配布してくれることにもなっています。その打ち合わせなどもあり、実に丸1日、お付合いいただきました。

長期間の取材に、もはや他人事ではなくなっている MSP。本番まで1ヶ月。ここからさらにどのような進化を見せてくれるのか、楽しみで仕方ありません!

【担当記者:福永】

▼次回の記事はこちら▼

▼公演の詳細はこちら▼

第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト
『夏の夜の夢』『二人の貴公子』

公演日程 2022年11月4日(金)〜6日(日)

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