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MSP稽古取材日誌 ~明大生とシェイクスピア劇~ No.5

こんにちは!おちらしさんスタッフの望月です。
若い世代に向けて舞台芸術情報を発信する「ユニコ・プロジェクト(通称:ユニコ)」。

ユニコでは現在、明治大学が主催する学生演劇団体明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)」 に密着取材をさせていただいております。

そして、その舞台製作の風景を、取材日誌として随時公開しています!

▼前回の記事はこちら▼

今回の【MSP取材日誌 No.5】は、大詰めを迎えたカンパニーの通し稽古の様子をお送りします!ぜひご覧ください。


10月9日
【本公演】通し稽古

この日は、本番が行われる駿河台キャンパス、アカデミーコモンのアカデミーホールを使っての通し稽古でした。
役者はもちろん、各セクションのスタッフも、各々の仕事の目線で客席に集まっており、本番を意識しているためか、緊張感のある雰囲気になっていました。

積山さん(手前右)が舞台説明を行っている様子。
舞台美術がある体で舞台を進めます。

最初にまず、演出助手の積山さんから、舞台セットの説明があります。
本番ではセットの二重舞台の下に通り抜けられる穴(出ハケ)があるので、この通しでは、その実寸がとられた木の枠が置かれました。この穴を使う役者は実際に木枠を通ってみることになります。こんなことからも、本番が近づいていることを感じられるのです。

通し稽古開始前に、演出の養父さんに今日のテーマを聞いてみると、「実際の舞台でやることで、距離感などをしっかり体感してほしい」とお話ししてくれました。

積山さん(左)に続いて、
養父さん(中央左)も補足説明しています。

この日はまず、2作品のうち、『二人の貴公子』からのスタート。
前回の見せていただいた通しのときにはまだついていなかった、オープニングダンスや殺陣のシーンも出来ており、かなり見どころ満載な印象を受けました。殺陣はまだまだ練習が必要そうな部分が見受けられるものの、充分に迫力が!!ますます本番が楽しみになりました。

迫力のある殺陣シーン。
前に見たときより動きが滑らかに・・・!

約1時間半で1作品目の通しが終わると、30分ほど休憩時間に。
この間、すぐさま、演出の養父さんは各セクションのスタッフたちと確認作業に。気になった点を共有するのに駆け回っていました。

どこをどうすればより良い舞台になるのか。
各シーンを念入りにチェックします。

次に2作品目の『夏の夜の夢』の通し。
こちらも、前回よりかなり芝居がブラッシュアップされており、特に養父さんが力を入れていた“笑い”のシーンは、質・量ともに仕上がっていました。古典劇のコメディとして、品格は保ちつつ、それでも関西人の養父さんらしい今どきな「間」の笑いが入るなど、ハイレベルな舞台へと変化が見られました。

何より、客席の養父さんが役者のボケに大笑いしている様子は、役者への愛を感じ、微笑ましかったです。

「通し稽古中も、思わず笑ってしまう・・・」
そんな舞台に仕上がっていました。

この日は音響のプロスタッフ・ワンダースリーの浦崎貴さんもいらしており、通し後には、全体へのコメントもありました。大劇場のため、役者はみなハイテンションで、声のボリュームを上げてがんばっているのですが、それを続けると、喉を傷めてしまうとのこと。「マイクフォローもつけるから、もっと自然体で演技できるように」という、的確で学生想いの温かいアドバイスでした。

MSPコーディネーターの井上先生も同様に、役者ばかりがハイテンションになってしまい、お客様を置いていってしまわないように、強弱をつけることでお客様の心へ台詞が届くように心がけるよう、伝えていました。
また、先生からは、劇場でも稽古場でもとにかく「走るな!」と。気が急くのはわかるが、テンパって全速力で走ったりすると、必ず事故の元になるとのお言葉が。
無事にこの公演が成功することを真摯に願ってのコメントに、学生たちも静かに聞き入っていました。

キャストがのびのび演技が出来るように、
各セクションが試行錯誤・・・。

ここまで終わるとまたすぐに、養父さんを囲んで、今日の反省と今後の打ち合わせが始まります。主に浦崎さんからはマイクフォローの確認があったようでした。

また、その合間を縫って、振り付けの村越風歌さんを中心に、ダンスシーンに出る役者は舞台上に集合。立ち位置の確認と修正を行っていました。ダンス経験者だと思われる何人かが、積極的に舞台上で列を整えたり、動線を確認したりという様子からは、本当にみんなで力を合わせて作っていることが伝わってきます。

今回の公演の魅力のひとつであるダンスシーン。
位置や動きをしっかり確認!!

他にも、そろそろ客席の使い方が気になる制作部の方々もそわそわと客席を動き回り、金子プロデューサーを交えて、どのように場内誘導すれば効率的なのか?など、真剣な表情で話し合っていました。

本番まで1か月を切った今は、固めていかなくてはならないことも沢山ありながら、やればやるほど、新たな問題点や確認事項が出てくる時期。スタッフも役者も全員がソワソワしているようでした。
確実に作品は良い方向に進んでいるので、どうか各人自信を持って、楽しんで本番に向かっていってほしいと願っています。

【担当記者:福永】

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第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト
『夏の夜の夢』『二人の貴公子』

公演日程 2022年11月4日(金)〜6日(日)

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