MSP稽古取材日誌 ~明大生とシェイクスピア劇~ No.3
こんにちは!おちらしさんスタッフの望月です。
若い世代に向けて舞台芸術情報を発信する「ユニコ・プロジェクト(通称:ユニコ)」。
ユニコでは現在、明治大学が主催する学生演劇団体「明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)」 に密着取材をさせていただいております。
そして、その舞台製作の風景を、取材日誌として随時公開しています!
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先日のラボ公演も終わり、残るは11月の本公演。
今回の【MSP取材日誌 No.3】は、舞台の全体像も見えつつある中で行われた、あら通しの様子です。ぜひご覧ください!!
9月16日(金)
【本公演】あら通し、活動報告会
この日は和泉校舎の大教室で、本公演2作『夏の夜の夢』『二人の貴公子』の通し稽古がありました。
夏休みの間、シーン稽古で着々と固めてきたものを、初めて通します。しかもインターバル15分で、2本の大作を連続で!
教室に入った瞬間から、役者もスタッフも、気合充分で臨んでいる様子が伺えました。
まず驚いたのは教室の広さ。この日の通し稽古は、各セクションのスタッフや、ラボ公演の出演者、協力されているプロスタッフの方々を迎えての大所帯。
広いホールの実寸が取れるだけでもすごいのに、さらに大勢のギャラリーを収容できるほどの大教室でした!
最初に演出の養父明音さんより挨拶があり、また、演出助手の積山浩大くんからは、「ここが階段で、ここが出ハケ口」など、舞台の説明がありました。全員の緊張感が一つになって、静寂が支配する空気の中、通し稽古がスタートしました。
まずは1作目、『夏の夜の夢』。言わずと知れたシェイクスピアの代表作で、森の中で繰り広げられる、男女の滑稽で愛らしい恋愛錯綜模様を描いた作品です。
翻訳はMSPの「コラプターズ」によるもの。
セリフは最近の若者が口にしても違和感のない表現になっていましたが、とても原作に忠実な演出です。
『夏の夜の夢』のように、あちこちで上演されている作品だと、ついついどうしても、ちょっと奇をてらった演出、解釈を織り交ぜたりなどしがちですが、大舞台に相応しく、とても正統派な『夏の夜の夢』でした。
ダンスのシーンなどはまだこれからですが、セリフや動き、途中に入る歌など、本番2か月前の状態としては、とてもいい出来であったと思いました。
上演時間は2時間。たっぷりと、圧巻の大作でした。
15分間の休憩をはさんで、続いては2作目『二人の貴公子』。
こちらはあまり知られていない作品ですが、『夏の夜の夢』とリンクする部分が多く、この2作品を同時上演にした意図がよく分かりました。コメディである『夏の夜の夢』と比較すると、少しシリアスなシーンが多く、明確な主人公がいる分、展開がとてもシンプルな印象を受けました。
二人の貴公子・アーサイトとパラモンを演ずるのは、阪上祥貴さんと田中悠貴さん。2人のテンションが役に合っており、さらにそれが物語ともしっかりマッチしていて、大きな舞台に映えそうな素敵な演技でした!ますます本番が楽しみです。お二人とも、お名前に貴公子の「貴」の字が入っているのは、偶然なのでしょうか・・・。
2作目が約1時間半で終わると、外はもうすっかり夕方に。
プロスタッフの方たちや井上優先生から、簡単に感想が伝えられ、演出の養父さんからも、今後の課題や進行計画について説明がありました。
終わった後に少しだけお時間をいただき、養父さんに、「ここからの課題はどこですか?」と聞いてみると、「全部です・・・。」と、とても悔しそうに語ってくれました。
十分に面白く感じられたこの日の通しでしたが、演出家の期待値はもっともっと高かったようです。「ウケなかった・・・」と、”笑い”にこだわる一面も見せてくれたりも。
演出家のこのストイックさがあれば、間違いなく、残りの期間でさらに面白いものになるだろうと、強く感じました。
17時半からは、教室を移動して、「活動報告会」にも参加させていただきました。
プロデューサーの金子真紘さんが進行をするこの会合は、夏休みの間、各セクションがどのような活動をしていたのか、全体に共有するためのもの。各セクションのチーフが順番に前に出てきて、パワポを使ってプレゼンをします。
それぞれ特徴ある内容でしたが、特に面白かったのは衣裳部による、本公演の衣装デザインの発表。
役の特徴とデザイン画が画面に映し出されると、その役の役者と周囲に座わる人たちが盛り上がりのです。ここでもカンパニーの仲の良さを感じられました。
最後に井上先生から、学生であるメンバー全員に、再度注意事項の共有がありました。
これから準備や稽古で忙しくなりますが、学生の本分なので、出来る限り授業には出るように、とのこと。
また、これも再三仰っていたことですが、コロナウイルスの脅威はまだ完全には無くなっておらず、いつ、誰が感染してもおかしくない状況だと、とにかく気をつけて行動すること、対策は一生懸命考えるので、万が一感染しても、それを絶対に隠さないこと、などなど、優しくも力強い口調でお話しされていました。
まだ本番まで2か月、しかし、もう2か月前。
ここからの皆さんの活動も、ますます目が離せません。
【担当記者:福永】
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