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「自分に、言われているみたいだった。」 #よりみちる | タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』【前編】


演劇だったり、アートだったり、音楽だったり、
作品に触れた日の「あと」の時間。
ドキドキした気持ちで、ハッとしたままで、
気ままに歩いて、食べて、おしゃべりして。
そんな満ち足りた時間に、
わたしたちは #よりみちる を添えてみました。


稽古場見学の帰り道、 #よりみちる 。
【前編】


7月20日(水)から、池袋の東京芸術劇場 シアターイーストにて開幕する、こちらの舞台。(※7/19追記 残念ながら全公演中止が発表されました。

タカハ劇団 第18回公演
『ヒトラーを画家にする話』


今回、その稽古場の様子を、おちらしさんスタッフである望月(あゆ)・ 臼田(ななみん)が、2日間見学させて頂きました。

いろんな瞬間を、みて、きいて、かんじて、
たくさん心が震えた2日間。

その帰り道、思わず途中で駅を降りて、2駅分、ふたりで歩きながら、その日の出来事をゆっくりゆっくり反芻しました。

これは、その、興奮さめやらぬわたしたちの会話の記録です。

稽古の様子を観て気がついた、劇団・作品の魅力を、この会話から感じていただけたら嬉しいです。

・・・・・・・・・・・・・・・


ななみん:稽古場見学、すっごく楽しかった~!!

あゆ:楽しかったねえ!初めはすごく緊張していたのに、途中から緊張してるのも忘れてた。

ななみん:わたしも!本当に、特別な時間だったなあ。


帰りの途中、2人で途中下車。
ウォーミングアップの話から始まりました。


あゆ
:稽古場に行ったら、ちょうどウォーミングアップをしていたね。

ななみん:シアターゲーム(演技力を鍛えるためのワーク)している時、役者さんの素が見られた気がして、とっても嬉しかった!

あゆ:わたし、役者さんのシアターゲームの様子って初めて見たなあ!稽古場って、もっとピリッとした空気感のイメージだったけど、年齢男女関係なく和気あいあいとしてて、見ているわたし達まで笑顔になったね~。

ななみん:マスクをしていて、役者さんたちの「目」しか見えない状況なのに、全員笑顔なのがよく分かった。

※撮影時のみマスクを外しています。
写真:塚田史香


ななみん
:目がキラキラしていたのが印象的だったなぁ。

【シアターゲームではこんなワークを!】

役者さんにランダムに数字が割り当てられます。それぞれがどの数字を持っているかは本人しか分からず、お題に沿って、相手が持っている数字を予想していきます。

今回のお題は、「国民的に人気な食べ物」。
自分の持っている数字が大きい人は、人気があると思う食べ物を、数字が小さい人は、人気が低いと思う食べ物を、周囲に伝えます。お互いが伝える食べ物の名前をもとに、お互いに声を掛け合い、数字は言わずに順番を予想して一列に並びます。そして、答え合わせ。

認識の擦り合わせが重要なゲームです。

ななみん:答え合わせで、ほぼ順番通りに並んだ時、とっても感動した~!大人数でこの結果は…すごいチームワーク…!!

あゆ:それぞれが理解して、信頼しあっているからこそできるゲームだよね。普段からたくさんコミュニケーションをとっているんだろうな。

チラシを持ちながら、お話し。
「すごい瞬間に立ち合えちゃった〜」と、あゆ。


あゆ:ちょうど、台本が書きあがるタイミングに立ち会えたの、すごくない? ウォーミングアップ中に台本完成のお知らせが飛び込んできて!

ななみん:ね!ね!!その時の皆さんの盛り上がりというか、待ちに待った瞬間が間近で見られて、嬉しかった~!

あゆ:わたしたちまでテンションあがったよね!!

ななみん:手元に届いた台本を、役者さんたちが一生懸命読んでるんだけど、読んでいる途中に突然、プッて笑い出したりしていて!
台本を読む時って、ずっと真剣に、黙々と練習するイメージだったけど、読みながらすぐに笑顔が出ていたことにびっくりした。

あゆ:「超面白い!」っていう声も聞こえた!
生まれた物語を、役者さん自身も1番に楽しんでいて、ワクワクしている雰囲気が素敵だったな~。


チラシデザインが、本当に素敵。
話題は「ヒトラーの印象について」に。

台本が配布され、読み稽古が始まりました!
読み始めたシーンは、まさに公演タイトル通り。ヒトラーが生きている時代にタイムスリップした美大生たちが、ヒトラーに対して「画家にする」ための作戦を話していました。

ななみん : 「ヒトラー=独裁者」というイメージが強くて、具体的にどんな人か説明しようと思うと、あまり詳しくないかも…。あゆはどうだった?

あゆ:わたしも似たようなイメージかな。だから、公演タイトルを見たときに「え!?ヒトラーって画家になる可能性もあったの?」って、すごい衝撃うけた!

ななみん:「画家になる可能性があった」って、これは実話なのかな?

あゆ:実話らしいよ!調べてみたけど、もともと画家になりたかったらしい。

ななみん:そうだったんだね~!
なんかさ、ヒトラーが、画家になるための作戦を美大生から聞いているシーンあったじゃない?その時のヒトラー役の犬飼直紀さんのお芝居、くすっと笑えて妙に親近感がわいちゃったんだけど、どうだった…? 

※撮影時のみマスクを外しています。
写真:塚田史香

あゆ:すごい分かる!画家になる作戦には「恋」がキーポイントだったけど、恋に素直になれないヒトラーが描かれていたよね~。

ななみん:ヒトラー役の犬飼さんが、身体が真っ赤になるくらい全力で読まれている台詞があったけど、そのセリフも恋に夢中なシーンだったね!その様子が、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』のロミオと重なったなぁ。

あゆ:わあ!確かにそうかも!!
シェイクスピアが好きな、ななみんならではの解釈だ~!

ななみん:ロマンチックな言葉だけれど、いい意味でぶっ飛んでいて……!そのギャップが面白かった。

あゆ:理性を保てない感情に若者感を感じたなぁ。でも、このシーン、くすっと笑えるだけではない、ってところが面白いの!!

ななみん : そうだね!演出の高羽さんが「ヒトラーは承認欲求のかたまり」と仰っていたのも印象的だったな…。

写真:塚田史香


ななみん:
「政治のことに関して行動するのは、”認められることを保証されている場所”、一方で、画家になるために奔走するのは、”認められていない場所”に向かう恐怖がある」とお話しされていて。

あゆ:共感できる人、たくさんいそうだ。

ななみん : SNSのいいねとか、つい見ちゃうじゃない? それが自己承認欲求なんだろうなぁと思うと、わたしたちと似ているかも。

あゆ:すごい重要なシーンだったね…。

ななみん:でも、ヒトラーが考えているのは政治のことで。きっと今のわたしたち以上に慎重な問題を抱えているのかも、と思うと、ヒトラー演じる犬飼さんのお芝居に親近感を持ちつつ、俯瞰してみることができて、そのバランスがちょうどよくって。観ているのが楽しかったなぁ。

※撮影時のみマスクを外しています。
写真:塚田史香

ヒトラーが生きている時代にタイムスリップしている美大生3人も、とても個性が豊か
3人がお喋りしている様子は、例えば……学校帰りの高校生が、照れながら恋バナをしているような雰囲気。熱い青春を見ているようです!

あゆ:あの美大生3人の関係性、好き…!

ななみん:「ジョインする?アグリー!」っていう掛け声、すごい好きだった(笑)学生同士ならではの共通言語って、あの頃独特の友達との波長って感じでいいよねえ!

あゆ:こういうことあったなぁって。なんか懐かしかった~。

ななみん:美大生がヒトラーに話しかける、「好きかどうか やりたいかどうか」という台詞は、自分にも言われているようで、心がグッと動いた。わたしも、心からやりたいと思うこと、好きだなぁと思うことを、全力でやりたいなぁ。

※撮影時のみマスクを外しています。
写真:塚田史香


あゆ
 : 美大生たちが「学生最後の夏だし」と言っている台詞も、すごい良かったなあ。

※撮影時のみマスクを外しています。
写真:塚田史香


あゆ:この出来事が、美大生3人の人生の中で、大切な思い出として残ると思うと、ちょっと切ないけど、幸せな気持ちになった。

ななみん : 確かにね~。この作品の公演期間って、学生だと、ちょうどこれから夏休みという時期だね。U25(ユニコ)世代に、歳の近い人たちが必死にやろうとしているこの”出来事”を、ぜひ目撃してほしいなあ…!


あと少しで一駅分。
「熱量が、すごい伝わった、、!」

『ヒトラーを画家にする話』公演のチラシは、7月号のおちらしさんにて、U25(ユニコ)世代へ向けてお届けしています!ここからはチラシの話になりました。

あゆ:登場するキャラクター達、チラシでは冷静な表情をしていたけれど、稽古ではすごくパワフルで、読み稽古の時から、今にも立ち上がりそうな勢いがあったなぁ!熱量が伝わってきた〜。

ななみん:うんうん!突然笑ったり、突然怒ったり!
いつでも動き出せるエネルギッシュな雰囲気に、すっごいワクワクした!

※撮影時のみマスクを外しています。
写真:塚田史香

あゆ:観ているこっちまで軽やかになる!公演を観に行くのも、全く構える必要ないなぁと。

ななみん:演劇を初めて見る人にも、すごいオススメできる…!


・・・・・・・・・・・・・

チラシとのギャップを感じていた2人でしたが、この後の見学で、チラシのビジュアルを思い起こすシーン稽古を目撃してハッとします……!


話しても話したりない、わたしたちの #よりみちる 。
【後編】に続きます!!

後編では、先程のチラシビジュアルのお話や、この物語の大きなテーマのひとつでもある「タイムスリップ」について、稽古場で感じた感動体験をお喋りしていきます。

ぜひ、後編もご覧ください。

タカハ劇団 第18回公演
『ヒトラーを画家にする話』

日程 : 2022年7月20日(水)~24日(日)
※7/19追記 全公演中止となりました。
会場 : 東京芸術劇場 シアターイースト
脚本・演出 : 高羽彩
公演詳細 : http://takaha-gekidan.net
Twitter : @takaha_gekidan


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