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喜怒哀楽のすべてを味わって!|タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』サポートスタッフ座談会【後編】

こんにちは。おちらしさんスタッフのしみちゃんです! 

7月20日より開幕する、タカハ劇団 第18回公演ヒトラーを画家にする話。(※7/19追記 残念ながら全公演中止が発表されました。

先日、公演制作の現場で活躍されている「タカハ劇団 サポートスタッフ」の皆さんにお話を聞いてきました!! ユニコ世代(U-25)の皆さんの熱い想いに、大変盛り上がった座談会のレポートをお届けします。

▼こちらは記事後編になりますので、ぜひ前編よりお読みください!▼

先輩・後輩のエネルギーが溢れ出す稽古!

しみちゃん(MC):ここからはお稽古場でのエピソードをお聞きしていきたいのですが、参加されていてどうですか?

市原さん:今回、俳優さんの年齢層が幅広いんです。上の先輩側の皆さんが本当にはっちゃけていらして、稽古場でも面白くって! 若い人たちもそれに引っ張られてのびのびできている感じがします。

伊藤さん:もちろん高羽さんも俳優さんもプランがそれぞれにあるとは思うのですが、最初はフリーでやってみて、試して、良いものは取り入れてというスタイルで進んでいて。観ていてもとても柔軟で良いなと思いますね。

稲葉さん:「役者より役者」と言ったように、高羽さんは自分で演じられてこんな感じというのを役者さんの前でやるんですよ。そうすると役者さんも火が付くのか、高羽さんを超えてより面白いものをやらなきゃというエネルギーがどんどん生まれていっています

しみちゃん(MC):「コロナ禍で活動の場が減ってしまっている、学生を中心に物語を描きたい」というような高羽さんのコメントも拝見していたのですが、先輩キャストや高羽さんご自身が若い方を引っ張っていかれているのは素敵ですね。世代が分かれていることによってそういった作用が生まれているのかと思いました……!!

「役者の○○さんはココがすごい!」を教えて

しみちゃん(MC):稽古場でのお話に続いて、俳優さんごとの印象もお伺いしてもいいでしょうか? 「この人のココがすごい! ココが好き!」というポイントをお聞きしたいです。

伊藤さん:私は柿丸美智恵さんが良いなと思っていて。一回一回やっていくごとに、指示がなくてもちょっとずつアプローチを変えていらっしゃるんですよ。コミカルなところが多いので、より面白くするために探っているんだろうなと思います。元々幅のある方なので、それを小出しにされているのが職人だなあと……!!

柿丸美智恵さん

しみちゃん(MC):それはお稽古を見ていても面白いですよね!!

稲葉さん:私は異儀田夏葉さんが好きで、面白くて。コメディの要素をずっと持っていらっしゃる方なんだなあと、稽古場を常に明るくしてくださるのを見ていてもすごく思います。

異儀田夏葉さん

稲葉さん:あとはアドルフ役の犬飼直紀さんはとてもオーラがあります。自分が脚本から想像して「これあったらいいなあ」と思う動きをドンピシャでやられるんです。だからオーラがあるのか!! と驚かされますね。

犬飼直紀さん

稲葉さん:他に結城洋平さんは酔っぱらっている役なんですけど、お芝居をされていない間もずーっと酔っぱらってました(笑) 役作りがすごいです!!

結城洋平さん

しみちゃん(MC):ちなみに稽古場に入ってこられるときはすでに酔っ払いモードなんですかね??

市原さん:いや、入ってこられるときは普通でした(笑) 私も稲葉さんと同じで犬飼さんが好きですね! アップのときの様子とはまったく違って、お芝居になると立ち姿だけで役に入っていらっしゃるのが分かるんです。その立ち姿がすごく好きですね。

名村辰さん

市原さん:名村辰さんも、高羽さんから演出の指示があったときに吸収が速くて。そして自分の意見も、頭の中のことを言語化してきちんと話されるんです。なんとなくにならないで言語化することって難しいと思うんですけど、名村さんを見ているときっと周りの方にも「そういう考えなんだ」と伝わるだろうし、学生役の皆さんには特に良い影響を与えられているんだろうなと思います。

砂田桃子さん

辻井さん:私は以前お芝居を拝見した時から、砂田桃子さんの声の響きや持っていらっしゃる雰囲気がとても好きなんです。そういうものこそ、ぜひ実際に劇場で、全身で味わってみてほしいと思います!!

市原さん:私も砂田さんと異儀田さんのシーンがオススメです!!

重松文さん

辻井さん:重松文さんも普段TikTokの投稿をされていて、「こういうひといるよね!」と思うようなあるあるを表現する観察力が本当に素晴らしいんです。今回のお芝居も重松さんはどんなふうに演じられるんだろうと注目しています。

『ヒトラーを画家にする話』は、観終わった後に自分を見つめられる作品

しみちゃん(MC):お稽古場のお話をたっぷり聞いたところで、作品についてに戻りますね! 『ヒトラーを画家にする話』は、観終わった後にどんな気持ちになりそうか、どんなことを感じられそうかお聞きしてもいいですか?

市原さん:きっと自分の身の回りのことを考え直したり、見つめ直したりしたくなるんじゃないかなあと思います。「歴史もので難しいのかな?」と思われるかもしれないですけれど苦なく観られますし、ファンタジーだけど自分自身に刺さるところのある作品ですね。

稲葉さん:キャラクターが全員立っているので、母親役なら「こんな母親いいなあ」とか思いながら稽古を見ていました。そういうドラマらしい部分を「あー! 面白かったー!」と楽しめる作品だと思います。テレビドラマや映画を好きな方にも自然とお芝居を楽しく観てもらえるかなと!

伊藤さん:演劇好きも満足できるし、初めて観る方でもとっつきやすいストーリーなので、ぜひ演劇好きの方が一回も観たことのない人を連れてきて欲しいですよね! 「演劇って難しくもなければ、訳が分からないこともなくて、誰が観ても何かを感じられるものなんだよ」という一番最初の扉を開くきっかけにしてほしいです。一緒に観に行って「演劇って意外と面白いんだね!」となったら嬉しいなと思います。

稲葉さん:あとは主人公が進路のことで葛藤している美大生で、ヒトラーも美術の学校を目指していて、同じ夢を持っているんです。途中で才能がある人も出てくるから、自分自身の才能に限界を感じて落ち込んだり、応援したいけれど気持ちの上ではできない葛藤だったり、そういった感情も自分のことのように感じられるというか。夢を追いかけている中で自分に限界を感じている人はもちろん共感できると思いますし、反対にそういったことを遠い世界に感じている人から観てもきっと感じ取ってもらえるものがあると思います。

辻井さん:たられば話で終わるのではなくて、観終わった後で今の自分に向き合うことができる作品だと思います。ヒトラーはその時代で、その周りの人に影響を受けて政治家になるという選択をしたけれど、この作品ではタイムスリップしてきた人たちからも影響を受けるんです。同じように今の自分が思っているよりも、未来の自分から見ればきっと将来の選択肢は多いはずで。もう少し視野を広げて考えたら実は他の選択肢があるかもしれないと、気づくきっかけになるかもしれません。

石川さん:まさにその通りだと思います。私も社会人になっていくつかの会社や仕事を経験しきている中で、ただ学校を出て就職してというだけが正解の時代じゃなくなってきているんだなということをすごく感じるんです。悩みながら選んできた今の自分にすごく満足して、このサポートスタッフのような出会いもあり、楽しいなと思っているところで。U-25世代で、社会人になることへ不安を感じている人や社会に出て悩んでいる人には本当に観てほしいです。いろんな選択肢に対して正解不正解を決めるのではなくて、「どうする?」と何度も問いかけてくれて、何度も咀嚼しながら考えられる作品だと思います。

伊藤さん:私は喜怒哀楽のすべてが味わえる作品だと思います。今、皆さんがお話しされていた「選択肢」の話って自分の人生でもやってきたはずなのに、なかなか思い起こす機会ってないじゃないですか。こういう作品を観たときにきっと「あっ!!」と気づけるのが良いところだなあと思いますね。



サポートスタッフの皆さんのお話は、いかがでしたでしょうか? まっすぐな視線で言葉を紡がれるパワーに、お話ししながらたくさんの元気をいただきました! 熱い想いで活動される皆さんが携わられている『ヒトラーを画家にする話』。私も観劇を楽しみにしています!!

これからの「タカハ劇団」を応援してください!

石川さん:私たち若手のサポートスタッフを受け入れてくれているように、タカハ劇団はまだまだ未来があって、どんどん変わっていこうとしていると思うんです。ぜひこれからの活動も若い方に観て、応援していただきたいですし、みんなで良いものを作っていけると良いなと思います!

写真左より、市原さん(制作助手・字幕オペレーター)、稲葉さん(美術助手)、辻井さん(広報)、石川さん(バリアフリー)、伊藤さん(広報)

タカハ劇団 第18回公演
『ヒトラーを画家にする話』


脚本・演出:高羽彩

日程:2022年7月20日(水)~24日(日)
※7月22日(金)19時・7月23日(土)14時公演は鑑賞サポートつき公演
※7/19追記 全公演中止となりました。

会場:東京芸術劇場 シアターイースト

チケット:
前売/当日 4,800円
U-25 2,500円
高校生 1,000円

あらすじ:

――どこから間違えた?

進路に悩む美大生、僚太、朝利、板垣。
三人はひょんなことから、1908年のウィーンにタイムスリップしてしまう。
そこで彼らが出会ったのは、ウィーン美術アカデミーの受験を控えた青年、アドルフ・ヒトラー。
彼らは未来を変えるため、ヒトラーの受験をサポートすることに。
けれどヒトラーにはまったく絵の才能がなくて――
果たして三人は、ヒトラーを独裁者でなく画家にすることができるのか?!
人類の未来をかけた絵画レッスンが始まる。


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