わたしは年中で「もうこどもじゃない」と叫んだ
「次の問いに答えなさい」
「うるさい命令するな」
テストの問題文の文調に毎回キレながら答案を書いた小学生の私だが、誰かとケンカすることはほとんどなかった。当時わたしが怒ったのは、トモキ君が我が家に遊びに来たあのときぐらいである。
私の母親が出したコーラガムなどのおやつを私が分けようとすると、トモキ君が「かして!ぼくやるよ」と言ってコーラガムを開封して半分に折り、片方は自分の手に、もう片方を床に置いて、「はい」と私に差し出した。しばらく時が止まった。目の前の出来事を理解した