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Emillynのストーリー(ブラジルと日本、社会の形)③

━日本だとなんとなく外国人に慣れてない感じってあるでしょう。そこらへんはブラジルはどんな感じ?

ブラジルは周りに他の国もあるし、誰とでも仲良くしたいって感じの人が多いから。私もあっちに行くと、(ポルトガル語がペラペラではないから)言葉に詰まったりするんだけど、すごい頑張って汲み取ろうとしてくれる。逆に日本語教えて!みたいな、こっちにも興味を示してくれる。なんかこう、やさしいんだけど、素直。わからないことがあれば、ここはどうなの?みたいな。わかんなくてもとりあえず話してみて?って。
ひねくれてる人もそんなにいない気がする、私の周りでは。

━へー、あんまり固まった考えみたいなのはない感じ?

そうだね、特に若い人たちはそうかもしれない。

━日本はどう感じる?個人的には、島国っていうのもあるかもしれんけど、外国人を「違う人たち」として見ている感覚があるけど…

そうだね、ちょっと別にしがちだよね。私たちと、「外から来た人」みたいな。日本にいるんだったら、日本語を知るべきだしみたいなのが伝わってくる。向こう(外国の)の言葉を理解したりとか、相手を受け入れようという気持ちが、他の国と比べたらないかなって。

━あと、どこかで読んだんだけど、いわゆる「日本人」になるためには、日本語を完璧に喋ること、日本人的な見た目をしていること、そして日本の文化を理解していること、この3つの全てが必要なんだってさー。

あー、そうだね(笑)。条件が全部当てはまってないと、日本人として認めませんみたいなのはあるね。

━違うものとして扱う、みたいなね。

うん、わたしはこの顔だけど(いわゆる「普通」の日本人、東アジア系の顔)、お母さんがブラジル人ってだけで、小学生の時はいじめられてた。家の中ではポルトガル語で喋ってたから、ちょっと日本語のイントネーションが違ったりしてたから、「ちょっと日本語おかしくない?」みたいな感じで。なんか、子どもは他者を受け入れるということに免疫がないというか。

━確かに。子供は純粋というか、なんかこいつちょっと違うって思っちゃうのかもね。

うん。そういうのもあると思う。

━こういうことを差別と言っていいのかはわからないけど、そういう雰囲気が日本全体の「他のものを受け入れない」雰囲気にも繋がっている気がするな。

そうだね。なんか外国の人から歩み寄ってくれてる感じはあるけどね。
最近は、ちょっとずつグローバルになってきた感じがするから、東京とか、都市は、困ってる人がいると助けるとか、手伝うとかは増えてきてる気がする。他の国からするとまだまだな気もするけど。

━うんうん。

それに、私もそれに飲み込まれてる気がする。助けたいんだけど、なんか恥ずかしい、という気持ちになっちゃう。ブラジル国籍なのに、ザ・日本人なことをやっているっていう(笑)。

━社会全体がそう言う感じだと、飲み込まれるのはあるよね。自分の中にも感じる。

日本の文化っていうわけじゃないけど、たとえば、何かを決める時に、多数決とか、みんな一緒がOKみたいな。そういう考えが強いなと感じる。1人でも違う意見を出すと、輪を乱すからやめて、みたいな。その1人の意見を、こう、そういう考えもあるんだね、という感じで受け入れられないかなって。

━うんうん。たとえば、アメリカとかは移民も多いし、多分いろんな文化や宗教を持つ人々で社会をまわしていくには、他者を尊重する・助けるとか、同時にあんまり気にしないみたいなのがそもそも必要な気がする。

大学の時も感じたけど、(日本は)自分の信じてる宗教とか言いにくい。向こうは生活と宗教がリンクしてるから。「私は⚪︎⚪︎教信じてるんだ〜」みたいな。日本と全然違うと思った。(ブラジルは)「自分」を持っていることを尊重してくれるけど、日本は「同じ」が良いとされている気がするし。

━日本は、違うものを違うものとして取り扱うことになれていないのかな。

自分の国の文化とかが一番大事っていうのはわかるんだけど。「海外を受け入れてるよ」感はあるけど、外面だけっていうか。

━うんうん。

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━まあ、日本は本当に、社会全体として排他的な感じというか、同質性を求められるというか。

うん、私も感じる。最近あった出来事として、子どもの話になるんだけど、子供が生まれると立て続けに色々なイベントがある。お食い初めとかお雛祭りとか。
で、そういうイベントをやらない、っていうと「やらないの?」「かわいそう」とまで言われる。それをやらないからと言って子供になんかあるんですかっていう(笑)。イベントの一つとしてやってあげるのは大事かなって思うけど、すごい準備が大変だし。魚捌いて、赤飯炊いて。なんか写真を撮るとかでも思い出になるしいいんじゃないかなと思うんだけど、それをやんないだけで、「子どもがかわいそう」ってまで言われるのが嫌。「やらないとおかしい」みたいなのが嫌だな、もんもんとする。

━ブラジルだとそういう感じではない?

やらなきゃいけない感はあるけど、それぞれのやり方でOKみたいな。「こういう風なやり方なんだね」みたいな。
日本だと本当に色々決まってる。あと、日本だと、みんなで集まってっていうよりは個人的にやるイベントが多き気もする。ワイワイがない。ブラジルだと、子供が生まれる前は、ベビーシャワーっていうのをやる。あと、子供の性別を発表するっていうのもある。招待された人がプレゼントを持ってきてくれて、その中身を妊婦さんが当てるゲームをやったりする。で、当たらないと(招待された人が妊婦の)お腹に口紅で落書きをする(笑)。

━へー、面白いな(笑)。

そうそう。そういうイベントがある。それもやろうかなと思ったけど、あんまり日本では浸透してないから、やらなかった。

━うんうん。

特にうちは旦那が日本人やから、考え方の違いというか、冷たいなというか。

━でもやっぱり他者への接し方って、簡単には変わらないよね。きっとすごく時間がかかるね。

そう思う。私も旦那と喧嘩したりするもん(笑)。旦那はすごく保守的だから。政治に関しては無頓着なんだけど、仕事が仕事だからそういう考えに行きがちというか。
いっこ悲しかったのは、仕事で得た情報をそのまま自分の中に落とし込んでるなって感じたことがあって。結婚前にたまたま韓国人の友達と会って、旦那を紹介して、ちょっと話してバイバイした。で、やっぱりイントネーションから日本人でないことはわかるから、韓国人なんだけどーみたいに話したら、「韓国人かー、仲良くできないなー」って。

━あー、それは悲しいね。

そう、国として見るんじゃなくて、人として見てっていう。なんかどうしても国が先に出てくるのかな。ちょっと悲しかった。人としてじゃなくて、国を挟んで相手を見るっていう。

━人を見るより国を先に見るっていう感じね。難しいな。最近多様性という言葉をよく聞くけど、どう思う?

うん、言葉だけ一人歩きしてる気がする、本当に。それ言っておけばいいみたいな。

━うんうん、多様性って重い言葉な気がする。覚悟がいるし。

複雑だよね。

To be continued!!

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