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#08 褒め方1つで成績が変わる!?褒められて伸びるかどうかは遺伝子の違い?【ニューロ横丁3軒目:勉強②】

 効率の良い学習方法や、結果に結びつくのに最適な勉強方法は、常に親も子も模索していると思います。実は、子どもへの褒め方一つでやる気を出してくれたり、「スペース学習」というように、効率の良い勉強方法というものは、脳科学的に解明されているのです!

 今回は、そのような勉強の悩みに関する解決策や、言語学習とニューロテクノロジーの話までをゆるっと深掘りしていきます。

同じことをやり続けるのはダメ?効率の良い勉強の仕方!

 効率の良い暗記の方法や、勉強の仕方を知りたい人は、大勢いるはずです。個人差はありますが、一つに「声に出しながら文字を書く」というように、マルチモーダルで視覚や聴覚など、あらゆる感覚を研ぎ澄まして覚えていくことは、効率が良いとされています。

 また「分散学習」といって、例えば英語の勉強をしたいというときに、ひたすら英語をやるのではなく、途中で数学や古文を挟むなどして、ブロックに分けてやる方が、効率よく勉強できるとも言われています。同じことをやり続けることは、必ずしも効率が良いわけではなく、「スペーシング」「スペース学習」といって、一回やったら間に何か他のことをやる時間を作ることにより、集中力を発揮しながら、効率の良い勉強が期待されます。

褒め方方一つで成績が変わる!結果に結びつく褒め方とは?

 前回の放送で、報酬やご褒美はあまり良いパフォーマンスをもたらさない、ということがわかりました。しかし、実は悪くないご褒美も中にはあります。

 ある実験で、テストで良い結果が出たらご褒美のシールをもらえる群と、テスト勉強をしたらシールをもらえる群に分けたところ、後者の方が明確にテストで良い結果を残したことが分かりました。

 どのように頑張れば成績が上がるのか不明確な中で、テストの点がたまたま良かった時に、ご褒美を与えられても、何をしたから良かったのかが分からないままです。しかし、「インプット・アウトプットアプローチ」といって、勉強をして結果を出す因果関係の中で、その過程を評価することによって、「本を読んだから結果が出せたんだ」「この問題集に取り組めば出来るようになるんだ」というように、成績が上がるための勉強方法が強化されていき、結果としてアウトプットの成績が良くなっていきます。インプットに報酬を与えてやる気を出させれば、しっかりとアウトプットに繋がっていくのです。

 日本の親は、子どものテストの点数や結果を褒める傾向にありますが、実はテストの点数が上がりそうなことをしているときに、子どもを褒めてあげるのが、一番良いとされています。

 また「褒められて伸びるタイプ」と「叱られて伸びるタイプ」というように、2つに分けて考えることもできます。実際、日本人の8割は「褒められて伸びるタイプ」、2割は「叱られて伸びるタイプ」と答えるそうです。

 学習をするときに働く、やる気に関わる「ドーパミンニューロン」には、遺伝的な個人差があります。何か物事がうまくいって、報酬がもらえた時に学習が促進するタイプの遺伝子を持っている人と、失敗をしてしまい、罰が来たときに「もうこんなことはやらない!」というように学習が促進するタイプの遺伝子を持つ人がいて、それは先ほどの8:2くらいに分かれるそうです。このように、脳の中でのドーパミンニューロンのタイプは、遺伝的に決まるため、「褒め伸び派」「叱られ伸び派」かは個人差があるのです。

 また、先ほどの「インプット・アウトプットアプローチ」とも関わってきますが、「あなたは頭がいいね」というように能力を誉められるのと、「勉強をして偉いね」というように努力を誉められるのとでは、後者の方が良い結果を出した、という実験もあります。これは勉強だけでなく、「可愛いね」と言われるより、「毎日スキンケア頑張っていて偉いね」と言われる方が、もしかしたら、より嬉しく感じ、「もっと自分磨きを頑張ろう」と思えるようになるかもしれません。このように、褒め方一つで、結果の良し悪しが変わってくるのです。

 勉強という努力に対しての見返りは、大人よりも圧倒的に若い人の方がコスパが良いことがわかっています。「教育の費用対効果」という、経済学上の概念があるのですが、例えば、100万円分の勉強を1年間でするとして、それが将来の年収にどれくらい返ってくるのかというと、5歳から10歳の間に勉強するのが1番返ってくると言われています。歳を取ってから勉強しても、同じように100万、200万というような結果を出すことはできますが、子供の頃に勉強するのと比べたら、どうしてもその分の見返りは減ってしまいます。

 そのため、子供の頃にたくさん勉強した方が、返ってくるもののコスパは良くなるのです。だからと言って、大人になったら勉強をやめていいわけではなく、脳の可塑性は子供の時の方が高いですが、大人になってからでも効率は悪くなりますが、学び続ければ勉強をする効果は十分にあります。

「L」と「R」の違いが聞き取れるように!?語学学習の未来

 英語や韓国語などの、日本語以外の語学学習に苦労する人は、数多くいると思います。自分にとっての第一言語を話す時に、「言語中枢」といって、発話に関する脳の部分が働くのですが、それ以外の第二言語、第三言語を話すときは、その処理の仕方が少し変わってしまいます。これが、第一言語以外の語学を習得する難しさに繋がっています。しかし、ニューロテクノロジーは語学学習に効果的である、というのが最近わかっています。

 例えば、言語に関わるような脳の領域に、電極を貼って電気を流すと、外国語学習や単語の記憶力が促進されるということが分かっています。

 また、言語の聞き取りのところで言うと、私たちの会社VIE STYLEの成瀬さんが開発した技術があります。英語の「L」と「R」は、聞き取るのも発音するのも日本人にとっては困難です。しかし、この時のちょっとした違いを、脳が感知している様子をリアルタイムで画面に映し出し、ニューロフィードバックを行うことによって、何十年も聞き取れなかった「L」と「R」の違いを、聞き取れるような聴覚経路に脳を再配線してあげることが可能になるのです。

 また、最近では語学学習に向いている「性格」がある、ということが言われています。人と話すことが好きな「外交性」や、オープンマインドといった「開放性」のような特性を持っている人は、語学の習得が早いことが分かっています。

まとめ

 学び方というと、自分流の方法がありますが、意外とそれが当たっていないこともあります。一つのことに集中した方がいいと思っていても、実は分散した方がいいこともあり、やる気の出し方も、誉め方一つで変わってくるものです。さらに最近では、脳に直接アプローチするような刺激や、ニューロフィードバックの力を使って、第二言語の学習を促進したり、夢のような学習技術ができつつあります。

📻今回のエピソード

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日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。

  • 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜

  • パーソナリティー:茨木 拓也(VIE STYLE株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花

  • 配信スケジュール:毎週火曜日と金曜日に配信

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