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【アルバム紹介】5: Five Years of Hyperdub(2009)

はじめに

本日はこちらのコンピレーションの紹介です。

Spotify以外をご利用の方はこちらをどうぞ。

Hyperdubはdubstep黎明期からあるレーベルで、主宰はdubstepを代表するアーティスト、Kode9です。

dubstepというと、どちらかというとSkrillexみたいな派手で強烈なサウンドを想起する方が多いかと思います。ただ、本来のdubstepはjungleとかdubとか2 stepとかがなんかこううまくくっついたやつで、地味です。前者をbrostepと分けて(dubstep内の1ジャンルとして?)表記する場合もあるようです。

参考:派手なdubstep(音色はまるで違いますが、リズムパターンだけは共通しています)

今回紹介するdubstepはどれも地味ですが、聴いていると吸い込まれるような魅力があります。久しぶりに聴き直して感想を書いてみようかなと思います。

曲紹介

Time Patrol / Kode9, The Spaceape

繰り返される声ネタと音源ほぼそのままみたいなブラスの音が印象的な楽曲です。掴みどころのないリズムがとってもいい。4つ打ちはわかりやすくていいですが、たまにこういう不安定さがほしくなったりします。

Purple Smoke / Black Chow

突然の日本語歌詞です。ボーカルの気怠い空気感をぎりぎり壊さない後ろが絶妙で、なんだか現実がどこかに行ってしまうようです。

Tarantula / Zomby

テクノっぽい、硬派な1曲。dubの文脈で、とにかくスネアが硬い。こういうミニマルな楽曲好みなんですが、毎日聴けるかというとそういうわけでもなく。体調とか気分に左右されて結局週一くらいしか受け入れられない、そんな感覚があります。

9 Samurai / Kode 9

マフィアが出てきそう。劇伴っぽく始まるんですが、聴かせるリズムパターンとセリフが入ってきて1楽曲としてまとまります。不安感を煽るようで、このコンピレーション1番のお気に入りです。
MVも際どくてなかなかよい。

Distant Lights / Burial

別の記事でも書いたような気がしますが、この曲みたいなブレーキ感のあるパーカッションのパターンが好みです。アクセントとしてこういうパターンを入れる場合のほうが多いかなという気がしますが、当楽曲ではひたすら同じパターンです。乗せたいのか乗せたくないのかわからん。

Spliff Dub / Zomby

スタイリッシュ声ネタ1本勝負。この手の曲がツボにはいると最高の音楽体験になりそう、という雰囲気を感じます。逆に入らないときはとことん入らない。他の曲は曖昧でしたが、この曲はまっすぐdubstepしてるかなと思います。

You Don't Know What Love Is / 2000F, J Kamata

歌謡曲っぽいリフが意外にダブステップに合うことがわかる曲。あえてアルバム内で聴きやすいものを挙げるとするとこれかもしれません。後半ソウルなボーカルが入ってきて若干期待するも、そのまま気持ちよく歌ってくれるはずもなく終わります。わかりやすければいい、というわけではないのです。

おわりに

新譜・初めて聴いた曲を取り上げることをモットーにやっていますが、今回は久しぶりに聴き直したアルバムを取り上げてみました。当時(の話はあとがきでします)はひたすら地味だなという感想でした。ただ、今聴いてみると、環境によっては化ける気もします。夜更けに箱でかかったら実はとっても盛り上がるのかも。

さも楽曲ジャンルに詳しいように振る舞いましたが、普段は4つ打ちから外れることは殆ど無いです。2 step系は最近ようやく聴き始めるきっかけがあって知ったので、もう少し聴きためてから改めて記事にしてみようかなと思っています。

あとがき:最初にこのコンピレーションを手に取ったときの話

初めてこのアルバムを聴いたのは中学生のときです。以前、NhatoさんのBeatmaniaへの楽曲提供をきっかけに音ゲー外の曲を聴くようになった話を書いた(https://note.com/netsugen_taro/n/n57fc28b0c64e)のですが、このアルバムを手に取ったのもこのタイミングです。

どうやらダブステップというジャンルがあるらしいことを認知した当時の私。Skrillexの曲をItunesで購入して一通り聴いた後、どうやら実はこれはBrostepなる派生ジャンルであることを知ったタイミングで、なぜか「本来のdubstepも聴いておくべきかな」と思いました(なぜそう考えたかはわかりません)。不思議な経路でHyperdubに到達し、Amazonで取り寄せて聴くことにしました。(もちろんクレジットカードなぞ持ち合わせておらず、どうやって決済したのかも記憶が怪しい。どうにかしてコンビニで支払ったような…)

取り寄せてまあびっくり地味なこと。ただ、当時の私としてはそこそこの出費だったので、買ったからには聴くしかなく。楽しむしかなく、中でも気に入った9 SamuraiはMVを検索して、夜一人でじっと観ていた記憶もあります。思えば、今テクノっぽい曲を抵抗なく聴けるのは、この日々で得た基礎体力のおかげかも知れません。

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