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◆詩◆思い出さない

住宅街は雨の染みを残して
水分を含んだ空気の中を漂っていた
僕だけが溺れるように生きている

昔、君とかくれんぼしたマンションが
立ち入り禁止になっていて
もうすぐ解体されるらしい

君はもうこの街には帰ってこないし
僕のこともマンションのことも可愛がってた猫のことも拾った漫画のことも失踪した先生のことも廃墟にいた「あれ」のことも忘れてしまっただろう

虫を採っては羽をちぎった
その罪が僕の肉に打ち込まれる楔になる
甘やかな痛みが僕を生かしている
君にもその傷跡はある?

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