見出し画像

十二国記 魔性の子

まだ周回プレイ終わってないのですが、
読み進めるためにも書いていきます(セルフ激励的)
ネタバレありで書いていきますが、原則1つの記事にはタイトル本の
内容についてのみ書いていきます。

人が本当に恐怖を身近にした時、どのような行動をとるのか?
その人の本性こそが、もしかしたら最も恐ろしいのかもしれない。
そう思わされた内容。

さて、実は私自身あまり分かっていない「祟り」という言葉がある。
我々の経験や知識からは、結論付けられない出来事や事象がある。
自身の周りで起きたら、どこまで受け入れられるのか?
何をするのか?何もしないのか?

この本は、人が”説明出来ないなにか”による恐怖心を覚えた時、
顕著に出る人間の本性というか、人の内面に抱える暗闇を明るみ出す。
そういうところを中心に考えていくのが面白い。
私は、人の本質が揺るがされるようなことが好きなのだ。

0.なぜ十二国記?

本屋の棚に、大きく『「十二国記」30周年記念ガイドブック』(新潮社 、2022)が置かれていた。
それを見たのがはじめ。
十二国記か…と、高校生の頃に『三國志』を読んだことを思い出す。
ガイドブックの表紙絵が単純に気に入ったこともある。
しかし、その時はスルー。
だって、棚にたくさん本が並んでいるから。
シリーズものだったら、この冊数を揃えてもまだ未完の可能性がある。

2回目、3回目…いくつもの本屋で激推しされてる!!
やっぱり気になる!!
あぁ、しまったー!!と思ったのは、Episode 0の帯が付く本を手に取り、
本の裏表紙を見たときだ。
「教育実習」!!!!
え?なに?そういう本なの?!?!
裏表紙の内容紹介である11行に、惹きつけられてしまった。
教育実習と十二国記が頭の中で結びつかない。
そして、刻々と近づいている試験期間と山積み課題。

ついにPCを開いてみる。
Episode1が2つある?なぜ?
一体何冊あるのか?
調べていると、今は出版社が異なることが分かった。
そして、読む順番や考察が記載されている。
それが知りたいんじゃないんだ!!
Episode0では「教育実習」なんて書かれているのに、
Episode1では全然違う表紙で訳わからんのだ!!

4回目。
もう、ここまで悩んだなら買って後悔しよう。
それでガイドブックを買ってみた。
旅行に行く前に、ガイドブックを買うような気持ちで買った。
だが、山積み課題をやっている間にガイドブックを買ったことさえ忘れた。

5回目。
物は試しということで、Episode0と、Episode1を購入。
それでも、Episode1は上下巻なので0と1を買って3冊。
本屋で改めて帯を見た。
大雑把に把握出来るようになったが、Episodeと記載されていないと、
分かりづらい。

いつEpisode0を読むかと、ネットに書いている人が多い。
帯にですね、著者が書いているんです。

この物語は、これから始まる全てのプロローグです

十二国記 魔性の子 帯

それなら、これから読もうじゃないか!!ってのは、嘘です。
後から気付きました。
単にナンバリングで、0から始めたかったんです。

1.プロローグ

いや、もうこれ!!
このプロローグは、読み進めていたら、素晴らしいとしか言えない。
最初は、こんな始まり方をして「教育実習」という、学校が舞台なの?
わけわからん!!ってなりました。

2.内容

1章〜6章の全部で6章立て。
プロローグなんだったん?ってくらい別世界が始まる。
プロローグが、私には時代がとても古いように感じたのだ。
プロローグの設定が90年代であっても、大正であっても
納得してしまうような描写である。

1章からは、広瀬の今日から始まる教育実習!!が進んでいく。
母校に戻り教鞭を執る。
かつて彼が教わった教師(後藤)について。
そして、高里という生徒。
問題児ではないけれど、台風の目のようだと言われる生徒。
この2人を中心に物語は進む。
文章構成と、文章自体の読みやすさで、あっという間に引き込まれる。

教育実習。
2度とやりたいくないその超絶きつい期間(持論)
広瀬の担当するわずかな期間、変わり者と言われる高里に寄り添う。
もちろん、他の生徒とも時間を費やす。
他の生徒から、広瀬は変わり者の生徒「高里」について話も聞く。

不気味がられることの1つに、高里は小学生の時に神隠しにあっていると
いうものがある。
本人には、その期間の記憶がない。
さらに、時間が過ぎるにつれ高里が、変わり者だと言われるだけでは
なくなってくる。

高里は何もしていないようだが、彼に関わった生徒には
説明し難い怪奇現象のようなものが起きる。
これが「高里の祟り」と他の生徒に考えられてしまう理由。
実際、生徒が怪我をし、死ぬ。
嫌なことが起きるだけではなく、怪我もひどく、死ぬのだ。

信じられないほど、あっさりと生徒が死んでいく。
祟りへの恐怖、説明のつかない恐怖に襲われた生徒は
高里を崇める者か、暴力的にやめさせようとする。
しかし、これが止まらない。
そして、広瀬の教育実習も続く。

嘘やん。
こんな教育実習あってたまるかい(・ω・`)

広瀬は、生徒が「高里の祟り」だと怯える中、
高里が家にも居づらく学校にも行きづらいだとうと、
広瀬が1人暮らしする家に高里を匿う。

「自分の居場所はないんだ」
広瀬は、かつて臨死体験をしたことから、そう考える。
臨死体験した時のような場こそ、自分のいるべき場所。
高里は、思い出せないけれど自分の居場所は
なんとなくここではない気がすると思う。

高里の祟り。
あまりにも生徒が死ぬので、TVでニュースにも取り上げられる。
生徒の死という恐ろしい出来事と、教育実習、不可解で不気味な現象。
これらが続く。

さらに、同時進行で「き」を知らないかと尋ねる者を見た話も進む。
広瀬や後藤など、一部が”説明出来ないなにか”を高里の近くでみる。
この辺は、単純に怖い話を読んでいる感覚。

最後、「自分の居場所はないんだ」と思っていた高里のそれは
明らかにされる。
高里は、神隠しにあっていた間の記憶を含めて思い出すのだ。
そして、”ここ”から居場所に戻る。
ここが、異世界ファンタジーの始まりを思わせるところ。
しかし、広瀬は高里が居場所に戻る、それを見て自身との違いに絶望する。

3.感想

高里本人は何もしていないのに、周りで生徒が死んでいく。
それを高里も苦しむ。
なんせ高里の両親でさえ、死ぬのだから。

広瀬、20代で人が死に過ぎる教育実習を経験したら、
学校に関するあらゆるものがPTSDになるのでは?
もう社会に出れる気がしないよ。

説明のできない何かによって、生徒が実行する行為も恐怖。
人は、そういうものを「祟り」と恐れてきたのだろう。
この言葉自体に私は詳しくないので、深く書けないけれど。

本当に恐怖心を抱いた時、人は自身を守るために、
原因だと考えるその者を消そうとする。
今の時代なら、社会的抹殺もあるだろう。

どうするのか。
とにかく、その場を離れるように学校に行くのをやめるか。
学校に行って、いつかは終わると思うのか。
本人に暴力的に訴えるのか。

恐怖心でパニック状態になった者が、1人や2人でないのだから、
その場にいたらおかしくなりそうだ。

「どこにも自分の居場所はない」
ここだけ読めば、現代にも通じること。
だけど、居場所欲しさに何でもして良いかと言われたら、
そんなはずはない。

自分のエゴか、自分の描く理想だろうか。
他者の中に自身を探すのか?
人は他者の中に己の鏡を探すと、以前何かで読んだ。

説明しきれない恐怖が迫る時、どこまで冷静な判断が可能であろうか。

まさしく、人の本質が揺るがされるような内容である。
ジャンルはホラーらしいですが。

4.まとめ

文章構成が非常にわかりやすいので、読み進めやすい。
しかし、考えることが多いのがこの本。

人の弱さ、脆さ、醜さが明るみに出されるのだ。
よって、ついつい深く読んでしまう。

嫌な展開だなぁ…と思いつつ、どこかで自身が映し出されてしまう。
人の本質を揺るがされるような本だと最初に書いたが、
つまり我々読者も揺るがされる時があるのだ。

十二国記シリーズは読むことにも時間を要するが、
書き出すことにも当然時間がかかる。
あまりにも内容が深い。
さらに、様々な角度から読むこを可能とする、
物語を解釈する楽しさも持つ。

個人的には新潮文庫で、
新しくEpisode0から読ませていただけることに大感謝。


やーっとEpisode0の感想が書けたので、よきかな。






この記事が参加している募集

読書感想文

読んでくだり心から感謝します。 サポートいただけたら、今後の記事に役立てたいと考えております。 スキしてくだるのも、サポートもとても喜びます!!!!