見出し画像

『一人称単数』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の感想を書きます。


村上春樹著 『一人称単数』 (文藝春秋、2023)


名前は知っているけれど、1度も作品を読んだことのない作家。
言語好きとして、気になるタイトルだと思いながら、何度も買うことをやめた本。
ついに買って、読んでみた。

8つの短編集。

石のまくらに
クリーム
チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
「ヤクルト・スワローズ詩集」
謝肉祭(Carnaval)
品川猿の告白
一人称単数

文章構成は、非常に素晴らしいのだと思う。
本書に関しては、不要となる一切を削ぎ落としたという感じ。

短い文章の中で、主体性(僕、ぼく)と客観性(出来事としての流れ)が繰り返される。
時に、抽象的な譬え(微分積分、円、クリームや音楽)が出てくるけれど、全体的には具体的(文章や話の流れ)な話。
曖昧な書き方をされていないのに、常に曖昧にさがあるような印象を受ける。
そういうわけで、読み終わった後に「??」となってしまった。

この本が難しすぎるのか、私が難しく考え過ぎているのか。

タイトル通り「僕、ぼく」の視点で書かれる話は、エッセイなのかフィクションなのか、読み進めるほどに不明瞭になり、色々考えてしまう。
そんなことを考えていると、話の内容に入り込むことが出来なくなる。
読み終わって本を閉じても、「??」と思うばかり。

短編のタイトルを見ていくと、まるでエゴイズムの誰かの告白のようだとも思える。
一人称単数「僕、ぼく」。
「僕は」と語ることには、常に自分自身が主語であり、中心で、そこにエゴイズムを感じるのだ。
短編集の内容は、特別ハッピーだと思わせる話がない。
「僕、ぼく」の独白が、淡々と続くように思うのだ。

短編集の最後で、主語が「私」に変わる。
「私は」、「私が」となる。

読者(私)のエゴを、突きつけているのだろうか?
「僕、ぼく」は話したけど、あなたは(読者)は誰?
何をしてきたの?という具合に。
仮に、何をしてきたの?と問われるのであれば、それはやはり良い話ではない。
私という読者も、「私は」と独白を重ねるのだろうか。


好きな人には、好きな世界なんだと思います。
1度は読んでみたかったので、良かった!!



この記事が参加している募集

#読書感想文

189,141件

読んでくだり心から感謝します。 サポートいただけたら、今後の記事に役立てたいと考えております。 スキしてくだるのも、サポートもとても喜びます!!!!