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『リボルバー』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の紹介をします。


原田マハ著 『リボルバー』 (幻冬舎 、2023)



ざっくり内容

フランスにある、オークション会社。
ある日、そこに女性が来る。
その会社で働く、唯一の日本人女性(冴)、上司と同僚が対応。
オークションに出品出来るのか問われたのは、一丁の拳銃だった。
女性は、それはゴッホが最期に使用したものだと言う。

その真意を探すために、オークションハウスで働く冴はオランダも訪れ、
ゴッホゆかりの地を訪れる。
もちろん、拳銃に関わるギャラリーなどにも訪れ調べる。

事の真相を追いかける間に、同時代を生きていたポール・ゴーギャンとフィンセントの出来事を知ることになる。

一体、この拳銃はなんなのか。
誰のものだったのか。

史実で知らされていることと、画家たちの生前の生活。
歴史上に実在した天才画家たちの生活と生涯が、フィクションとなって、描かれている。


感想

実際に、実在した人たちの小説を読むのは初めてだ。
気がついたら、読み終わっていた。
そのくらい、夢中になって読んでいた。

冴が、拳銃についての真意を追いかけるところ。
これは、著者の原田マハさんが本当に詳しく研究し尽くしている感が、本から溢れ出るようだった。
そして、実際にフランスの街を歩いているかのような、生き生きとした文章。
また、史実と違う!!ということで、追いかけるストーリーは、ミステリ要素でもある。
冴が、証拠を集めるために、図書館で調べている描写など。

改めて、ゴッホという人物は謎だ。
そして、現代では天才過ぎると言われている、ほとんどの偉人は、私生活がやばい。
色んな意味でやばい。
もちろん、そうでない方も多くいるが。

私は、これまでゴッホの絵画に興味がなかった。
正直、「夜のカフェテラス」と「星月夜」、そして「アルルの跳ね橋」が好きかなーくらいだ。
しかし、彼の生涯は興味があるというか、彼自身に興味を抱いてしまう。
わずかであっても、一緒にいれたゴーギャンがすごい(&やばい)。

ゴッホは生前、絵が1枚しか売れていない。
伝道師(牧師)を目指していた。
金銭的な理由から、弟テオに生涯支えられる。
彼の性格ゆえに、気難しく、人付き合いが上手くいかない。
様々なことが重なり、精神を病む。
37歳で、自ら生きることをやめてしまう。
上記理由により、教会で葬儀を行なってもらえない。

壮絶過ぎる人生だ。
死後を含めて。
伝道師を目指しながら、人生を終えてしまうところは、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』が脳裏にちらつく。

本書はフィクションといえど、内容はかなり深い。
ゴッホやゴーギャンの人生は、もしかしたら、こういうところもあったのかもしれないな、と思えてしまう魅力を持つ。

本書には、登場人物の何気ないセリフに引き込まれることもある。
例えば、下記のようなもの。

「絵を描いたその場所に、その絵は残らない。生産する場所と消費する場所は一致しないのが世の常です」

原田マハ著『リボルバー』(幻冬舎 、2023)、96頁。


上記セリフはゴッホの弟テオが、告別式で売れなかった兄の絵を、配った話を聞いて同僚が言った言葉。
皮肉にもそうだ。
たった一言だけど、ものすごく真意をついていると思った。
原田マハさんの表現力にも、突かれたような気持ちになる。


本書はゴッホの絵画や、彼自身を知らなくても楽しめる話になっている。
もちろん、画家たちの歴史を知っていたら、もっと楽しいのだろう。
おすすめです。

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