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【GAS】Google Apps Script 活用事例 差し込み文書の作成を自動化する

「・・・・コレ、1枚1枚作ってたんじゃ、仕事終わらなくね?」

実務で、海外のスタッフが一時帰国する度に、必ず申請しなきゃいけない書類作成を自動化しました。その振り返りを備忘録として残しておきたいと思います。俗に言う差し込み印刷.....ですね。

Google Apps Scriptは、巷では、省略して「GAS」と呼ばれています。今回は、このGoogle Apps Scriptを用いた自動化と、実際のスクリプトを紹介したいと思います。

アートボード 1

自動化の手順

1.書類を発行したいスタッフの名前、住所などシート内容の読み取り
2.テンプレートを元にドキュメントを複製
3.スタッフごとに内容の差し込み
4.管理しやすいようにファイル名のリネーム
5.指定のgoogleドライブに格納
6.ドキュメントのURLをシートに記述

今回、スクリプトを作成するにあたって、こちらの記事のアイデアを参考にしました。URL書いてくれるのってナイスアイデア!!これは、Google Driveならでは.....ですね!!下記の記事では担当者が入力されたら、トリガーで自動で作成されるようですが、今回、僕のスクリプトでは、対象者が3人であれば3通を、一括作成をするためにfor文を使っています。

参考にさせて頂いたスクリプト

スクリーンショット 2020-05-21 9.12.56

サンプルファイルを公開しています。

完成形のソースコード

function onOpen() {
 const ui = SpreadsheetApp.getUi();
 ui.createMenu('追加メニュー')
 .addItem('差し込み文書の作成', 'createNewDocument')
 .addToUi();
}



function createNewDocument() {
 const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
 const sheet       = spreadsheet.getSheetByName('DB');
 const values      = spreadsheet.getDataRange().getDisplayValues();

 //見出し行から列を特定する
 const header = values[0];
 const column = {
   id:             header.indexOf('ID'),
   japaneseName:   header.indexOf('スタッフ名'),
   englishName:    header.indexOf('スタッフ名・英語'),
   address:        header.indexOf('現住所'),
   birthDate:      header.indexOf('生年月日'),
   employmentDate: header.indexOf('入社日'),
   issuedDate:     header.indexOf('書類発効日'),
   status:         header.indexOf('作成ステータス'),
   url:            header.indexOf('URL'),
   online:         header.indexOf('次回以降のオンライン申請'),
 }

 console.log(column);
 
 let count = 0;
 
 for(let i = 1; i < values.length; i++){
   //A列のIDが記載あり、10列目の作成ステータスが空白だった時
   if(values[i][column.id] !=='' && values[i][column.status] == ''){
     
     const row  = i + 1;
     const info = {
       id:             values[i][column.id], //ID
       japaneseName:   values[i][column.japaneseName], //スタッフ名の日本語表記
       englishName:    values[i][column.englishName], //スタッフ名の英語表記
       address:        values[i][column.address], //住所
       birthDate:      values[i][column.birthDate], //生年月日
       employmentDate: values[i][column.employmentDate], //契約日・入社年月日
       issuedDate:     values[i][column.issuedDate], //この書類が発行された日
     }
     
     console.log(info);

     //別の関数を呼び出す。新しく作成したドキュメントのURLが取得できる。
     const fileName    = `${info.id} ${info.japaneseName} 発効日 ${info.issuedDate}`;
     const documentUrl = replaceDocument(fileName, info);
     
     //転記予定の範囲
     const range       = sheet.getRange(row, 10, 1, 3);
     const newValues   = [['作成済', documentUrl, '可']];
     range.setValues(newValues);

     console.log(`転記予定範囲: ${range.getA1Notation()}`);
     count += 1;
   }//if
 }//for_i
 console.log(`書類発行の対象者: ${count} 名`);
}//end



/**
* @param  {string} ファイル名
* @param  {object} 日本語名、英語名、住所等の差し込みに使う情報
* @return {string} 新規作成したドキュメントのURL
*/
function replaceDocument(fileName, info) {
 
 //テンプレートファイルのID
 const sourceDocument = DriveApp.getFileById('*******************');
 
 //コピーしたファイルの保存先(フォルダ)の指定
 const folder = DriveApp.getFolderById('***************');
 
 ////makeCopy(ファイル名、保存場所)
 const duplicateDocument   = sourceDocument.makeCopy(fileName, folder);
 const duplicateDocumentId = duplicateDocument.getId();
 
 //コピーしたドキュメントのURLを生成
 const createUrl = 'https://docs.google.com/document/d/' + duplicateDocumentId + '/edit';
 console.log(createUrl);
 
 //コピーしたドキュメントをIDで開く
 const targetDocument = DocumentApp.openById(duplicateDocumentId);
 console.log(`作成したファイル名: ${targetDocument.getName()}`);
 
 
 //ドキュメントの内容(placeholder1や、placeholder2)を差し替え
 targetDocument.getBody()
 .replaceText('placeholder01',info.englishName)//英語名
 .replaceText('placeholder02',info.japaneseName)//日本語名
 .replaceText('placeholder03',info.address)//住所
 .replaceText('placeholder04',info.birthDate)//生年月日
 .replaceText('placeholder05',info.employmentDate)//入社日
 
 return createUrl
}

ログ

スクリーンショット 2022-03-25 9.52.22
スクリーンショット 2022-03-25 9.53.15

2022/03/25 リライト

//見出し行から列を特定する
const header = values[0];
const column = {
  id:             header.indexOf('ID'),
  japaneseName:   header.indexOf('スタッフ名'),
  englishName:    header.indexOf('スタッフ名・英語'),
  address:        header.indexOf('現住所'),
  birthDate:      header.indexOf('生年月日'),
  employmentDate: header.indexOf('入社日'),
  issuedDate:     header.indexOf('書類発効日'),
  status:         header.indexOf('作成ステータス'),
  url:            header.indexOf('URL'),
  online:         header.indexOf('次回以降のオンライン申請'),
}

console.log(column);
スクリーンショット 2022-03-25 9.56.39
スクリーンショット 2022-03-25 10.07.34

見出し行(1行目)から列を特定するスクリプトです。
values[i][4]などのように書いていると、列が追加されたりした場合に不具合が起こることがあります。

そのため、1次元配列の中から、特定の単語がどこにあるかを探す事のできるindexOfを使用しています。

難しいと感じる場合は、ライブラリの併用を検討してみるのも良いかも

GASを書く際に役立つショートカットキー

fn + ctrl + space       メソッドの入力候補表示
option + /        変数名の入力補完
option + ↑キー       1行まるごと上に移動させる
option + shift + ↓キー 1行上の内容をコピペする
command + shift + k      1行まるごと削除
command + return    ログの表示
command + R       実行

対象のシートがどれかを決める

const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
const sheet       = spreadsheet.getSheetByName('DB');
const values      = spreadsheet.getDataRange().getDisplayValues();
values.shift();

シートが複数ある場合、どのシートが対象なのかを決める必要があります。今回は、DBというシート名からスタッフ名などの情報を読み取ります。

画像6

ざっくりとした解説ですが、マトリョーシカっぽいイメージです。
住所でも東京都港区......みたく大きな括りから小さく範囲を限定していきますよね?それと同じです。

・spreadsheetオブジェクト (大)
・sheetオブジェクト (中)
・rangeオブジェクト (小)

シートから情報を読み取る方法

spreadsheet.getRange('A2').getValue(); //単体のセルから情報を読み取る場合
spreadsheet.getRange('A2:D').getValues(); //特定の範囲から読み取る場合

例えば、A2:D40の時もあれば、A2:D23の時のある。こうした変更をいちいちスクリプトに反映させるのは面倒です。GASには、データが存在する範囲をまるごと読み取るメソッドがあります。

getDataRange という便利なメソッド

sheet.getDataRange().getValues();

getValues()で、シート上のデータを取得する事が出来ます。その際、データは、2次元配列で取得されます。2次元配列に関しては下記のブログが、一番分かりやすかったです。

日付の操作・処理は、getDisplayValues()を使った方が楽

var birthDate        = Utilities.formatDate(new Date(values[i][10]),'Asia/Tokyo','yyyy/MM/dd');//生年月日
var employmentDate   = Utilities.formatDate(new Date(values[i][11]),'Asia/Tokyo','yyyy/MM/dd');//入社年月日(契約開始日)
var issuedDate       = Utilities.formatDate(new Date(values[i][12]),'Asia/Tokyo','yyyy/MM/dd');//書類の発行日

2020.04.08 V8に対応させました。過去記事では、上記のように書いていたのですが、getDisplayValues()を使えば、記述が不要になります。詳しくは下記のエントリーでまとめています。

スクリーンショット 2020-05-21 9.12.56

灰色で、グレーアウトした部分が、今回のスクリプトでは使わない部分になります。IDと名前だけだと、情報不足で分からない事が多いので、部署名を入れています。グループも今回のスクリプトに限っては使いません。

Google ドキュメントの操作方法について

tonari-it.com は、Google Apps Scriptでは一番詳しいブログで、初心者にも分かりやすく説明されています。最初は僕も、こちらを読んで勉強しました。

GASによるドキュメントの自動化は記事が少なめ

Googleドキュメントは、躓いた時に参考になるページが少ない.....。
躓いたのはreplaceメソッドとreplaceTextメソッドの使い方です。文書のテンプレートを複製して(フォントやスタイルを生かして)作成したい場合には、replaceTextメソッドが基本的にオススメです。

スクリーンショット 2020-04-04 19.02.46

サンプルはこんな感じです。placeholder1とかplaceholder2とかにシートの値が挿入されます!!すごくシンプル。

Twitterで頂いたご指摘

1点目
Forの中で、作成済のステータスのものは処理から飛ばすと思いますが、GoogleドキュメントのURLを記載する処理は取得したレコードの上から順番に実施されてしまうので、ズレてしまいます。
例えば1行目が作成済になっており、2行目から処理を実施した際に
1行目のURLの行に2行目のURLが入ってしまうようです。

sheet.getRange(2, 10, status.length, status[0].length).setValues(status);

上記のように、2次元配列を貼り付けているのが原因でした。修正しました。修正後のスクリプトでは、for文内でsetValue()を記載しています。

2点目
placeholder1をplaceholder01にした方が良いかと思います。placeholder10が出てきた時にplaceholder1と認識されてしまうからです。

差し込みしたい内容が10以上ある場合は、placeholder01とした方がいいよとのことでした。鍵付きアカウントでしたので、お名前は伏せさせていただきますが、ご指摘ありがとうございます。

エラーが出たパターン

const targetBody  = targetDocument.getBody();
const targetText  = targetBody.getText(); //ドキュメントの内容を取得
const replaceText = targetText.replace(/{部署・名前}/,section).replace(/{マニュアルタイトル}/,manualTitle).replace(/{yyyy年MM月dd日}/,createDate);
     
targetBody.setText(replaceText);

replaceTextとsetTextは一緒に使っちゃいけない(笑)

下記もダメなパターン。真似しないでください。文書が白紙で作成される事が連発しました。replaceTextを使う場合は、setTextは要りません。

   targetDocument.getBody()
    .replaceText('placeholder1',englishName)
    .replaceText('placeholder2',japaneseName)
    .replaceText('placeholder3',residenceAddress)
    .replaceText('placeholder4',birthDate)
    .replaceText('placeholder5',employmentDate)
    .replaceText('placeholder6',issuedDate);

    targetBody.setText(replaceText);

スニペット作りました!!

毎回、ゼロベースでスクリプトを書くのは大変なので、過去に書いたスクリプトのカンペ集のようなものを作りました!!良かったら見ていってください。

権限を一括で付与するスクリプト

Google DocumentのPDF化

スプレッドシートを複製して、値の差し込みするスクリプト

シートが、縦でも同じ事が出来ます。

シートの値をスライドに差し込む事も可能です。


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