マガジン一覧

美学

根本的にこれは美しいと思うものについてのまとめ。

4 本

キリンジ - 十四時過ぎのカゲロウ

陸から水へと飛び込もうとするとき、「僕」は「僕」であることを忘れられる。逆に言えば、陸では「僕」は「僕」でいなければならず、それだと「生きてゆけない」気がしている。 :  陸を「乾燥した」「固定的な」「ロジカルな」世界としてとらえたうえで、人々の社会的通念や固定概念がもたらすしがらみの中では生きていけない気がしているのだと解釈することができる。対照的に水辺、あるいは水中は全てが流動的であり、「僕」を社会の束縛から解放してくれるような場所なのである。だからそこに飛び込もうとする

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実践、続けることの美学と思考停止問題

実践し続けることが大事である。 手を動かし続けなければいけない。 これが最近の僕の美学である。 僕はこの美学が、考えるのをやめ馬車馬のように猛突進するだけで良いという考え方に繋がったり全体主義的な思想のベースになったりする危険を孕んでいることを認識している。 勿論考えることは大事である。 僕が言いたいのは、手を動かし続けるのと同じくらい日々の読書・他人との会話といったインプットをも堅忍不抜に続けるのが大事だということだ。 しかし、ミクロな次元、実際に書斎に座った段階です

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Hacker's mindへの対抗手段としての美

ズル賢く、ルールの抜け穴を見つける生き方、効率よく成功を掴むライフパスの設計、コスパ思考が若者の間で蔓延している。 このような考え方は「コスパ思考」と名づけることができる。あるいはハッカー精神、hacker's mindと言っても良いような気がする。若者は優れたハッキング法を見つけることを喜びだとすら感じている。だからそれは単なるケチなコスパ思考ではない。スタートアップをドンと当てた起業家、その周りの投資家、SNSでバズりソーシャルメディア・ドリームを掴んだインフルエンサー

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美に繋がるのは規律か、自由か

規律や公共性の美学は、ユニフォームの美学に近い。 存在目的と機能のほぼ完全なる一致。 在る理由と在り方のalignment。 その美しさを担保するのは、ノイズの少なさな気がする。 両者のギャップを埋めるために余計な説明は必要なく、説明がないのでそれに対する反論の余地すらない。 批判のしようのない美しさがユニフォームの美学、すなわち規律の美しさ。 自由や個人主義・退廃の美学は、ヒップホップの美学じゃないか。 存在理由の否定を通じた反体制の標榜。 在る理由を与えられなかった余白

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流し書きのアーカイブ

あらあらしい散文の連続

18 本

流し書き20(心地よい空虚感)

何かが残ったわけではない。 次またどこかで遊ぼう、という曖昧な約束だけが投げられた。 僕は新たな言語を学ぼうという志と、本当の意味で落ち着いてやさしく考える気持ちをもらえた。 吹っ切れて、前向いて頑張っていこうと思う気持ちも全く芽生えてこないわめではない。 距離という巨大な敵に敗北してしまったけれど、僕は必ずこの壁を乗り越える。文字通り世界を股にかけてみせる。それを経て自分は何人でもないんだという感覚を理解することは、誰かを愛するということだ isn't it pret

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流し書き21(give&take)

つまり、怖いのは僕の心を破壊した残忍な行動を、僕自身が現在進行形で他人にとっているということだ ひたむきな思いの重さを僕らは耐えきれないし、だからこそそれを他人に転嫁しながら生きている

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流し書き19(サーフィン)

I bet    you won't     L.O.V.E. me サーフィン 海は表情が違う。日が替わるごとに 夕陽が穏やかな水面を照らすと、筆触分割の江ノ島海岸がオレンジ色に光る 自分のことを水色だと思い込んでいそうなグレーの海が輝きになる 突風吹き荒れる1月の海岸は、水が砕け散って泡を掻き上げる 息途絶えたマーメイドが海面に押し上げられつつはく泡のように 迎えにきた天使が羽をゆらすと空気にかかる白いもやのように 下手くそなサーファーには乗れる波もないに等しく

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流し書き18(人生をどれだけ綺麗に生きるかについて)

パリにいた頃とは打って変わって、何をしようかとゆったり迷うような時間も東京という街が僕に押し付けるスケジュールの波に吸い込まれてなくなってしまうようになった。そんな日々の1ページであった今日は朝から仕事をしていて、夕方家に帰ってからは残りの仕事をして、その後日割りの勉強時間を終えてもまだ時間が残っていた。ということで久しぶりに本当の流し書きができる。 いまテーマにしたいと思うのは「人生をどれくらい綺麗に生きるか」という問題である。別の言い方をすれば「どれくらい『意識高い系』

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ファッション

ファッションに関連する記事

2 本

クリストフ・ルメール

(この記事は更新途中です。随時情報を追加・修正していきます)  敬愛するファッションデザイナー、クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)について調べたことや考えている事などをまとめる。なお、筆者の語学スキルの関係で、情報ソースは日仏英のものに今回は限定させていただいた。  僕と同じように彼について調べている方の参考にもなれば幸いである。 経歴生年月日 1965年4月12日(現57歳) 出生地 Besançon(フランス東部) 国籍 フランス 文学

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クリストフ・ルメール 2

ルメールというブランドのえげつない格好良さについて、もう少し書きたい。ブランドの基本的な紹介や解説は以前別記事にまとめている。 先日、LEMAIREはパリメンズファッションウィーク期間中に2024年春夏のコレクションを発表した。そこで際立ったのは、流し書き4でも触れた、このブランドのルードさである。兼ねてより思っているが、LEMAIREはオーラリーやザロウではなくヤマモトヨウジだ。彼らが作るのは、クリーンで完璧なだけの洋服ではない。むしろ、無礼さ・アロガンスが表面的なエレガ

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