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急成長していた会社を売却し、生成AI領域に特化したAlgomaticでCTOに挑戦します

こんにちは、南里(なんり)です!
Bison Holdingsという180%成長(売上ベースYoY)していた受託開発会社の全株式譲渡を行いました。そして、Algomaticという会社に取締役CTOとして参画したので、その経緯についてお話しします。


自己紹介

株式会社Algomaticの取締役CTOの南里と申します。
Algomaticは23年4月に創業したばかりの会社で、生成AIに特化した事業立ち上げを行う会社です。私自身はテクノロジーの社会適用を軸に、事業創出/推進を行う経営を大事にしています。

経歴
株式会社FiNCに創業初期から参画し、多岐に渡る事業にソフトウェアエンジニア/エンジニアリングマネージャーとして携わる。2020年6月にBison Holdingsを創業し、多数の企業向けにソリューション開発事業を展開。また、フードテック企業で取締役CTOとして、飲食店向けのSaaSソリューション開発を経験。東京大学の田中謙司研究室にて学術専門職員としても従事。

ソフトウェアエンジニアリングから経営エンジニアリングへ

最初のキャリアは、ヘルスケアスタートアップのFiNC Technologies(以降FiNC)でAndroidエンジニアとして始まりました。当時(2014年)は10人程度の規模で、私はFiNCに入った最初のソフトウェアエンジニアの4人のうちの1人でした。

FiNCは健康管理アプリを提供しており、歩数、食事、睡眠、体重、生理など多種多様なライフログを記録するアプリです。私はアプリのセンサー周りやIoTデバイス連携を多く実装していました。いわゆるエッジデバイス周りのシステム設計、実装、保守運用(パフォーマンスチューニング含め)などをやっていきました。

また生成AIとは直接的ではないのですが、モバイルへのAI組み込みのようなこともやっていました。

その他のFiNC時代のアウトプットは大体この辺にあります。

スタートアップの初期メンバーとして急速な事業の拡大に対して本当に何でもしました。開発のQCDに関わることは当然ですが、組織のヒト・モノ(カネ以外)はやり尽くしたと思います。

FiNCは累計150億円の資金調達を実施し、ヘルスケアという巨大市場に挑んでいましたが、予防医療という人の潜在意識に訴求する事業のマネタイズは簡単ではありません。
私自身もエンジニアとして累計1000万ダウンロードを超えたアプリ開発を含め、多くの事業の立ち上げと拡大に取り組みましたが、マネタイズへの道のりは険しかったです。

当たり前ですが、マネタイズ出来ない事業は経営判断で縮小し、撤退を強いられます。
数多ものプロジェクトを立ち上げ、撤退してきた中で、自分自身が投資した時間や仲間の頑張りが報われなかったことに強い悔しさを感じていました。

一緒に働く人を幸せに出来ないやつが、サービスの向こう側にいる人たちを幸せにできるわけがない、という感情を持つようになったのは、この辺りからです。
そして、同時に現場のリーダーでは変えられることが少ないので、経営として事業にコミットしたいと考えるようになりました。

また当時は日本のスタートアップシーンにおけるエンジニア経営者の少なさに危機感を感じていました。テクノロジーを主軸事業にする会社において、テクノロジーを理解する経営メンバーがCTOだけ、のようなケースも少なくありません。個人的に経営者の過半数以上はテクノロジーバックグラウンドを持つべき、と考えており、CTOではなくCEOとして挑戦してみようと思いBison Holdingsを起業しました。

CEO/CTOのこれまでの経験

Bison Holdingsは、なめらかな社会をつくるをミッションにしたテクノロジーカンパニーです。
特に坂村先生のユビキタス・コンピュータ革命の影響を受け、IoTによって効率的な社会をつくれるのではないか?また、その領域はエンジニアリングのバックグラウンドがないと作れないのではないか?と考えて、そこに経営資源を投下しようと考えていました。

その中で経営者として意識していたことは、何より利益を出すことです。利益を出すことで次の投資への余裕が生まれ、企業、事業が存続/成長すると考えていました。大型の資金調達による時間の短縮よりも、新米経営者として背伸びをせずに受託事業に取り組むべきだと考えていました。

結果的に1期目で1.4億(記事の1.2億は見込みのためズレあり)の売上を作ることができました。

もちろん、簡単に作れた数字ではなく、初年度は土日もほとんど休みなく働きました。受託開発の経営は、労力に対してリターンが見合わないな、と常々思っていましたが、一緒に働くエンジニア、デザイナーがもっと報われる社会にするために尽力しました。

また、Bison Holdingsを経営する傍ら、フードテックキャピタルという会社で取締役CTOとしても就任します。

この会社では、飲食店向けにタブレットSaaSを提供していました。
Bison Holdingsと並行で経営していたので、日中は会議、夜は開発というなかなかハードな生活を過ごしていました。飲食店独自のエンジニアリングには苦労したので、当時、資料にしてます。暇があったらみてやってください。

2年ほど頑張ったのですが、頑張り虚しく事業を閉じることになります。
プロダクト自体は成長し、ローンチ半年で約250店舗に導入することができました。飲食店のITリテラシーはあまり高くないため、オンボーディングが非常に大変で、私自身何度も店舗に訪れてキッチンプリンターとタブレットの設置作業を行いました。CSもテックタッチではなく、非常に労働集約的でコスト高でした。皆の頑張りの結果、顧客満足度は競合と比較しても良かったのですが、飲食店からお金を稼ぐことに難航し、サービスの継続が難しくなりました。
当たり前ですが、プロダクトの満足度が高くても、利益を生み出せないサービスは継続できないです。

結果的に、事業の撤退とともに私は取締役を退任し、Bison Holdings一本に戻ります。その後、半年で3億弱の売上を作りました。また100名超の業務委託の方々に手伝ってもらえる組織になりました。

Algomaticに参画した理由

そのような中、なぜ成長している企業を売却し、Algomaticという会社に参画するに至ったのか?大きく3つあります。

  • テクノロジーのフルレバレッジが効かせられる領域、経営陣、資本であること。

  • 経営思想が自分のものと近かったこと。

  • 個人観点で、今までのキャリアを軸足にした大きな挑戦であったこと。

Algomaticは生成AIネイティブな事業領域に特化したテクノロジーカンパニーです。

自分が信じてきたテクノロジーで世界を変えたい

FiNC、Bison Holdings、フードテックキャピタルでの経験を経て、やっぱり自分はテクノロジーが大好きなんだと改めて気づきました。大学生の時に自分の書いたコードがWebブラウザで動いている時のワクワク感は、今でも鮮明に思い出せます。いつだって新しいテクノロジーは我々を違う世界に導いてくれます。

そして、自分の強みを考えた場合、ソフトウェアエンジニアとしてではなく、最強のテクノロジー集団を作る方にコミットしたほうが、社会にインパクトを与えられるのではないか?最高にワクワク出来るんじゃないか?と考えました。

そのような中、代表の大野からAlgomaticの構想を持ちかけられ、「Algomaticに参画してくれないか?」という話がきました。生成AIという無限の可能性を秘めた新しいテクノロジー領域に対して、20億の資金調達を行い複数の事業立ち上げを行うというなんともクレイジーな意思決定です。

ただ、自分自身が生成AIを触っており、このテクノロジーが社会にインストールされていく流れは、不可逆性の高いものだという仮説があり、この戦い方は合理性の高いものだと感じました。

LLMなどのモデル層の市場は、1回の学習だけで数億のお金が吹き飛んでしまうようなマネーゲームの世界なので、20億はすぐなくなってしまいますが、アプリケーション層に20億を突っ込んでる日本の会社はAlgomatic以外存在しません。まず領域を絞り一気にトップを狙っていく戦い方も合理的だと思いました。

生成AIの社会適応においてテクノロジーの不確実性が高い中、大きな資本力と大胆な決断力で最速で市場に乗り込んでいく構想を聞いて、「テクノロジーのレバレッジをかけるタイミング、領域、座組の全てが理想的。この機会を逃すと二度と打席は回ってこない。テクノロジーで世界を変えるチャンスに自分の人生を賭けたい」と、この話から数日で意思決定をしました。

経営思想の近さ

代表の大野と経営に対する考え方が近かったことも大きな要因です。経営チームの強さが会社の器を決めると感じています。
そして、経営チームの強さは、カルチャーから生じるものであり、自分と音楽性が合うか?は最重視しています。

実は大野は私のFiNC時代に一緒に働いたメンバー(当時彼はインターン生)です。スタートアップの大変な時期を楽しんでやってきた数少ない仲間で、お互いの大事にする価値観が共有できていたことは意思決定に大きな影響を与えました。大野の考え方に興味がある方は、是非noteをご覧ください。

Algomaticに参画する前に色々なことを話しました。経営はヒト・モノ・カネの配分を最適化し、企業の存続/成長に責任を持つ仕事だと考えていますが、一つ一つに対する考え方が非常に近かったこと、また透明性の高さや意思決定のスピードに対する感覚も自分と合っていました。

生成AIは世界にも勝てる可能性がある領域だと思っています。その際に日本の戦略として大事なことは、日本の戦力を分散しない形で集中させることだと考えていました。

大野から「昔(FiNCの時)みたいに最強のチームで集まってもう一度世界にリベンジしましょうよ!」と誘われたときに、全く同じことを考えているな、と嬉しくなりました。会社経営における意思のシンクロ率は初期のフェーズには外せない要素だと思います。

また自分にとっては、DMMの亀山会長の存在も大きかったです。
大野、南里は共に若く勢いはあるので、そういう意味での突破には自信がありましたが、ビジネスにおける老練な存在が必要だと思っていました。

亀山会長の実績は言わずもがなです。具体的な内容は記載しませんが、初めてお話しして「なんて器のデカい人だ。海を抱え込むような器だ。自分の器はペットボトルのキャップくらいだ(笑)」と本当に思いました。経営者として、人間として成長できると感じました。

過去のキャリアを軸足とした大きなジャンプ

今までの私のキャリアを振り返ると、大規模資金調達、組織のダイナミクスが拡大したFiNCでのソフトウェアエンジニア、エンジニアリングマネージャー経験(6年在籍)、優秀な経営チームでIPOを目指しテクノロジー推進をしたフードテックキャピタルでの取締役CTO経験(2年)、スモールだが、自分自身で意思決定できたBison Holdingsでの代表取締役CEO経験(3年)でした。

今回のキャリアは、FiNCでの挑戦に近いものを感じているのですが、役割が大きく違います。初期から中期のFiNCではほぼ全てのプロジェクト、業務に関わっていたのですが、経営に関しては全くでした。(ガバナンス上、当然です。)また、フードテックキャピタル、Bison Holdingsの経営は比較的規模が小さい段階だったので、今回のチャレンジとは少し異なります。

Algomaticではお金のサイズ、社内外のステークホルダーなどが増えるため、より不確実な要素が増し、これまでとは違った難しさ、課題に取り組まなければならない状況です。

Algomaticで求められる自分の経営の役割は、事業の爆発的な成長を支える組織をつくることと成功のための再現性を高めることです。
自分の携わってきたことに近い感覚もありながら、全く違う世界線の戦いであることも理解しており、悩みました。

このような、大きな選択肢に悩んだ時、自分が死ぬ間際に思い出すような刺激的で大きな選択肢はどちらか?ということを意識し、決断しています。

実は、過去にトレーラーに後ろからひかれてふっとび、背骨が折れた経験があります。奇跡的に後遺症はなかったのですが、死に近い経験をして、「多くの悩み事や恐怖は、死と比較するとなんでもないことだ。大胆な方を選べ」という境地に至ってます。

少しそれますが、Bison Holdingsのデザイン管掌役員の野田と管理管掌役員の小宮山にはとても感謝しています。自分がこの意思決定を相談した際に、とてもポジティブな反応をしてくれたこと、Bison Holdingsから一緒にAlgomaticに参画してくれたことは本当に嬉しかったです。

Algomaticのテクノロジー組織

Algomaticの組織体制

Algomaticは、以下のようにカンパニー制の仕組みをとり、事業の複数立ち上げを行います。

カンパニー制を採用

生成AIの市場は目まぐるしく変化していくため、組織体制も柔軟に組み直していきます。特に現在の黎明期フェーズにおいて重要なのは、市場に向き合い続け、より多く、より早くフィードバックを得て、改善することです。そのため、マインドシェアやリソースが分散しないこと、また、意思決定が各事業部で迅速に行える疎結合な仕組みづくりが必要です。

テクノロジー組織の展望

組織をどうつくっていくのか?は、事業、フェーズによって変わっていきます。ただ、テクノロジーで世界を変えるという志は変わりません。

カンパニー制なので、各事業部にCTOを設置し、テクノロジーの意思決定は全て事業部CTOが権限を持ちます。事業領域によって適用するべきテクノロジーは異なるため、事業部ごとにCTOが必要になります。

私は事業部とは別の横断的なCTOとして、Algomaticの組織課題と各事業部の支援を行っています。
カンパニー制で課題になりがちですが、事業部ごとのオーバーヘッドの解消は、横断的なCTOの責務の一例です。例えば、異なる事業部における同じ業務を共通化する、などです。私と各事業部CTOは対等な関係で、私自身も事業部に対する権限を持ちません。そのため私は事業部ごとのテクノロジーの意思決定が促進される組織全体の仕組みづくりに注力します。

今、私のほぼ全ての時間は事業部CTOの採用に使っています。既に4事業のうち1事業のCTOは確定しているのですが、他の3事業に関しては、まだまだ募集中です。我こそはという方、是非カジュアルにお話ししましょう!

最後に、このnoteでは、テクノロジー組織で大事にしたい価値観を共有しようと思います。再三ですが、カンパニー制なので事業部ごとのバリューなどはまた変わってきます。また、今考えてることなので変わる可能性は多いにあります。

創りたいエンジニアのカルチャー

  • テクノロジーを信じて学び、挑戦すること

  • エネルギー量を高く保ち、変化を楽しむこと

  • 期待を越えつづけること

テクノロジーを信じて学び、挑戦すること

「テクノロジーで世界を変える」という志は、現状に満足せず、次の社会をつくるために力を発揮することです。これはコンフォートゾーンから飛び出し、今までの知識、経験に依存せず、新しい技術を獲得し、大きく挑戦しよう、ということです。

テクノロジーに触れたワクワク感からソフトウェアエンジニアになった自分の個人的な願望も入っているのですが、テクノロジーを純粋に追求する組織にしたいと思っています。

エネルギー量を高く保ち、変化を楽しむこと

何より楽しむことは大事です。
そして変化を楽しむためには、物理的、精神的な余白があることが必須条件です。物理的、精神的な余白によりエネルギーが充足した状態になり、変化を楽しめるようになります。そして、その状態だと仕事の集中力と生産性が高まると考えています。

実は、私は2018年にヘルニアになり、1ヶ月半ほぼ動けない生活をしたことがあるのですが、変化を楽しむための心の余裕が全くなく、強いストレスに感じていました
成長している企業では、日々変化が起きます。その変化を楽しむために、エネルギー量を高く保つことは組織、個人の重要課題だと思っています。

期待を越えつづけること

ユーザーへのデリバリーは早ければ早いほど良いです。しかし、事業が拡大するにつれ、デリバリースピードは落ちてきます。するとビジネス側の人間は、お客様に対して期待値調整のためにバッファを持ち始めます。同時に開発側も無責任なことを伝えたくないので、バッファを持ち始めます。このようにバッファが徐々に増えると即日リリースするべきの簡単な機能のデリバリーでも1週間かかったりします。
しかし、自分が一緒に働いてきたカッコいいエンジニアたちは、関係者の期待のスピードを超えまくって、デリバリーし続けていました。
周りに何も言わせない圧倒的な成果だけでなく、ビジネス側に問題があっても開発でリカバリーしてくれる、そんなカッコいいチームに出来たら、と思っています。

創業メンバー大募集!!

Algomaticは4月に設立したばかりの会社で、絶賛採用中です。
我々の組織はまだ正社員が10名程度の状態で、どの事業も立ち上がり始めたばかりです。事業の成功は保証されておらず、一緒に事業の成功に向かって突き進める創業メンバーや仲間を探している段階です。

「銀の弾丸はない」とチューリング賞を受賞したフレデリック・ブルックスの言葉もありますが、事業の成功にも銀の弾丸はありません。Algomaticは誠実に、愚直に、泥臭く、前進し、社会によい影響を与えていこうと思っています。

募集職種

・事業開発、新規事業責任者
・ソフトウェアエンジニア(フロントエンド、バックエンド、インフラ)
・機械学習エンジニア(画像生成、言語生成)
・プロダクトマネージャー
・デザイナー
・セールス
・マーケティング
・カスタマーサクセス
・HR

カジュアル面談

ご興味ある方は、ぜひ一度お話ししましょう!
カジュアル面談はこちらから。

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