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創業1年目で売上1.2億円。FiNCの元エンジニアマネージャーが、“脱・モバイル”で「なめらかな社会」を目指す理由

Bison Holdingsの南里勇気です。かつてFiNC Technologiesでモバイルエンジニア/マネージャーを務めていた僕は、同社を退職した後、2020年6月にこの企業を創業しました。

ありがたいことに、FiNC Technologiesでは新卒入社から2年ほどでチームリーダーを務めさせていただき、その後マネージャーになってからも数多くのチャレンジングなプロジェクトを任せていただきました。レベルの高いメンバーとともに切磋琢磨できる環境でしたが、その会社を辞めてでもBison Holdingsを創業しようと思ったのは、僕が実現したいビジョンがあったからです(詳細はこちらのnoteにて連載形式で解説していきたいと思います)。

Bison Holdingsは立ち上げから多くの引き合いをいただき、ありがたいことに設立から半年で売上4千万を超えました。決算期(3月末)までには今期の売上が1億〜1.2億円に到達する見込みです。現状はエクイティ・デットファイナンスなどの資金調達は行っておらず、事業の収益だけで運営できています。

多くの人から「Bison Holdingsは何をしている会社なの?」とよく聞かれるので、noteの第一回は事業内容や僕らの目指す世界観について書いていきます。

Bison Holdingsはどんな事業をやっているか

Bison Holdingsは、IoTやモバイルアプリなどユーザーの行動データを取得するテクノロジーの開発やデータ分析基盤・AI基盤の構築、システムの体験設計などを通じて、社会により良い体験を届ける支援をする企業です。

僕が学生時代から医療関係のスタートアップに携わっていたことや、前職のFiNC Technologiesでヘルスケア関連のサービスを開発していたこともあって、事業ドメインとしては医療・フィットネスの分野を主軸に置いています。

事業内容としては、将来取り組もうとしていることも含めて大きく3つあります。

1つめは受託開発です。僕らは“パートナーワーク”と呼んでいますが、なんらかのビジネス課題を抱えている企業に対し、エンジニアリングでその課題を解決するお手伝いをしています。各企業のニーズや要件に合わせ、さまざまなスキルを持ったメンバーでチームを組成してプロジェクトにアサインし、ビジネスを改善していくのがBison Holdingsの特徴です。

2つめは自社開発したソフトウェアの販売です。こちらは今年から始めようとしているもので、SaaSにするのか、ライセンス料をいただくのか、もしくはOEMのような形にするのかはまだ検討中です。いずれにせよソフトウェアパッケージを販売し、その利用料をいただくモデルを想定しています。

3つめは、上の2つとは少し毛色が異なるのですが、さまざまな企業との資本提携を考えています。受託開発はその性質上、ビジネスとしての成長度合いがどうしても“人”に依存してしまう部分があります。ですが、ビジネスをグロースさせるうえでは、可能な限り事業における不確実性を減らすべきで、そのためにお金に関することは人に依存するべきではないと僕は思っています。だからこそ、今後は資本提携などを積極的に行うことで、資金的な基盤をより安定させていきたいと考えています。

創業から一年未満で、今期売上げ1億〜1.2億円(見込み)に到達できた理由

【要約】
①プロジェクトを走らせていく工程を優秀なチームメンバーに委ねる。リーダー・マネージャーには権限だけではなく予算もセットで渡す。
②費用対効果を考えて、企業のニーズにマッチした提案ができている。ときには「システム開発しない」という提案をすることも。
③事業開発からプロダクトの実装まで一気通貫で実行できる。

冒頭でもお話ししたように、おかげさまで決算期(3月末)までには今期の売上が1〜1.2億円に届く勢いです。

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業績が好調なのは、前にいた会社のネームバリューに助けられていることもありますが、優秀なメンバーに支えられていることが大きな要因のひとつです。僕が関わっているのは、各プロジェクトの要件設計やプランニング、メンバーのアサインなどの業務がメイン。実際にプロジェクトを走らせていく工程はチームメンバーに委ねています。

また、意思決定の速度を高めるためにチームのリーダーやマネージャーには権限だけではなく予算もセットで渡し、プロジェクトの全てを任せています。もちろん、この体制で企業を運営していくためには、自走できるメンバー・なんらかの強みを持ったメンバーでチームを組成する必要があるので、書類選考や面接の段階でその人の適性や強みなどを丁寧にチェックしています。

こうした形で組織運営できているのは、FiNC Technologiesでマネージャーとしての知見を養えたことや、数多くのプロジェクトを運営する経験を積めたからこそだと僕は感じています。そう考えると、多くのチャンスを与えてくれたFiNC Technologiesという会社には感謝しかありません。

また、事業が好調な理由はニーズにマッチした提案ができていることも大きいと思います。僕らがお手伝いをしている会社は、優れたビジネスモデルで高いポテンシャルがあり、テクノロジーを活用できればより事業が成長する可能性の高いところが多いです。

「テクノロジーの活用によってビジネスを成長させたい」という企業のニーズに対して、僕らは費用対効果をふまえて各種の提案を行います。ときには「システム開発をせずに、別の施策を実施する方が良い結果が出ますよ」という提案をすることさえあります。僕はシステム開発はあくまで手段のひとつでしかないと考えているので、それ以外の手段で効果が出るならばその方が断然いい。

また、事業開発からプロダクトの実装まで一気通貫で実行できることも僕らの強みです。そうした特徴が、さまざまな企業のニーズとマッチするのかなと感じています。

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主体である人間と客体であるツールの依存関係が逆転している

会社説明や売上の話だけだと堅苦しくなるので、ここからは「僕がBison Holdingsの事業を通じて、どんな世界観を実現したいのか?」という話を書いていこうと思います。Bison Holdingsは人々の“体験”にインパクトを与えることを重視している企業なのですが、それには理由があります。

僕らはいつもスマートフォンを持ち歩き、職場ではパソコンを使い、家に帰ると声に反応するスマートスピーカーなどを利用しています。なかにはスマートウォッチをつけて運動をする人もいるでしょう。現代の社会はさまざまなコンピューターが生活空間にあふれる時代になってきたといえます。

しかし一方で、そういったITツールの発達があまりにもめざましすぎて、本来それを使いこなす主体であるはずの人間の生活が、客体であるはずのソフトウェアやハードウェアに支配されている。そのために、人間の生活がとても不健康なものになっているのではないでしょうか。

たとえば、家で自由な時間を過ごす際に、何時間もスマートフォンをいじってTikTokやYouTubeを観ているということはありませんか? せっかくの余暇の時間がハードウェアやアプリケーションに依存してしまっている。そのせいで、人と人とのかかわりもどんどん薄くなっている。僕はそんな気がしています。

その課題を解決するには、人間の生活のなかに自然に入り込むようなソフトウェア/ハードウェアを設計・開発することが重要だと考えています。たとえば、ドアの上部にモニター画面が埋め込まれている電車をよく見かけますが、あのモニターは電車に乗り込むと自然に目に入りますよね。あれは、人間のすき間時間に溶け込み、ストレスを与えることなく、シームレスに生活とつながったソフトウェア/ハードウェアの好例だと感じます。つまり、人間の生活を主体とした体験設計が重要なのです。

人々をソフトウェア/ハードウェアへの依存から解放することで、より可処分時間が増えると考えられます。そうすれば、人々の消費活動や生産活動がもっとさかんになるでしょうし、生まれた時間で人々はもっとクリエイティブな行動ができるようになるかもしれません。そのような世界観を目指したいと思っています。

ソフトウェア/ハードウェアが人間にフィットする世界

では、「人間の生活のなかに自然に入り込むようなソフトウェア/ハードウェア」という概念を、医療・フィットネス領域に当てはめるとどのような世界を実現できるのか、について解説していきます。

たとえば、フィットネスジムでフリーウエイトをしたときに、使用したバーベルやダンベルの重量を記録するツールは、今のところジムに設置してある記録用紙かスマートフォンくらいしかありません。でも、よほどきちんと管理しようという人でない限り、わざわざ紙に書いたりトレーニング中にスマートフォンを取り出して記録することはないですよね。

たとえば、ユニクロの無人レジでは、カゴを置くだけで品名や値段がでてくる仕組みになっています。それと同じように、ジムでも監視カメラが自分のトレーニングを自動的に撮影してくれていて、何キロのウエイトトレーニングを何回したかがトラッキングされていると便利ですよね。もしくは「30キロ、10回」と自分のスマートウォッチなどに声を吹き込むだけで記録されるのもいい。

そして、それがあらゆるデバイスのソフトウェアと同期されて最新情報に更新される。次にジムに来たときには、モニター画面の前に立つだけで前回の記録が出てきて、「前回は30キロだったから、今日は40キロにトライしよう」と自動的にリコメンドしてくれる機能があればいいと思いませんか? いわば、ソフトウェア/ハードウェアが人間に寄り添ってくれるような世界観です。

また、医療・フィットネス領域においては、複数のデバイスやアプリケーションに分散しているデータを統合することも重要になってきます。食事・睡眠・運動のデータを例に解説させてください。

人が健康になるためには、大きく分けて食事・睡眠・運動の3つの要素がバランスの取れた状態でなければなりません。いくら栄養のある食事をとっていても全く運動しなければ病気になってしまうように、どの要素が欠けても人は健康になれないのです。

これら3つの要素が適切なバランスかどうかを、各種のデバイスやセンサーなどを用いることで取得可能です。たとえば、モーションセンサーや近接センサーを使うと、寝返りの打ち方で睡眠の深さがわかります。また、就寝中にApple Watchをつけていると心拍数のデータが取れるのです。

しかし、こうしたデータは統合されていなければ意味がありません。Aというデバイスには特定時間帯のデータだけが蓄積されており、Bというデバイスには別の時間帯のデータだけが蓄積されている、という状態では活用できない。また、あるアプリケーションには食事のデータだけ、別のアプリケーションには睡眠のデータだけが格納されている、という状態でも不完全です。

単にソフトウェアの開発を行うだけでは、各種のデータを統合して分析するという世界観を実現できません。ハードウェア/ソフトウェアのことを横断的に考え、単なるシステム設計ではなく人間の体験そのものを設計することが求められます。僕たちBison Holdingsは、そうした役割を担い、人間にやさしい体験を生み出すスペシャリスト集団でありたいです。僕らはこうした体験創出のことを「なめらかな社会を作る」と定義しています。

おわりに

今後もこのnoteでは、Bison Holdingsの事業内容や僕の考えることについて情報発信していきます。読者の方々にとっても学びのある内容にしていきたいと思うので、ぜひ定期的に読んでいただけたら嬉しいです!

※写真はフォトグラファーの山辺恵美子様に撮っていただきました!

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