見出し画像

LLMをやりたくて仕方ないのでLLM無職を経て株式会社Algomaticにジョインした話

5/25にDMMグループの株式会社Algomaticにジョインしました。

LLMとは、Large Language Model(大規模言語モデル)の略であり、文字列を入力したら、統計的予測と乱数に基づいて、その続きの文字列を返してくれる、いわゆる生成AIの一つで、みなさんご存知の ChatGPT もLLMを応用したアプリです。

Algomaticは、LLMをはじめとした生成AIを活用するサービスを開発・提供するためのスタートアップで、4月に設立したばかりの会社です。

普通のスタートアップと違う点は、合同会社DMMが20億円の投資をして、生成AIを使った事業をガンガン立ち上げていこうぜ!という理念で設立されたことで、目的に向かって一直線の会社です。

僕はAlgomaticのエンジニアとしては1人目(社員2号)で入社しましたが、入社前に業務委託で ビジネスGAI - ChatGPTをビジネスに活用できるプラットフォーム というビジネスユース向けのサービスを開発・実装し、リリースしています。そこそこの速度感で開発できたと自画自賛しております。

Algomaticは6/1に、開発力をブーストするためにBison Holdingsという会社を買いました。Bison Holdings の南里さんがCTOとして色々見てくれています!

Algomaticはこの通り、とても動きの早い会社ですが、僕自身も会う人みんなに「早すぎない?」と言われるような速度で転職をキメたこと、そもそもLLMをやりたさすぎて退職を決めたときは、転職先がまだふわふわしてた状態で賭け状態だったこと、LLM無職というムーブメントとか、まぁそんな感じのことを書いてみたいと思います。


お前誰よ

唐突な入社エントリで、普通は「お前誰よ」状態だと思うので、簡単に説明します。

ID: erukiti でソフトウェアエンジニアリングやってます。

名前は知らなくてもアイコンだけ見たことあるって言われる

このアイコンに見覚えがあるかもしれません。

大昔はバックエンドエンジニアやWindows/UNIXアプリなどをやってて、最近は主にTypeScriptとモダンフロントエンドをやっています。大体、僕の発表や記事や本ではTypeScript + React みたいなのが多いでしょう。

ということで、僕はバックエンドもできるフロントエンドエンジニアです。プロトタイピングが得意で、0->1 や0->10くらいが最もバリューを出せる領域です。

LLM無職ムーブメント

さて、冒頭でも説明したLLM(大規模言語モデル)です。

ChatGPTの中で使われているLLMが GPT-4 とかGPT-3.5です。

ChatGPTは単なるチャットアプリにすぎませんが、それですら、かなりの可能性を持っていて、みなさんもご存知の通り、日本人も最大限遊びまくってて、連日ニュースにならない日がないほどの勢いです。

他社のLLMには、Googleの PaLM2 や、CyberAgent社のオープンソース国産LLMである OpenCALM や、Microsoftからスピンアウトした自然言語生成で超老舗の rinna株式会社 の rinna というシリーズの言語モデルなどがあります。他にも書ききれないくらいたくさんのLLMが現在進行形で立て続けに発表されています。

LLMには当然のことながらチャットアプリ以外の活用方法があります。

僕が記事を書いているここnoteや、NotionやSlackなどさまざまなサービスにLLMが組み込まれ始めていますし、GitHub Copilotや、先日 Microsoft Build で発表のあったWindows CopilotなどもLLMを活用するアプリとして有名です。

進化したGitHub Copilot for Xは、エンジニアの生産性を10倍にする 10x が可能になると言われています。実際それくらいのポテンシャルはあるだろうなと感じます。

すでに、現行のChatGPT + GitHub Copilot(やGitHub Copilot for Business)を使って実際に生産性を上げているエンジニアの人もすごく増えたのではないでしょうか?かくいう僕もこの二つを手放せなくなっています。

LLMに限らず、生成AIを取り巻く状況は日々進化し続けています。大量の目まぐるしい論文・実装・アプリ・サービス・テクニック、そういったものが大量に登場していて、論文がarxivで公開されてから一週間以内に第三者による実装が登場するなんてことも珍しくありません。

AI関係者が口々に「情報が多すぎてしんどい」と言ってしまうほどです。

SF作家ですら、AIの進化の速度が早すぎてSFを書くことが大変な世の中にすらなっている状況です。数年かけて書いた本が、たった一つの論文によってパーにされてしまう可能性もあります。連日革命的な出来事が起きていて、油断すると一瞬で物事が陳腐化するほどで、軽く見積もっても歴史的転換点であり、産業革命に匹敵すると言う人も少なくありません(もちろん僕もその意見の持ち主です)。そんな中で「AIとSF」を執筆した勇気あるSF作家の皆様には敬意しかありません。

さて、そんな状況でLLMに興味を持つ人は少なからずいます。LLMについて誰かと話したい。これってどうなの?本当にこれやれるの?どうやったらうまくやれるの!?なんなら俺うまくやったよ!!などなど。

そこで LLM Meetup Tokyo というイベントがあります。「参加者全員LLMに関するLT用意しなければいけない」というとてもハイブローなイベントの割には参加希望者があまりにも多すぎて、会場のキャパシティがどうやっても追いつかないという問題があるほどの大人気イベントです。

この LLM Meetup Tokyo #1 のときに、僕を含めた何人かが「LLMをガチでやりたいために退職した」というLTをしたため、SF作家でありLLMガチ勢の一人である 安野貴博 さんが、その様子について「LLM無職」という言葉を生み出しました。

ちなみにそのあと LLM無職Meetup というこれまたハイブローすぎるイベントが4月末開催されたりしてました。

LLM無職は、とにかくLLMの凄さを目の当たりにして会社を辞めた人のムーブメントです。

もっともLLM無職という単語とは裏腹にガチ無職ではなく、この時点ではすでに業務委託でビジネスGAIを開発していました。ティアキンはまだ発売されていなかった頃なので、RAKU SPA 1010 でお風呂入ったり、自転車でサイクルロードを走る日々です。

2023年6月現時点の日本ではLLMによる失業が観測されていないため、この単語がまだ普通のパワーワードとして受け入れられていますが、今後LLM失業が本当に出てきた時には、さすがにこの単語を出すのは難しくなっていく可能性もあります。

もっとも僕の予測としてはこれまでの産業革命と同じように、LLMで失われる職業がある一方で、それと同じくらいかそれ以上に新しい職業が生まれると思っております(つまりまだまだ、働かなくていい時代は来ないんやで…)。

スピード退職 -> 転職の流れ

さて、そんなLLM無職を経た僕ですが、そもそもどのような流れで転職に至ったのかを説明します。

実は3月中旬より前は、退職や転職なんて全く考えていなかったのです。

むしろオクトパス・トラベラー2やアトリエ3、ティアキン、DIablo4などをやるために、ために貯め切った有給を使うか!そのためにもチームメンバーをさらに鍛え上げて、今よりも属人性を減らすぞ!!くらいしか考えていなかったです。(元々属人性が高まらないムーブを心がけてはいました)

前職ではインターネットバンキングの開発をしていました。そもそもとして前職に大きな不満はありませんでした。チームメンバーに恵まれ、めっちゃ僕好みの技術スタックで好き勝手にやらせてもらいましたし、チーム運営ノウハウも、スゴウデのスクラムマスターやPM/PdMから 盗み 学び放題でした。(さまざまなテクニックは転職後にも、めちゃくちゃ活用されています)

そんなわけで、自分が成長できるとてもいい環境でした。

もちろん、細かい不満はゼロではないけれど、そういう細かいものは、どんなに素晴らしい会社であっても、まず間違いなくあるものです。我々、大人はそういった細かいものに対して、譲れるものと譲れないものを決めて、トレードオフをして割り切るのが世の常というものです。

さて、前職はともかく、転職を考え始めたタイミングについてです。

まず、正月休みにLangChainを触り始めて、LLMはシンプルなREST APIで叩けるということには気づきました。

でもその先どうなっていくのか?自分とどう繋がっていくのか?は、この時点ではまだそこまでピンと来ていません。このタイミングでピンと来てた人すごいと思います。

2月に、LLM Meetup Tokyo の主催者でもある coji さんが、LangChain コードリーディング会という数名規模の勉強会をやっていて、そこで初めて Algoage(当時はAlgomaticは影も形もない)のCEOである 大野峻典 さんと出会って、「LLMでなんかやっていきたいねー」「いいっすねー」みたいな感じの会話をしたりはしてたんですが、やっぱりこのタイミングでも、まだ転職するほどの何かは芽生えていません。

では、なぜ転職する気になったかというと、「LLMの面白さは、ひたすら時間をぶっ込んで、触り倒す以外に、理解できる方法がない!」「触ることが正義!」ということで、3月初めの土日に「とりあえず寝食忘れてLLM触り倒そうチャレンジ」を開催しました。言ってみれば48時間耐久でゲームやるノリですね。

そのときにやっていたのは、どうやれば子供騙しのオモチャじゃない超ホンモノのTRPGシステムを作れるかというものでした。このチャレンジによって「あれ?これめちゃくちゃ面白い技術なのでは?LLMをシステムに組み込むのも不可能じゃないし、これまで無理だと思われてた設計もLLMを使えば可能になる。ゲームみたいなのも作れるし、ポテンシャルがマジでやべぇえええ。これは確実に時代が変わる!!!!!」ってなりました。

副産物としての記事はいくつか書きました。

これらの記事は、その研究をしてたときの副産物です。結局どうやって、望み通りの演算をさせてそれをシステムに組み込めるのか?というものです。

直感: 僕らの時代が来た

僕はもともと学歴も高くなく、ごく一般的な独学ギークなエンジニアです。

AIには興味があったし、いずれAIに関する仕事をしてみたいとか、2018年の頃にBERTすげーなってなったりもしてたんですが、AIというのは「遠い世界の出来事」でした。GoogleやFacebookやスタンフォードの偉い研究者の人たちが何かやってるという認識しかありませんでした。

でも、徹夜チャレンジでLLMを遊びたおして「これはウェブシステムやアプリを開発する『我々』の領域に降りてきた!」と理解しました。

僕は、ReactやNext.jsやTailwind CSSがチョット書けます。バックエンドも昔とった杵柄で、TypeScript バックエンドとか好きです。

最近は個人アプリ開発をする人たちもめちゃくちゃ増えましたよね。

というか、そもそも、自分の引き出しなんてなくても、ChatGPT に聞けばリスキリングも捗ります

もはやLLM・生成AIは研究者のものではなく、我々「ウェブ開発者」がどれだけ馬力を出して活用できるのか、サービスやアプリを生み出せるか?仮説を検証し続けられるかのフェイズになったのです!!!

これってすごい事じゃないですか?

世界を完全に変えてしまうテクノロジーが僕らウェブ開発者の手の届くところに来て、しかも超広大な市場を開拓できるなんて、人生においてはそう何度もありません。この規模の革命は二度とないかもしれません。

そこからは最速で転職

そのことに気づいてからは、決断に時間を掛けていません。

Facebookで転職すると書き込んで、それを見た大野さんから連絡をもらって、可能だった最速タイミングで面接して「入社する方向性で、とりあえず業務委託でやってみます!」と決まって、その翌日に、上司に退職する旨を伝えました。この時点では僕が入社するAlgomaticは影も形もありません

当時は、大野さんは株式会社AlgoageのCEOですが、僕はこの時点では大野さんがどういう会社を経営してるかも全然知りませんでした。たんに大野さんがやってる会社という点しか見ていなかったので、大野さんたちがAlgoageを立ち上げてDMMに買われた背景とかも、後で知ったくらいです。

大野さんがやってる会社ということと、大野さんがLLMで事業をガチで作っていくつもりだ、というたったの二点だけで決断しました。

この時の僕は「最初に声を掛けてくれて、人柄や文化がマッチしそうな人の会社に行こう」くらいの基準でした。じつは前職のCTOが前職に入社したときのエピソードを真似てみました。もしもこのタイミングで大野さんよりも先に声をかけてくれる人がいたらその人の会社に行ってた可能性もあります。

Algomaticが設立するきっかけになった、大野さんと亀山会長の会話はその二週間後となる、4月1日にあったものです。

つまり、めちゃくちゃ見切り発車でした

とにかくLLMを触り倒したいということだけを決めていて、最悪の場合でも、貯金を食い潰してでもギリギリまでLLMを触り倒してノウハウを貯めるつもりでした。色々不確実だったので不安は少なからずありました。それでも、自分が今ここでLLMをやらないと絶対に後悔するという確証があったので、不安を無視し、直感に従って行動してきました。(前職辞めるときとか心臓壊れるかってくらい不安はありましたよ!!)

僕はやたらと理屈っぽい性格ですが、ここぞという時は直感頼みの人間です。

退職を伝えてからの前職で2スプリントを走り切って最終日を迎え、そのあとは業務委託でビジネスGAIを開発、正式に入社が決まり、入社する会社が設立され、ビジネスGAIがリリースされ、会社設立BBQパーティーが開催され、ビジネスGAIの初の契約が成立し、入社日を迎えるというとても目まぐるしい二ヶ月を過ごしました。あまりにも濃密すぎますね。

見切り発車で始まった二ヶ月は、見事に最初の直感勝ちです。

LLMで事業を立ち上げる上でこれ以上ないくらい最高の会社に、最高のタイミングで入社できました。

Algomatic

僕より少し早いタイミングで入社した 池田晴紀 さんが社員1号です。彼はビジネスGAIの事業責任者です。あとはもう一人プロダクトを見ている業務委託のメンバー(すごく頼もしい人)と僕の3人がメインで、Google Cloud 構築で手助けをしてくれる方、デザイナーの方、動作確認をしてくれた方、えらい人たち、などに協力してもらい、ビジネスGAIを開発し、リリースを迎えることができました!

控えめに言っても最高のメンバーです。とても仕事がやりやすいです。まさに打てば響く感じです。

ここからさらにAlgomaticには、僕と同じくLLMによって世界が変わると確信している人たちが続々入社予定となっていて、ビジネスGAI以外にも事業が幾つも立ち上がります

先ほども書いた通り、LLM・生成AIを使った市場はあまりにも広大ですし、Algomaticは、普通のスタートアップとは違い、目的に一直線にいけるだけの資金があります。

ということで、僕らと一緒にLLMで世界を変えたい人、ぜひ声をかけてください。僕に話しかけるでもいいですし、カジュアル面談なんかもやっています!

募集職種


  • 事業開発・新規事業責任者

  • ソフトウェアエンジニア(フロントエンド、バックエンド、インフラ)

  • 機械学習エンジニア(画像生成、言語生成)

  • プロダクトマネージャー

  • デザイナー

  • オープンポジション

あまりにも広大極まりない生成AI市場を、僕らと一緒に開拓しませんか?

僕らと一緒に世界を変えようぜ

LLM Meetup Tokyo #3 から運営に入る なんり | Algomatic CTO さんと、ガンガン勉強会を開催したり、企業として同人誌の制作などアウトプットもやっていったり、何より我々は技術力で勝負していきたいねという相談をしています。

近いうちにAlgomaticのオフィスが完成するので、LLMやフロントエンドやT3 stackの勉強会や、LLM Lounge などを開催できればと思っています。

また、Zenn publicationなどでAlgomaticとしての技術情報の発信や、エモいことをnoteで書いていきたいですね。

僕らと一緒に生成AIで世界を変えていきませんか?

世界が生成AIによって革命されるのはもう目の前です。

今しかできない技術的革命を僕らと一緒に楽しんでみませんか?

生成AIは決して遠いものではありません。まさに我々が実際のサービスに落とし込むフェイズです。

アメリカや中国の企業に負けたくないです。世界最高のAIサービスを日本初で何個も立ち上げていきたいです。

同じ思いを持っている人は、ぜひ、僕らに声をかけてください。

こちらも是非ご覧ください

Algomatic創業・ジョインのエントリが続々でています。(順不同)

まとめたもの


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?