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生成AIに全力投球したくて、新卒から12年いたリクルートを退職しました

この記事で書いていること
・私の自己紹介
・なぜ12年いたリクルートをやめて、生成AIスタートアップに転職したのか
・生成AIのなにがすごいのか、プロダクト作りに与える影響
・生成AIスタートアップAlgomaticで過ごしてみて

みなさま、はじめまして。池谷(イケヤツと読みます)と申します。

新卒で入社し、12年間勤めたリクルートを退職し、2024/1/1より生成AIスタートアップの株式会社Algomaticに、シゴラクAI事業部のCPO(Chief Product Officer)としてジョインしました。

今回の記事では、なぜ、12年間も働いたリクルートを辞めて、2023年4月にできたばかりの生成AIスタートアップであるAlgomaticに入社したのかを書きたいと思います。Algomaticや生成AIについて気になっている方々の参考になればと思っております。

自己紹介

私は早稲田大学卒業後、新卒で株式会社リクルートに入社し、10年以上プロダクトマネジメントの仕事をしてきました。
プロダクト作りが大好きです。

経歴を箇条書きでお伝えすると、下記になります。

  • 1年目はホットペッパーグルメのAndroidエンジニア

    • 基礎的な技術や開発プロセスを現場で学ぶ

    • ここで得た知見を活かして、個人開発も趣味の範囲でいろいろやりました

  • 2年目からはAirレジの立ち上げをディレクターとして担当

    • ゼロからプロダクトの要求・要件を作って開発者・デザイナーとものづくり

    • ここで「ユーザーエクスペリエンス」と出会い、学ぶ

  • 複数の新規事業の立ち上げを経験

    • Airレジ、ショプリエ、Airペイポイント、エアウォレットなど

    • toC, toBアプリの両方を、複数プロダクト立ち上げしてきました

    • アジャイル開発も、大規模ウォーターフォール開発も

    • 立ち上げフェーズのため、プロダクトマネジメントのみならず、自ら営業したり、セールス、アライアンス、外部システム連携、CS立ち上げ、P/L管理 など本当に幅広く経験させていただきました

  • 直近3年間はグループのマネージャーとして、組織マネジメントも

    • パートナーさん含め20名弱のチームのマネジメント

こんな感じで、リクルートには約12年在籍し、本当にたくさんの機会と、多くの経験を積むことができました。

生成AIにより”未来”が到来してしまった

リクルートは本当に素晴らしい会社でした。個人のWillが尊重され、なんでもやらせてもらえる環境でした。個々人が、事業やプロダクトのためにやるべきことを考えて、主体的に取り組むことが強く推奨される。それだけではなく、各人のキャリアや人生観といった点についても個人の意思が尊重される会社でした。
逆に言うと、自分の意思がないと働きづらい会社かもしれませんが、自分にはものすごく合う会社でしたし、最高の12年間を過ごせたと感じています。同期や同僚にも本当に恵まれ、一生仲良くしたいと思っています。


そんな中、なぜ転職したかというと、生成AIにより”未来”が到来してしまったことがすべての原因となります。


2022年11月、ChatGPTがリリースされました。当時でいうと、正直なところまったくその技術について触れることができていませんでした。常に目の前の仕事が忙しく、それどころではないという感覚で過ごしていましたし、自分の仕事に大きな影響はないとも思っていました。

そんな中、たまたまFacebookでAlgomatic代表の大野がメッセージをくれたことが、転機となりました。

大野とは、私がindeedに一時出向していた際に出会い、ちょこちょこオフィスでランチをする仲でした(indeedは無料の社食がありました)。indeedから離れて、およそ4年ぶりに連絡をもらい、近況キャッチアップがてらzoomで会話しました。そのときに、生成AIやAlgomaticについて教えてもらい、少しだけ興味を持ち、翌週にはCTOの南里と3人でご飯に行き、なんとなく業務委託で参加してみることになりました。その瞬間はまだまだ生成AIへの熱量は高くなく、とりあえず、という気持ちでいました。


ただ、その考えは、1週間でガラっと変わってしまいました。間違いなく、この技術はヤバく、今後のプロダクトづくりは一変するんじゃないかと思うほどになりました。


Algomaticは生成AIマニアがたくさん生息しており、slack上で、ものすごい量の情報交換が行われています。そこにいるだけで、生成AIがどんなものか、日々のアップデートを直に感じることができました。業務委託として参加して、一週間、生成AIに関する情報を浴びたことで、一瞬にして自分の中で温度感が高くなり、参画した週、ChatGPTの有料版にアップデートしてひたすら触りましたし、その週末には、自分でstable diffusionの立ち上げ、画像生成もしてみました。あまりにすごい技術で圧倒されました。この衝撃は、自分がIT業界に携わって過去一番とすら思えました。

下記はAlgomaticの生成AIマニアたちが日々シェアしているニュースをまとめたものです。かなりいい具合にまとまっているので、具体事例を見たい人は要チェックです。


自分は、子供の頃からずっとSF映画が大好きでした。スターウォーズ、バック・トゥ・ザ・フューチャー、ターミネーター、2001年宇宙の旅、ブレードランナーなどなど挙げたら切りがありません。おそらく100本以上はSF映画を見てきました。そんな大好きなSF映画の世界観が、突如として現実に訪れた感覚をChatGPTから感じました。システムと人間が対話する。しかもごく自然に。この興奮はいまでも忘れられませんし、ふとしたときに改めて、すごいなと感じてしまいます。ぼくらにとっての圧倒的な”未来”が突然訪れてしまいました。

ChatGPTと会話しているとき、常にC3POが思い浮かびます。

引用元:https://starwars.disney.co.jp/databank/character/c-3po


このイノベーティブな技術は、自分が携わっているプロダクト作りにも大きな影響を与えると感じましたし、この技術を使ってプロダクトを作る最前線で仕事をしたい。それも今この瞬間が大事。という感覚が、一気に強まりました。それをやるために、Algomaticが最もいい環境なのではと思えたことが、転職を決意した瞬間でした。

生成AIがもたらしたこと

生成AIを使うことでいろんなことができるようになったと思いますが、プロダクトマネジメントの観点からそれの影響を考えてみました。
生成AIのなにがすごいのか。システムに会話すると回答(画像だったり動画だったり音楽だったりも含め)が返ってくることのなにがすごいのか。

これまで

AというインプットをしたらBというアウトプットになるよう、システムを自分たちで都度定義して作っていました。Aが5と10で、Bが15になるシステムは足し算のシステム。Bが50になるシステムは掛け算のシステムというような具合です。簡単に計算できるものであればよいですが、インプットからより複雑なアウトプットを出すためのシステムは作るのが難しく手間もかかり、最悪の場合、そもそも作れませんでした(例えば、自分の声とテキストをインプットしたら、自分の声でそのテキストを音読する音声ファイルをアウトプットするのは簡単ではなかったと思います)
自分たちで作っている部分を、外部のシステムに頼ることもできましたが、都度そのシステムも誰かに作られ、できることの制約もありました。

今後

生成AIに、言語による指示を出す(not プログラミング言語)ことで、挙動を明確に定義しなくても回答を得ることができるようになります。それによって、これまで作ることが難しかったようなものも作れるようになったと思います。

下記は、実際にシゴラクAI(=GPT-4のモデルを利用しています)を使った例です。
例はチャットUIによる例ですが、これと同じようなことがAPI経由で行うことができます。

<材料を伝えると、料理名を教えてくれる例>

食材をinputすると、そこから作れる料理名をoutputしてもらうよう指示を出しました。これまでであれば、ロジックを作ってinputデータからoutputを出す必要がありましたが、言語による指示だけでこれが実行できます。outputの形式もしていできます。例ではそれっぽくAPIのレスポンスのような形式でoutputさせています。

このように材料と雰囲気を伝えるだけで料理名がoutputされ、かついろんなパターンを返してもらうことができます。

<テーマを伝えると、歌詞を考えてくれる例>
料理であれば材料と料理名のデータベースを持っていればなんとなく作れそうですが、以下はどうでしょうか。

ワードをもとに、歌詞を作るロジック、つくれますか?

このような複雑なoutputを得るシステムを作ることは、作ることが難しかったと思いますが、言語により指示するだけですぐにできてしまいます。

上記の例はテキストデータですが、最近では言語による指示で画像も生成できますし、音声ファイルや動画も生成できるようになってきています。

生成AIを学び、理解することで、これまで解けなかった社会課題に挑戦でき、価値あるプロダクトを生み出せるのではと強く感じます。この変革期に、最前線に身を置くことで、そういったプロダクト作りをリードしていきたいというのが転職の一番の理由になります。

Algomaticで過ごしてみて

ここからは、実際にAlgomaticに参画して、日々働く中で感じていることを書いてみようと思います。リクルートでの経験が活きている部分や、逆に学びになっている部分も掘り下げてみたいと思います。

Algomaticは、生成AIをベースにした事業/プロダクトを同時多発的に立ち上げる会社になっています。そのため、それぞれの事業部にCEO(カンパニーCEOと呼ぶ)がいて、それぞれ独自の決裁権を持って事業立ち上げを行っています。その中で、私はシゴラクAIというプロダクトのCPOとして参画しています。


顧客理解と課題設定

いま一番力を取り組んでいるのは、なによりも顧客理解と課題設定を行うことです。

生成AIのテクノロジーがイノベーティブであることは間違いないですが、プロダクト作りにおいて最重要なのは「向き合う課題」であり、それを抽出するための「顧客理解」であることは変わりません。

リクルートでやってきたこのあたりは、かなり活用できていると思います。

  • 半構造化インタビューによるユーザーリサーチ

  • 実際にサービス利用店へ伺い利用シーンを観察

  • セールス、アライアンスへの同行

  • サポートデスクに入ってくる声(VoC)の分析

  • アプリ利用ログの分析

Airペイポイントという、店舗にdポイントやPontaポイントなどを導入できるアプリを担当していたとき、サービスを導入検討しているクライアントさんへ赴き、自ら商談もしていましたし、導入後のフォローとしてサービス活用促進のご提案もしていました。時には、導入している飲食店の壁やトイレに、利用促進のポスターを自らの手で貼り付けに、何件も回ったこともあります(いい思い出)。

その中で導入に至らない理由や、うまく活用できない理由を、実際に利用している従業員さんなどからもヒヤリングできましたし、一つずつ解決することで、最終的には「導入してよかった」と言ってもらえることがなにより嬉しく、そこに一番のやりがいを感じています。シゴラクAIでも同じように顧客解像度を高めて課題探索を行っており、日々楽しく(悩みながらも)過ごせています。

生成AIの技術に魅了されて集まったメンバーが多いですし、ソリューション起点でできそうなビジネスも考えますが、やはり顧客理解を高め、課題を特定することは会社としても重要されています。そういったプロセスでプロダクト作りたい方にはとてもフィットする会社だと感じています。

採用へのコミットメント

Algomaticは複数事業を同時立ち上げしています。それによって、試行回数を増やして学びを最大化していることが特徴的です。

例えば、シゴラクAI事業部で、文字起こしを元にした機能開発を検討していたとき、すでに隣の事業部で調査して内容(技術、競合サービス、ビジネス性まで)をすぐに共有してもらうことがありました。

このように、複数事業を一気に立ち上げしているからこその強みがありますし、日々そのメリットを感じています。これは、すでにDMMより20億円の調達がされているからこそできるやり方で、どの環境でも同じことができるわけではありません。リクルートもたくさんの事業部があり、ナレッジシェアはかなり力を入れて行われていましたが、創業間もないAlgomaticでも同じように横連携がなされていることに驚きました。

また、資金があるからできるという話ではなく、複数事業立ち上げするために、優秀な事業責任者やその仲間をたくさん集めなければなりません。そのためAlgomaticは採用に全力投球しています。とくに横断CEO、CTO、CXOのコミットメントはすさまじいです。感心しているだけではなく、見習わないといけません。

私がリクルートでマネージャーをしていたときも、ビズリーチでスカウトを送っていましたし、人事から回ってくる書類をみてたくさん面談も行っていました。ただ、正直なところ他の業務で手一杯だったこともあり、いまのAlgomaticほどはできていなかったなという反省をしました。

Algomaticでは、知ってもらうためのきっかけづくりが全方位的になされています。note、オフィスでの懇親会、イベントへの登壇、podcastなどなど。podcastも先日機材が一式揃えられ、ここまでやるのかと感心しました。この間イベント運営を積極的に実施している横断CTOの南里に「南里さんはイベント好きですね!」と話していたら「好きじゃなくて、必要だからやるんやで」と言っていました(彼は絶対好きです)。それくらい採用を重要と捉え、実際にそこにコミットしているからこその環境なので、自分もしっかり貢献していきたいと感じています。

合同での忘年会イベント
登壇するイケメン横断CXOの野田さん
podcast収録中。機材が本格的。

実際に、今年の新年会で集まったAlgomaticのメンバーを見ていると、全員前職のマネージャークラス以上のメンバーばかりであることに気が付きます。あらためて、転職した環境が恵まれた環境でよかったなと嬉しく思いましたし、切磋琢磨して自分もどんどん成長していこうと思いながら、2024年の年始を過ごしました。

さいごに

以上が、私が12年在籍したリクルートを辞めて、Algomaticに入社した理由と、Algomaticで過ごした近況になります。短く書こうと思ったら、思っていた以上の分量になってしまいました。すいません笑

2024年も、大幅にアップデートする生成AIを最前線でキャッチアップしながら、よりよい社会になるように、いいプロダクトを作っていきたいと思います。

記事と近い内容ですが、これまでの経歴についてpodcastも収録しましたので、お時間あればぜひ。

また、いまさらながらXデビューしましたので、お友達になっていただけると助かります。


Algomaticに興味を持った方がいましたら、ぜひお声がけください。

Algomaticの他メンバーの入社エントリーはこちら



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