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臓器も骨髄も角膜も血液も~20歳① 憧れの都合のいい女~


あなたは人に臓器をあげたいと思ったことはありますか?
これは初めて臓器提供に興味を持った15歳から、高校、大学、就職、転職、独立、結婚、出産、離婚などを経験し、新たに出会ったパートナーが腎臓移植が必要な人であったという15歳から50歳までの(現在も更新中)日記です。



■20歳

東京の大学に入学し、斬新かつ新鮮かつ最高な寮生活がスタートした。
その様子は~19歳~に書かせてもらった通りだ。


私の通う大学は学部や学年によって校舎は変わる。
1,2年生は多摩川よりあっちの神奈川県寄りの東京都。
3,4年生は多摩川よりこっちの東京都。
だから多摩川越えが出来るかどうか、2年生は単位を落とさぬよう必死だ。

大学の寮は多摩川よりあっちの神奈川県寄りの東京にある。
神奈川県のようであるが東京都である。
「区」じゃなくて「市」だけど東京都である。

小田急線も忙しい。
東京になったと思えば、神奈川を挟んでまた東京だ。

うちの寮は朝と夜に点呼を取る。
点呼隊長(かっこよ)がいて、隊長に向かって叫ぶのだ

「総員2名ー--っ!!事故なしっ!!
番号ー--っ1、2!!!!!」

なにこれ?!
軍隊?!
刑務所?!
こっわ!!

でも最高w

間違って体育学部のフロアに入居した私だけど、
以外と気に入っているこのすみれ寮。

点呼が終わってから消灯まで、自由に出かけていいので
コンビニに行くのが日課。

そこで見つけてしまったのだ。
ジャージ姿で、背の高い、たれ目の、めちゃ好みの男子を!!

この服装でこの時間にここら辺をうろうろして
コンビニに行くなんて、絶対に寮生である。

コンビニ近くの公衆電話で電話するふりをしながら
彼がコンビニに来るのを待つ毎日。
ほぼストーカーである。

男子寮の友だちの協力も得て、ついに学部と名前を入手
法学部のWくん。
なんてすてきなんだ。
推し決定。

Wくんはいつも赤紫色のジャージを着ている。
もうあだ名は「赤紫」に決定。

あまりの熱狂っぷりに、私の赤紫への愛は
あっという間に寮生の知るところとなり
ついには本人の知るところとなった。

そして、雨降りの中歩いているところに遭遇すれば
「傘持ってきてくれる?」
(今日は傘記念日)

忘れ物をしたところに遭遇すれば
「ペン貸してくれる?」
(今日はペン記念日)

「コピーとってきてくんない?」
(コピー記念日)

「友だち紹介してくんない?」
(紹介記念日)

・・・(利用され記念日)

いろんな記念日が増えていく。
うっとり。

してる場合じゃないよね。

知ってる。

でもいいの。
こんな風にスキを利用されることは私にとって
うれしい事なのだ。

「都合がいい」のは最高の誉め言葉だと
常々思っている私。
「都合が悪い」よりよっぽどいい。

高校の時、みんなでカレンダーの裏に憧れの大人像を
書いたとき、私は
「フジテレビの受付をしながら愛される愛人」
って書いたことをうっすら思い出す。

社会学の授業では
「あなたみたいな人がいるから
セックスマシーンと呼ばれる女性が出てしまうんです」
って言われたっけ。
まだ経験ないけど。

私はとにかく人に必要とされたいのだ。
そう。どんな形であれ。

しばらくは赤紫の虜であったが、私の友だちや後輩、
部活の仲間などなどいろんな人に手を出しまくる赤紫。

ついに男子寮の先輩に
「いいか、お前のことをかわいいと言ってくれる人が
10人おっても、赤紫はお前に興味はないんや。
赤紫のことは諦め!」
と言われる。

(あきらめ記念日)

「そんなことより、野球部の先輩のOさんがお前と話したいから
呼んで来いってさ」

なぬ?
人に呼びに行かせるような先輩はろくなもんじゃない。
用があったら自分で来なさい!
(おいかり記念日)

というわけで、赤紫はあきらめることに。

ちぇっ、と、推しもいなくなり平凡な毎日。
のんべんだらりと過ごす毎日。

どのくらいたったかしら?

そんな月日が流れたある日、、、

やや!!!
ややや!!!!

かっこいい人発見

しかもまたコンビニで。
だって点呼のあとに行くとこはコンビニしかないのよ。
スリーエフしか。
みんなで「エフる?」と言いながら行くしかないのよ。
だから、かっこいい人もそこで発見

しかー--し!
今度はこっそり隠れて眺めるなんてことはしませんよ!
突撃です!

「すみません!!!
好きになりました!
彼女はいますか?」

「え?!い、い、います」

(撃沈記念日)

「わかりました!
ありがとうございました!」

「え?!ちょちょちょ
彼女いるんだけど遠距離で、もうずっと会ってなくて
でも、別れているわけではなくて、」

と、しどろもどろになる青年。
申し訳ないがかっこいい。

けど彼女がいるなら大丈夫。
でもいるのかいないのかわからないのは困る。

「彼女いるんですよね?
好きでいられたら困る感じですか?」

「え?!だ、だ、大丈夫だと思うけど
ちょっと待っててくれる?
ちゃんとはっきりしたら報告するから!」

いきなりコンビニの前で、いろいろ言われて
困るだろうに。
なんて誠実な対応。
きっといい人に違いない。

翌週、会う約束をしてお別れ。

さてさて私の寮生活、今後どうなっていくのか。
来週が楽しみ!

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