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しごと⑦今貸してもいつか倒れるなら何のために貸す?

退職を決意

新卒入社から半年ほど経ち、無感情に日々の業務を続けるうちに、自分の誠実さや相手への思いやりの心を活かせると思って就いたこの仕事は、お客様を幸せにできる仕事なのだろうかと日を追うごとに悩むようになっていきました。

「どんな辛い仕事でも最低3年は続けるべき」という考えが今よりも強い時代だったと思います。確かに3年も経たずに辞めることに不安もありました。
しかし、3年後やその先にこの仕事を続けていることを考えることもできず退職を決意したのでした。

何のために貸すのか

消費者金融の保証人付き融資の営業では、どのような案件なのかを稟議書に書きます。稟議書は支店長から本社の審査部に送られ、融資の決裁が取れれば融資実行になります。
審査部ではこれまでの本人の借り入れの経緯や、支払い状況、保証人との関係や、保証人の支払い能力などを見て融資可能額を決定します。
審査の根底にある考えは、「この申込者は完済できるか。完済できなかったらこの連帯保証人は支払うか、支払えるか。この状態が何年持つか。」です。どのようなバッドエンドを迎えるかを考えるだけです。
「自分の仕事によって取引相手とのビジネスを成功させて、自分の会社も相手も幸せになる。」この会社にはそんな仕事は無いと思い知らされたのです。
いくら契約数を増やして給料が増えても、貸付金額と金利が増えた結果であって、自分の成長や相手の成功の結果とは思えなかったのです。

そして退職

2年目の2000年の夏には1999年に入社した大宮支店配属の5名のうち4名はすでに退職していました。私は最後の一人でした。
その私もついに退職希望を伝えることになりました。
支店長から説得されましたが、私の気持ちは揺るがず、結局3年ももたずに次の就職先も決まらないままに2000年の12月に退職したのでした。

つづく

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