風をつかんだ日の丸企業「ルネサス」って何者?
司会:日本の半導体メーカー大手「ルネサスエレクトロニクス」が、2021年12月期の決算で過去最高益を記録!
昨年度の決算は売上が39%増、純利益が2.8倍と、過去最高の結果でしたね。
コロナの影響で落ち込んだ自動車生産が回復して、主力製品の車用マイコンが大きく売上を伸ばしたのが要因と。ルネサスの社長兼CEOである柴田英利さん、どう評価されますか?
柴田:数字だけでいえば、出来過ぎなくらいでした。ただ市場全体が、コロナの反動もあって上向いていますから、追い風参考記録みたいなものじゃないかなと(笑)
司会:どういうところが実を結んだと思われますか?
柴田:半導体だけを単品で売るのではなく、顧客が使いやすいよう、少し大きなシステムレベルで提案したことが、徐々に結果につながりつつあります。
司会:ルネサスは世界最小クラスのインバータを開発。インバータとは電力の直流と交流を変換する、EV車に欠かせないものですね。
インバータを小さくすればスペースに余裕が出来るので、車のデザインに自由度が増えるとか。
柴田:電動化を実現するにあたって、半導体メーカーが大きく貢献できる領域の一つがインバータまわりです。もう一つはバッテリーまわり。
これらを一つ一つ提供するのではなく、組み合わせて使っていただく。そうすればもっとインバータを小さく・軽量化できたり、あるいはバッテリーを小さくできたり、同じバッテリーを長時間使うことができるようにもなる。こういったソリューションを開発し、提供するようにしています。
司会:自動車の動きを制御するマイコンでは、ルネサスが世界トップ。
こうした取り組みは自動車以外でも開発が進められています。
その一つが「多目的空気質センサ」。
ガスなどの様々なニオイを感知し、その量を数値にして表示するというものです。このセンサはソフトウェアの更新をすることで、常にアップグレードが可能。
冷蔵庫の中におけば、腐った食べ物を検知することができます。これもソリューションということですね。
司会:ソリューションというと、いろんな新しい技術を組み合わせて形に変えて行くという、日本が得意とする分野ですね。
柴田:そうですね、作るのは日本が得意とするところです。一方で日本が得意じゃなかったのは、どういうものを作れば市場に受け入れられるのかという部分。私たちも御多分に洩れず・・・なところがあるので、そちらを強化していきたいです。
司会:我々は半導体というとすぐ、ロジックの性能や、微細化技術がどれくらい進んでいるかという話になり、日本は遅れてる!と言うわけですが。そうではない部分で力を発揮できる分野が、日本にはあると言うことですね。
柴田:おっしゃる通りです。人間の体で例えると、微細化やロジックというのは、ものすごく難しいことを考える大脳の一部の話なんです。
人間だって、大脳だけが発達したらバランス崩れてしまいますよね。同じように、半導体もロジックだけが発達すれば全体のバランスが崩れます。
だから私たちは、これまで手薄になりがちだったところを、しっかりやりたい。そうすれば、電子・電気システム全体の、レベルアップに貢献できると思うのです。
司会:去年からつづく世界的な半導体不足についてはどう思いますか?1年くらい前からずーっと、足りない足りないって言われてますよね。
柴田:現段階ではまだ、需要は旺盛です。ただ一部、消費者に身近なスマートフォンなどについては市場の変調が感じられます。
一方で私たちが従来から積極的に取り組んでいる自動車や、産業用、データセンターなどのインフラ系は、かなり旺盛な需要が続いているままです。
司会;ふつうは時間が経てば、供給が足りてくるものですよね。一体何が妨げになっているのですか?
※次回へ続く
※TBSの番組の一部をテキスト化し、編集したものです。
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