ネオ・シネマ鴉

ネタバレです、と書くことがバカバカしくなった。そのようなものに対し、そんな世界知らんが…

ネオ・シネマ鴉

ネタバレです、と書くことがバカバカしくなった。そのようなものに対し、そんな世界知らんがな、というスタンスで行くのでお気をつけあれ。

最近の記事

『落下の解剖学』の愛

 4月某日、全国に散らばる昔の仲間達と数日京都で会うことになった。皆大人なので勝手気ままなのだが、久しぶりということもあり一緒になってゾロゾロ観光をしていた。しかし私は思い出す。そう、私の住む町には映画館がない。都会にいる今がチャンス。そんなわけで他県へ出かけたら何処でどんな映画が上映中かをまず調べる。さて、仲間達は連日の歩き疲れで家へ戻ると言うので、それではちょっと、、、と1人抜け出し行きつけ映画館へ直行した。  予告編と「好評につき継続中」の言葉に釣られ面白そうと選んだ

    • 『PERFECT DAYS』と団塊ジュニア

      2023.3.13  この町には映画館がない。隣県映画館は金曜日になると新作が出て上映時間などが変わることを知っていたが水曜日は遅くまで呑んでいる日が多いので次の日は朝寝坊が多く大体は木曜日に隣県まで行く元気がない。そんな感じでよく映画を見過ごしていた。しかし木曜日、寝坊予定の筈が何故か6時半に目が覚めた。隣県映画館の『PERFECT DAYS』朝1番10時10分の最終回、間に合うのでは?と車に飛び乗り滑り込んできた。この映画の前評判は人伝に賛否両論と聞いていた。鑑賞前に知っ

      • 映画初体験から月日は過ぎて

         昔から映画ばかり観てきた。父が映画好きだったので完全に彼の影響だ。初めて連れて行かれた映画は確か『スター・ウォーズ帝国の逆襲』だったと思う。当時小学低学年の私は人形で遊んだり外で走り回ったりしていたのだが、そんな子供にいきなり外国の字幕SF映画だ。少し無理がある。一体父は何を考えていたのだろうか。字幕が読めず外国語なので意味もわからなく、途中で出たいと駄々をこね「なんだよ?こんな面白いのに」と言われた記憶がうっすらある。とにかく記憶が曖昧であまり覚えていないが、大きな画面に

        • 『哀れなるものたち』の哀れでないエマ・ストーン

          『哀れなるものたち』を観てきた。映画好きなので、何となくオシャレっぽいというだけで観たかったのだ。結論から言うが、オシャレな洋服、可愛いエマ・ストーン、しか言うことがない映画だった。こんなに言うことがない映画について何かを書くのか?とも思ったが、何処を見渡しても自分と同じ意見の人がいないので仕方なく書くことにした。    まず、良いところから話そう。そう、手放しで賞賛出来るのは、エマ・ストーンだ。この映画の中のエマ・ストーンは可愛いったらなかった。突拍子もない役柄を楽しんでや

        『落下の解剖学』の愛

          インスタに投稿していた映画のことその1

          インスタの投稿をし始めた頃、こんな映画を観たと映画について一言二言書いていた。そのうち徐々に言いたいことが増えてきたのと、映画評論いけるんでない?と言う友人の言葉を真に受け『君たちはどう生きるか』について書くことになるのだが、インスタへ気楽に投稿していたものをまとめ、自分のために残しておこうと思う。 そぐわない表現もあるが、SNSの気楽な投稿なので悪しからず… 『フェリーニのアマルコルド』 ネット世界を破壊してこの世界に戻りたい。ほんとは。君は雪の中でクジャクを見たことがあ

          インスタに投稿していた映画のことその1

          映画『破戒』 泣いたわけ

          2023.11.27 『破壊』(前田和男監督)  休日の朝一でダラダラしながら気楽に観始めたのだが、途中で一度再生を止めた。部落差別の苦しみからの与謝野晶子「君死にたもうことなかれ」朗読シーンの流れで、突然込み上げてきて、涙と嗚咽で観ていられなくなったからだ。こんなに差別や戦争の話を実感し、耐えられなくなってしまったのは、ロシア、ウクライナやイスラエル、パレスチナの戦争ニュースで心がズタズタになっているからだろう。そして、そうなりながらも自分は平気で平和な世界に戻り生きている

          映画『破戒』 泣いたわけ

          『さよなら、わたしのロンリー』ミランダ・ジュライの魅力とは

           久しぶりのミランダ・ジュライ作品だった。 最後、彼女の作品に触れたのは、4、5年前の著作『最初の悪い男』である。内容はとりあえず置いておくが、読後、登場人物たちのぶっ飛びさ加減、ダメさ、繊細さ、突拍子のなさ、そしてそれら全てを洗い流すようなカタルシスを描く彼女の才に感服したのを覚えている。今回は映画なので2011年の『ザ・フューチャー』以来となる。この映画の感想もいつか書きたいが、とりあえず今回の『さよなら、わたしのロンリー』でミランダ・ジュライの仕事を見ていこうと思う。主

          『さよなら、わたしのロンリー』ミランダ・ジュライの魅力とは

          ジブリ『君たちはどう生きるか』

          2023.7.16  待ちに待ってようやく鑑賞してきた『君たちはどう生きるか』。鑑賞直後の感想は「駄作だ」だった。    前情報一切無し。コロナや戦争、デフレ、おまけに地球もどんどん破壊されている、こんな世の中になってしまった、これからどうやって生きていけばいいのだろう、と嘆いているところに80代の宮崎駿監督(以下敬称略)から届いた『君たちはどう生きるか』。公開日までの間考えていたことはと言えば、戦前生まれの彼は私たちにどんなメッセージを伝えてくるのだろうか、だった。かなり期

          ジブリ『君たちはどう生きるか』