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#小説
テクノロジーで花見はどう楽になった?
テクノロジーによって我々の生活はとても便利になったと言われるけれど、実際、便利になったものは少なかったりする。花見なんて、なにも便利にならない。
たとえば、週末に花見を予定したとして、「週末の天気は?」と簡単にインターネットで調べられるようになったかもしれない。ただ、昔から、177に電話をすれば、天気を知ることはできた。
花見の撮影がスマホでできるようになったからって、撮影は昔からできた。イン
ツイッターで事故死を演出する男
ツイッターで死を演出するということを楽しんでいた。
たとえば、「このアニメが好き」という設定の人物を作る。そして、その設定に合わせたプロフィールを作り、ツイートを始める。そのアニメのことをつぶやき、そのアニメが好きそうな人をツイートする。食事や週末の遊び方も練り上げて投稿する。
そして、同じようにそのアニメが好きそうな人をフォローする。コメントする。リツイートする。趣味がある者同士はつながる傾
2050年、ついに他人の脳を体験できるように
2018年、Oculus Goが販売された。従来より廉価でVRを体験できるその端末によって、多くの人がVRを体験できるようになった。それによって、家にいながら、旅行を体験できるようになった。ジェットコースターも体験できるようになったし、ゾンビ退治など、現実の世界で体験できないことも、実体験のように感じることができた。身体が不自由な人でも、飛行機がのれない人でも、そんなことを気にせず世界中を飛び回れ
もっとみる囚人が、刑務所の中で一番使いたいインターネットサービスは?
その独房に閉じ込められた囚人たちは時間が余っていた。なんせ労働以外、毎日は同じ日の繰り返しだ。新しい出来事も起こらない。同じ日が、同じ時間が過ぎていく。
ただ、変化もある。話がうまくなっていくのだ。
毎日、同じ話をするにつれ、話術が磨かれる。また、話題の着眼点が研ぎ澄まされる。
たとえば、こういう話だ。ある時は「おとぎ話の中で、一番犯罪をおかしたのは誰か」という自分を重ねた話題。あるいは、「
携帯の裏返しは浮気の証拠?
「ねえ。携帯を裏側に置く人って浮気してるんだって」
女が言う。男はテーブルの上に置かれた携帯に目をやる。裏側に置かれている。
男は、「へえ」と言いながらアスパラガスを口に運ぶ。そして、ワインを一口飲む。
「会社のやり取りとかもたまにLINEでするから、裏側に置くようになったな。企業秘密なことがディスプレイにでちゃうとまずいでしょ」
「ふーん」と女が言う。アスパラガスもワインも手にしていない