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君のくれるまずい飴(冬虫カイコ)を読んだので感想

冬虫カイコさんの作品は「君のくれるまずい飴」が初めてになります。

シリアスなお話の間に挟んである、あまりにも短く、くすっと笑ってしまうようなお話。これが私は好きだなと思った。

ここに、なにか冬虫カイコさんらしさを感じた。いままで読んできて、初めての笑いだったような気がしたので。

個人的には「さよなら」で一番笑ってしまった。

えっ!?

なにこれっ!?

本当にそれだけの感想してもてないのだけれど、そこがいいなって。そこが笑えるところだなって。

短編集のなかにそうしたお話をタイミングよく挟めるところが魅力だなって。

もう一ついいなって思ったのは「やさしい棺桶」かな。

この棺桶がなにを指すのかいまだにわからないけれど。蛹という文字に少しだけかかっているとか、そんな感じなのだろうか。一回死んで新しく生まれ変わるみたいな、そんな感じの意味で。普通は棺桶に入ったら生まれ変わるはできないけど、それができるという意味でやさしい、がついているとか。そんで、その優しさはマユが与えてあげているとか。そういうことだろうか。

いろいろと考えることができて楽しいな。言葉の意味とか、九相図とか、そんなことを調べる機会にもなるので、短編集を読むっていいな。いろいろと勉強になる。

サキの変態は、もちろん生き返ったとかそういう意味ではないと思っている。

この話はマユの気持ちの整理というか、気持ちの問題のお話なんだと思う。マユがまだ気持ちの整理が付かず呆然としているなかでのお話。

そしてこれからもずっとマユは気持ちの整理がつかないんだと思う。置き去りにされて。一人、サキだけがきれいに変わって飛び立っていったような気がして。

あー、なんか勝手な解釈しているような気がしているけど。まあ、いいや。楽しんで読めたから。

他の作品も読んでみたい。

ありがとう、冬虫カイコ先生。


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