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2020年4月 詩「恋愛代数」「過食」

眠たい森林_森田_015-01

眠たい森林_森田_014_ねむみ-01


詠題:日替わり弁当



恋愛代数 森田玲花

土曜の真夜中、新宿には毎週流星群が降っていることを私しか知らない。区役所通りのコンビニで言い訳のためのビールを買って散歩をすると、横を歩く男女の固く結ばれた手のひらが発光し、淡くまたたいて空へと還っていく。あっちは真っ赤に、こっちは緑に。気づけば彼ら彼女らは一晩過ごすための宿泊施設で愛を囁くために消えていき、それがそのまま天の川になる。恋人たちの歌は鳴り止まないけど、本物かどうかなんて私にはもちろんわからなくて、ぽっかりと空いてしまった体の真ん中を埋めるために急いでマルボロに火を点け、空を見上げる。高層ビルはどこまでも監視するから、誰かも知らないあたたかさだけが私にとっての夜明けとなるのだ。


過食 ねむみえり

曖昧は悪しきことだとして
0と100しか選択肢はなかった

かさぶたはいつしか消えていて
そのことに気付くたびに嗚咽している

生きることは欲求の塊だと
自覚したとき、どこかで銃声が鳴ったね

いつだって適切になれない私たち
癒着した命で日々を食べる


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