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嫉妬と優越感と。

カツセマサヒコさんの「明け方の若者たち」を読んだ。

ここで感想文を書きたいところだが、いかんせんわたしは感想文が死ぬほど苦手だし、どこまでネタバレをしていいのかがちょっとわからないので、感想文ではなく、わたしの成仏したい気持ちを。


まずこの話は、内定が決まった大学生の飲み会から始まるのだが、わたしが今まで隠していた気持ちがあふれ出してしまった。

わたしは大学への憧れを抱いたこともなく、人と同じレールに乗ることがイヤだったので、高校を卒業してすぐに「個人事業主」として働いた。

そして、周りで大学に行っている人がいなかったので、具体的に大学が何をするところかはわからなかった。


しかし、上京してから周りが大学に行っている人ばかりでその実態を知った。

サークルに新歓の飲み会、ゼミ・・・・。わたしが1ミリも知らなかった世界で、そこで行われる人間関係を始めて知り、わたしはひどく嫉妬をした。わたしは高校を卒業してすぐ働いたので18歳で青春が終わったのに、大学生は青春を続けていたのだ。うらやましかった。

その話を聞くたびに、でもわたしはその時期にお金持ちの会社に入ったので、年上の人たちにたくさんかわいがってもらって、行きたいお店に連れて行ってもらったり、高くておいしいお肉をたくさんごちそうになったり、ほしいと言ったものは買ってもらったり(P活じゃないよ)、大学生とは違う世界を体験できて、すごく楽しかったしお金たくさんかけてもらったから勝ち組~~! と思って自分の心を静めていた。

だけどやはりどこか大学生に嫉妬をして、この本の飲み会にも嫉妬をしていた。

物語の本題に入る前なのに、わたしのその隠していた気持ちを思い出して悶々としてしまった。


そして印刷会社に入った主人公が総務部に配属され、働く意味を見失っていくという物語になるのだが、学生から社会人になり、社会人1年目となった時にここで躓く人は多いのではないのだろうか。

せっかくいい大学に入って、いい会社に入れたのに、思い描いていた将来と違った・・・・。

ここで改めて自分は大学にも行かず、レールに乗らなくてよかったと思う気持ちが生まれる。

最初からレールに乗っていないので、変に期待することもなく、逆に無駄に運がよくて高卒なのに大企業で働くことができて周りからすごいね!と言われる優越感。

本の内容にはあまり関係のないはずの、わたしがいつも心のどこかでもやもやしていた気持ちが読み進めていくうちにあふれてきた。


でも本当は「嫉妬」も「優越感」も必要のない感情なのに、わたしはいつも本当に無駄なことを考えて勝手に傷ついて消費して、超がつくほどの馬鹿である。「自分の今」だけを考えなければいけないって散々言われているのに。

ただ、この感情をいままで誰にも言うことがなかったから、ここではき出せたことで少し成仏した気がする。

ずっともやもやしていた思いをはき出す機会をくれた、明け方の若者たちよ、ありがとうな。


あ、肝心の本の内容はとてもよかったです。

土曜の夜、間接照明をつけた部屋で一人感傷に浸りました。失恋したわけじゃないのに、なかなかの余韻でした。

いろんな感情が生まれた本でした。東京に住む人なら特にリアルに感じられる内容です。

ぜひぜひ。

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