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公転周期と水と油。

「プレゼンテーション」を好む日本人は少数派だ。そう主張されて、「いやいや…」と反論する日本人もまた、少数派だろう。

研修先の語学学校のプログラムに、毎週しっかり組み込まれているプレゼンテーションの授業。日本人からして、「えー。」となりがちだが、ヨーロッパ圏の生徒も同じような反応をする点が何とも面白い。誰もが生まれながらの雄弁さを備えるわけではない。彼らとの共同作業を通じて、自然と情も深まるというものだ。

今週のテーマは、ISS(International Space Station)について。自分たちがISSのメンバーだと仮定し、目的や、行った実験、ISSの認知向上に向け伝えたいこと等を紹介する。

「いかにも」なテーマ設定ではないか。事実を要約し、列挙するだけの無難なプレゼンテーションに価値は無い。自由な発想の元、笑いの1つもとって見ろ。そう釘を刺されているようで、まあ先のような反応になりがちなわけだ。

「宇宙」と聞いて一曲のアルバムを思い出す。BUMP OF CHICKENの「orbital period」だ。

発売当時は、確か浪人真っ盛り。人生で何番目かに入る辛い時期だった。その心の傷と重なったのか、思春期特有の感覚か。理由はともかく、このアルバムには不思議な想い入れがある。特徴的なのは、その冒頭だ。

通常、アルバム制作というのは、シングルカットの曲が既に存在し、その周囲を埋める曲作りに終始するのではないかと思う。(想像にすぎないが。)それを、2分に満たない曲で、こんなにシンプルかつ大胆にスタートできるものだろうか。次曲を聴く前に、シリーズものの第一巻を、読み終えてしまった気さえする。

収録されたシングル曲の中には、それなりに売れたものも多い。しかし、当時の「僕」にとって、無名なアルバム曲にこそ価値があるように思われた。「才悩人応援歌」という曲に自分の凡庸さを慰められ、「ひとりごと」という曲に利他の本質が利己にあることを学ぶ。そんな経験が、このアルバムを一層、特別なものにしている。

そんなことを書いておいて何だが、まあ10代の多感な時期に聞いた曲というのは、どうしたって印象に残るものだ。あなたの好きな曲を10曲論えば、それが良くわかるだろう。これらの要素が混じり合って、少し寂しいが、私にとっての音楽のキャリアハイは、このアルバムということになりそうだ。

貴方にとっての一枚は、何だろう。

次の瞬間、思わず苦笑する。そんな自分と目が合い、また苦笑する。そのまま見上げた空に想いを馳せながら、色々なものが背中を押してくれているように感じる。

気を取り直して、貴方にとっての一曲は、さて何だろう。

何かのお役に立ちましたなら幸いです。気が向きましたら、一杯の缶コーヒー代を。(let's nemutai 覚まし…!)