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『THE FIRST SLAM DUNK』と、THE FIRST “スラムダンクのアニメ主題歌だった4曲”!!


WANDSの『世界が終るまでは…』のカラオケ映像と言えば………


アニメ「スラムダンク」の飛陽戦ダイジェストだよね…!



……あけましておめでとうございます、山本マリアです。


久々のnote投稿となります。決して孤独死していたわけではありません。

すっかり動画文化が世界的に根付いてしまった昨今において、せっせと長文テキストを綴ったところで誰の目にも止まらねぇよな、なんて厭世的なことを考えているうちに気付けば2024年になっていた次第です。



さて、いきなりですが………

2023年の話をします。



……今から約一年前、都内某所の某シネコンにて『THE FIRST SLAM DUNK』を観てきました。

下りのエスカレーターから着地した瞬間に撮影!激しいブレが生じてしまったがお陰で手前女性の肖像権を守ることが出来た…!!


1990年に週刊少年ジャンプにて原作の漫画連載が始まって以降、アニメも世界的な大ヒットを記録するなど今もなお根強い人気を誇っている『スラムダンク』であるが、連載終了から26年半もの歳月を経て、新作映画が公開されるとは敢えてルー語を用いるとするならば“藪から棒ならぬ、藪からスティック”であった……。

『スラムダンク』のみならず『バガボンド』や『リアル』、更には『カメレオンジェイル(初連載作)』に至るまで井上雄彦先生の漫画を読破している俺は、当然観劇を決意したが事前に聞いた鑑賞済みの周囲の声は軒並み高評価…。

期待値が吉川晃司のシンバルキックの打点ぐらい高くなった状態で観たけど、それでも良すぎて劇場を後にしてすぐ同伴者(大学時代のツレ)と桜木&流川さながらにハイタッチしたくなりましたね。

井上先生自ら監督を務めた本作は、モーションキャプチャーを利用したリアリティのあるスポーツアクションを3DCGアニメに落とし込んだ革新的な作品となっており、劇中に流れる10-FEETの楽曲も高揚感と緊迫感を高め、原作で随一の人気を誇る山王戦をよりパワフルかつドラマティックに彩っている。

宮城の声が塩屋翼氏(ジョジョ第一部のツェペリさんの人)じゃなくなっている…!??


アニメ版と声優陣が総入れ替えになっていたり、飽くまでも少年誌ノリだった原作とは異なる重たいストーリーが展開されていたり、魚住の桂剥きシーンがカットされていたりと過去作からの変更点は幾つか見られ、懐かしくもあるがどこか別の作品を観た心地がしたのだった。


さて、ここで本映画のタイトルである『THE FIRST SLAM DUNK』の『THE FIRST』の意味を深掘りしてみたい。

本作の主人公、宮城リョータのポジション【ポイントガード】を意味する「1」から『THE FIRST』と冠せられたという考察もあるようだが、井上先生は自身のホームページにて、その理由を以下のように述べている。

キャラクターたちは、連載が終わってからも引き続き自分の中で生きている感じがあります。

その中で、自分が歳を重ねるにつれてキャラクターたちをとらえる視点の数も少しずつ増えていく。
昔、30年前には見えなかった視点もあれば、連載中からあったけどその時には描けなかった視点もあります。

それらのいくつかが生かされたという意味で、今回の映画は新たな視点で描いたスラムダンクと言えます。

知らない人には初めての、
知ってる人には、
知ってるけど初めて見るスラムダンク。

そんな感じで気軽に楽しんでもらえたら嬉しいです。

https://itplanning.co.jp/inoue/i221020/


つまり、連載終了してから先生が身につけた視点や技術、価値観。そして30年前では表現できなかった映像技法を用いることで、過去コンテンツの踏襲というよりは〝オリジナルの(最初の)”スラムダンクを目指して製作したことが『THE FIRST』という文言に込められているらしい。

長年、ファンの間で『山王戦のアニメ化』が強く要望されていた中で、ノスタルジアマーケティングに利用されただけの佳作になることをあくまでも拒み、時代の最先端を更新することを目標として製作された『THE FIRST SLAM DUNK』は、井上先生のクリエイターとしての矜持と誠実さが窺える、とことん「要チェックや!」な映画でありました。


そう言えば主題歌はアレじゃなかったですね


『THE FIRST SLAM DUNK』の製作決定がアナウンスされたのは、公開より約2年前の2021年1月のことであった。


先生の公式ツイッターアカウントにて突如発表され、中身についてファンの間で様々な憶測が飛び交っていたが、その中でも「主題歌は何になるのか?」が世間の大いなる関心事となっていた。

一昨年、36年ぶりに続編が公開された『トップガン マーヴェリック』は前作同様、ケニー・ロギンスの『デンジャーゾーン』が採用されたように「スラダンアニメ主題歌の何かしらが使用されるのではないか?」と予想されており、WANDS界隈でも「第5期WANDSバージョンの『世界が終るまでは…』が主題歌になるのではないか…?」という期待の声が散見された。

2019年に第5期WANDSが始動してからというもの、第1〜3期時代のリバイバル音源(『時の扉』『愛を語るより口づけをかわそう』など…)が数多く発表されていたわけだが、代表曲『世界が終るまでは…』の音源だけは機をうかがっているかのようにリリースされず、映画公開とともに封切られるのではないかという願望にも近い憶測を呼んでいたのだった。

更にそれから半年後、井上先生が自身のFacebookにてWANDS初代ボーカリストである上杉昇が歌う『世界が終るまでは…』の動画を匂わせシェアするという意味深な行動が「まさか上杉バージョンが採用されるのか…?」とWANDSファンの心をざわつかせたりなど、勝手に我々が興奮していただけなのだが、思えば“スラダン新作映画主題歌問題”には終始翻弄されっぱなしであった…。


結果として主題歌は全く別のものとなり、今になって考えれば〝新しいスラムダンクを作る”という映画のコンセプトから言って当然なのだが、WANDSファンからしてみればひと盛り上がりするチャンスだっただけにちょっぴり残念な気持ちに。

しかしそんな矢先、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公開までに、第5期WANDSと上杉昇、それぞれが『世界が終るまでは…』のセルフカバーをリリースし、加えてそのMV動画を各YouTubeチャンネルにて同時期にアップするという湘北VS山王戦ばりの熱い戦いがネット上にて繰り広げられたのだ…!

有名ラーメン屋が分家するかの如く、新たに2つの『世界が終るまでは…』が誕生…!!!


突如として生まれた2つの『世界が終るまでは…』その正体とは…!?


第5期WANDSの『世界が終るまでは…』については、アニソンイベントや音楽番組での披露は度々あったが、先述の通り音源として発表されるのは今回が初めて。ドローン空撮を駆使してダイナミックに撮影された壮観なMVはミスチルの『Tomorrow never knows』の大サビらへんを彷彿とさせます………。

誠に残念ながら柴崎がギターを川に投げ入れて水没させるシーンの再現はナシ…!


WANDSの3代目ボーカリスト上原大史氏は楽曲の持つ知名度や偉大さから、バンド発足当初は『世界が終るまでは…』の披露を求められることに対して葛藤があったと言うが、3年以上の活動の中で自信をつけ、今回のボーカルテイクについては前任者の歌い方に寄せることなく、自分らしいオリジナルの歌唱を表現できたという。

そして楽曲アレンジを担当したギターの柴崎は、本セルフカバー音源をリリースした意図について以下のように語っている。

柴崎:元々の「世界が終るまでは…」の完成度って、ものすごく高いと僕は思っていて。なので、この曲を“第5期 ver.”にするのはなかなかハードルが高かったんです。ただ、ここにきて“第5期”として成熟してきた実感があったし、今やれば第5期スタート時には出来なかったであろう良いものができるんじゃないかという自信が出た。

https://realsound.jp/2022/08/post-1114781.html

『世界が終るまでは…』は世界的にも世代的にも、あまりに有名過ぎる楽曲であり、原曲のボーカルイメージを継承しながら自分の色を出すというのは課されたタスクとして相当困難であることは想像に容易い。

“第5期WANDS”が“WANDS”になるために乗り越えなければならない大きな壁が『世界が終るまでは…』だったとして、本作リリースにおいてそれは十二分にクリアできていると言えるし、このボーカル交代というリスクへの挑戦は、アニメ版から声優陣を一新するという世間からのバッシングに繋がりかねない決断を下しながら、そのプレッシャーを見事に跳ね除けた映画『THE FIRST SLAM DUNK』と不思議に類似しているように思えて実に興味深い。


そして、オリジナルボーカリストである上杉昇もまた『世界が終るまでは…』のセルフカバーを発表。上海のアニソンフェスで織田哲郎のギターと共に歌唱された動画が反響を呼んだが音源リリースは今回が初めて。偶然だろうけど、まさに新旧ボーカル対決が実現…!!

ムツゴロウとか生息してそう


50歳を過ぎて再録された『世界が終るまでは…』を聴いて、やはり上杉のボーカルは聴く者の心を強く震わせる特殊な力があることに改めて気付かされる。このセルフカバーをリリースした経緯、理由について特に明かされていないが、俺が想像するに、その根底にはスラムダンクへの感謝があるように思われる。

以下のインタビュー記事では上杉自身、以前はスラムダンクを受け入れられなかったが今では音楽活動をする上でその知名度に助けれている面もあり、感謝していると述べられている。

上杉は″スラダン効果″について、こう語った。
「中国や台湾、シンガポールやドバイからもライブのお誘いを受ける機会が増えました。今年だけで10回以上の公演をしましたね。向こうでは予想以上のスター扱いで用意されるホテルのグレードも高いんですが、日本に帰るとそうでもない。不思議な感覚です(笑)」

https://friday.kodansha.co.jp/article/344650?page=1

コンテンツ過多によって移り変わりの激しさが年々増すばかりの昨今であるが、「スラムダンク」という媒体を通じ、未だ自らの作品が世界中で愛されていることを幾度となく目の当たりにし、その感謝の意をセルフカバーという形で示したのが今回の“上杉バージョン”ではないだろうか。

ちなみに先のインタビュー記事では同曲の〝尖りすぎ制作秘話”も語られている。それは上杉という人が俺たちでは想像もできないような次元で苦悩し、高い目的意識を持って生きていることの証左であろうし、そんな人物が辿り着いた“感謝”という言葉には深く特別なものがある。


さて、ここで改めて『THE FIRST SLAM DUNK』の『THE FIRST』には2つの視点があったことを思い出してほしい。井上先生が言う『昔、30年前には見えなかった視点』というのは「上杉の感謝の視点」、そして『連載中からあったけどその時には描けなかった視点』「第5期WANDS始動当初には表現できなかった上原の視点」とそれぞれリンクしていると見ることが出来る。

つまり、今回のセルフカバー2曲は『THE FIRST SLAM DUNK』と同じ視点をもって作られた2つの『“THE FIRST”世界が終るまでは…』ということになる…。

……とまぁ、もっともらしい文章にすべく無理矢理にまとめてみたが、『世界が終るまでは…』セルフカバー音源リリースによって晴れて“THE FIRST”となった第5期WANDSと上杉昇。2つの世界線が今後、どんな進化や変化を遂げていくのか……工藤兄弟ばりにウキウキウォッチングしていく所存です。


WANDS以外にも『THE FIRST』を発表したスラダンアーティストたち…!


実は、WANDSのみならず『THE FIRST SLAM DUNK』の製作が決まった辺りから、スラダンアニソンアーティスト達が同時多発的に再始動しているので片っ端から紹介します。

まず、2019年にはアニメ『スラムダンク』第2期OPを担当したZYYGが再結成し、『“THE FIRST”ぜったいに誰も』をYouTubeにて公開しています。

徹底した体型維持!ぽっこりお腹が出ているなんてそれはZYYGじゃない!

1993年に1stシングル『君が欲しくてたまらない』でデビューし、その後もビートロックを基調とした音楽性で存在感を示すも1999年に解散していたZYYG。しかし、ギター後藤氏の呼びかけで20年ぶりに始動し現在もライブ活動や新曲をリリースするなど精力的に活動している。

活動再開についてボーカル・高山さんは「自分を必要としてくれる大切なメンバー、そしてZYYGを愛し続けてくれたファンの皆さんに恩返しがしたい。その想いが4人の再会へと導いてくれた気がします」と話している。

https://mantan-web.jp/article/20190401dog00m200045000c.html

男臭さ、渋さ、カッコ良さ、ZYYGからしか摂取できない栄養は確実にある。個人的にZYYGといえば『Rendezvous』が必聴。悪いことは言わないので、今すぐリンク先に飛んで動画を視聴してからブラウザのページを閉じるなり戻るなりしてください。


そして『スラムダンク』のアニメ第1期OP曲といえば、今や日本国内においてバスケというスポーツを象徴する楽曲にもなっているBAADの『君が好きだと叫びたい』。ちなみにBAADというバンド名はプロデューサーに命名されたようで「最上級のBAD」という意味らしいです(縁起悪くないか…??)


しかしBAADの解散はもとより、ボーカルの山田恭二氏が早々にバンドから脱退および引退してしまったために歴史上の名曲になっていたが、2022年12月に『THE FIRST SLAM DUNK』が公開されて間もなく一切のメディア出演を絶っていた元BAADボーカル山田氏が突然、雑誌のインタビューに応じたのだ…!

音楽から身をひこうと決めた29歳の頃、決めた以上は一線をひいて、表にはなるべく出ないように心がけてきました。
ただ、ここ最近になって、苦しい気持ちが薄れ、また音楽に気持ちが向かうようになってきました。それと期を同じくして、『THE FIRST SLAM DUNK』公開が決まって、また音楽に呼び戻されているような不思議な縁を感じています。 『SLAM DUNK』と、今も『君が好きだと叫びたい』を好きでいてくれる方たちには感謝しかありません。

完全に行方をくらましていたため、27,8年ぶりの登場にビーイングファンの間でもちょっとした事件に。それが伏線となっていたのか知らないが、2023年5月に行われた音楽イベントにボーカル山田がゲスト出演し、BAAD時代の楽曲を計8曲生披露。

フィンガー5の人がいる!?いや、ギターの大田さんです。

子育てなどが一段落して今一度自分のことに向き合えるようになった時…『THE FIRST SLAM DUNK』の公開が決まり…雑誌からインタビューのオファーが来て…様々なタイミングが運良くハマって山田は復帰に至ったのだろう。スラダンアーティスト達、それぞれに色んな30年があって、今こうして戻ってきてくれるのは率直に言って喜ばしいです。

更にはBAADの過去曲がサブスク解禁されるなど、止まっていた時計が一気に動き出しています。山田自身、表舞台から離れて久しいため本格的な始動はまだ先になるだろうが、30年前のコンテンツである『スラムダンク』やWANDSが現代でもウケているのだからBAADもきっと通用するはず。上杉みたく中国のジャパニーズアニソンフェスなんかに出演してどんどん外貨を得て欲しいです。



兎にも角にも、スラムダンクのみならずスラムダンクのアニメ主題歌までもが、それぞれの想いを胸に“THE FIRST”として蘇り、新しいスタートを切った、そんな2023年。

皆さんも『THE FIRST SLAM DUNK』のみならず、「“THE FIRST “スラムダンクのアニメ主題歌」を歌っていたアーティストたちの楽曲を、風邪で学校休んで午前中にNHKのEテレをただ何となく見てしまっているぐらい暇な時でもいいので、耳を傾けてみては如何でしょうか???

病室の安西先生にインターハイ出場を報告するシーンで流れるBAAD珠玉の名曲!



(※今回も作中のニュアンスを重視し敬称略で書かせていただきました。目くじらを立てられることなく、ご了承いただきますようお願い申し上げます。)

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