脳と腸について 宮古島のきわめて健康コラム vol.151


腸が元気ならば脳は機嫌よくいられて、あなたの健康を守ってくれます。
腸と脳は互いに補い合う対等な臓器です。腸が自律神経を整える驚きの関係と、理想の腸の状態、健腸のメリットを順天堂大学医学部教授、小林弘幸さんのお話。
腸が元気ならば脳は機嫌よくいられて、あなたの健康を守ってくれます。


脳と腸は常に情報交換をしている特別な仲!

脳が腸を管理していると考えられがちですが、腸の情報なしに脳は力を発揮できません。互いに支え合う関係です。
腸の調子が悪くなる原因は冷え、細菌感染などさまざまです。でも、病気ではないけれど、いつも腸の調子が悪いという人がいます。その腸の不調の原因は何でしょう?

ずばり自律神経の乱れが原因ですね。交感神経が優位に傾いて、消化に手が回らなかったり、消化器官の血流が悪くなっているのです。

自律神経という言葉、よく聞きますが、どんな働きをしているのかよくわかりません。
「心拍や消化など、人間の意思に左右されずに体を動かすのが自律神経です。交感神経と副交感神経があり、体が緊張モードと休息モードを行き来するように調整しています」


交感神経は活動のための神経で、体が緊張した状態です。呼吸が浅く、心拍も高まり、状況にすぐに対応できる戦う態勢といえます。逆に副交感神経はリラックスモード。深い呼吸で体温も下がって眠くなり、体を休め、細胞を再生したり、消化を行う状態です(下「自律神経のバランスと体」参照)。
交感神経と副交感神経の切り替えが体調を左右します。2つがしっかりと切り替わり、どちらも十分に働くのが理想。どちらかに偏ると、体はトラブルを起こします。やっかいなのは、脳のコントロールによって睡眠中も影響を受ける神経なので、自分の意思でどうにもならない点です」
だから自律神経を整えるさまざまな方法が話題になるわけです。

自律神経のバランスと体
●交感神経優位
[呼吸]浅く速い呼吸になる。
[血圧]血管が収縮し、上がる。
[消化機能]抑制。
[免疫力]高まる。

●副交感神経優位
[呼吸]ゆっくり深い呼吸になる。
[血圧]血管が拡張し、下がる。
[消化機能]促進。
[免疫力]低くなる。

脳は第二の腸、脳への情報で 自律神経のバランスをとる。

「現代生活では交感神経が優位になりがちで、そのために、よく眠れない人、体のサイクルが乱れてしまっている人が多い。それで副交感神経に依存する消化器に不調が出てくるのです。便秘外来で腸の調子が悪い人を診ていると、不規則な生活が原因と思われる人が少なくないですね」
自律神経の状態は大本の脳が管理していると考える方も多いですが、そうとも限らないのです。最近では体の各部から脳に送られる情報で、脳の状況が左右されることがわかってきています。なかでも腸と脳は強いきずなで結ばれていて、腸の異変が脳の不安を引き起こすこともわかっています。これはほかの臓器では見られないことで、それだけ腸と脳は特別な関係なんです」
それが脳腸相関と呼ばれるもので、「腸はよく『第二の脳』といわれますが、実は『脳が第二の腸』です。


腸のコンディションをよくすれば、脳がその情報を受け取り、自律神経が整うということも証明されています。『栄養を吸収し、老廃物を排泄する生命の要の腸の調子がいい』とわかると脳が安心し、ほかのことに手が回るわけです」
腸の調子を整えれば、自律神経のバランスがよくなり、健康な生活が送れるのです。

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