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さすが日本人!計画的!とベトナム人の友人に言われた話

世界各国の物書きでまわすリレーエッセイ企画「日本にいないエッセイストクラブ」。12回目のテーマは「自分は日本人だなと思った話」。ハッシュタグは #日本にいないエッセイストクラブ 、メンバー以外の方もお気軽にご参加を!過去のラインナップは随時まとめてあるマガジンをご覧ください。

自分は日本人だなと思った話。

このテーマでこれから文章を書く訳だけど、自分の前にアルゼンチン在住の奥川さんとベルリン(ドイツ)在住のベルリン酒場探検隊・久保田さんが書かれていて、どちらもどちらでとってもおもしろかったので触れたいです。

奥川さんは「イネムリ」こと居眠りが好きだということ。アルゼンチンにはシエスタ(太陽が高い時間帯に2~3時間眠る生活習慣)があるんだけど、奥川さんが書斎で居眠りをしているとアルゼンチン人の奥様に「眠たいならベッドで眠ればいいじゃない」と言われるという。

ハッとした。そうか、居眠りって、ガチ昼寝がある国からするとふしぎな習慣かと。少なくともシエスタのあるアルゼンチンはじめラテンの多くの国では理解しづらいのかもしれない。私が東京で働いていた頃、昼休み同僚たちがデスクに突っ伏して寝ていたが、あれはきっと異様な光景に映るだろう。

アルゼンチン人ではなく日本人にとって例えるなら、どんな話になるろう。ブラジルの話だっけ、内装がカラフルでないとその飲食店に入る気がしないと聞いたのは。場合によっては、味よりも内装を優先するとすら聞いた。日本でなら、「味さえよければ内装なんてどうでもいい」という人はいても、「内装さえよければ味なんてどうでもいい」という人は少数派な気がする。

そしてベルリンにいらっしゃる久保田さんの話では、現地人からすれば日本人である前にアジア人であり、周りからは「タイに旅行したことがある」「おすすめの中華料理店は」と聞かれるという。そりゃそうなるか。そこで「ビールにつまみがほしい」というのが日本人を感じるところとのこと。

アルゼンチンは居眠り=昼寝する間もないほど忙しい(?)、ベルリンは酒につまみ=食へのこだわり、と、どちらもどちらでその背景は日本を象徴するエピソードだな~と思った。と、人様のエッセイにああだこうだという前に水嶋お前のエピソードはどないやねんというと、ちょっと今から考える。

…。

……。

………。

あ、あった。

自分が感じたというよりも、ベトナム人の友人から言われた話。

もう7,8年前かな、カフェで友人に今後の計画を話していた。今こうして、次はあれやって、来年はこんなことをしていくんだよ。それを聞いた友人は、「さすが日本人だね。ベトナム人はそんな先まで考えない」と言ったのだ。

その子は奨学金で日本の国立大学に留学した、超優秀な子だっただけに「それ、あなたが言うの!?」とびっくらこいた。いったんその「さすが日本人」という言葉を飲み込んだものの、計画性が日本人の国民性なら、ぶっちゃけもっと明るい未来になってないかい?と悶々と、頭から離れなかった。

それで思ったんだよな。そういえば、ベトナムには老舗の店が極端に少ないという。50年続けばかなり長い方で、それは韓国でもそうだと聞いた。理由は戦争。ベトナムは近世まで、中国、フランス、アメリカなどなどずっと大国と争ったり、巻き込まれたり。そういう訳で50年を超えて長く続いている老舗がなく、時代によっては明日どころか今日のご飯の確保も大変だった。

一方で日本も戦争は挟んでいるけど、老舗がどこもかしこも全滅するほどの規模で焦土化はしてなくて、何なら少し前の江戸時代では300年以上続いた太平の世を経験している。そんなスパンで平和が続いたものだから、現実はともかく心のどこかで大丈夫だと思っている。のかなと思いました。

友人が何の気なしに言った「日本人の計画性」の背景には、そうした不安のない安定した社会があったんだろうなーと思った。ただ、それもこれまでちゃうかというところで。安心安全に裏打ちされた計画には、どうも予測不能なトラブルにめちゃくちゃ弱くて、それは計画と呼べるのか?と思うけど。

いずれにしろ。そのときから「国民性は歴史の結果」と思うようになった。個人で考えてもそうなのだから、当然の話だけども。

なんか、振り返るとくそまじめな内容になってしまいました。

バトンは森野バクさんにお渡しします~!
前回のエッセイはこちら!

こちら、めちゃくちゃ情報量たっぷりの内容でしたね。多民族国家マレーシアの民族衣装、つまりはさまざまな民族衣装を紹介されています。

私も昔ベトナムで男性用アオザイをオーダーメイドしたんですが、実家のどこかに眠っております。たぶん。ホーチミン市郊外にはアオザイ博物館があるんですが、著名人や王族が着たものが展示されており、めちゃくちゃ見応えありますよ。ビビるくらい郊外にあるけど。下記はマップです。


ぜんぶうまい棒につぎこみます