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2013年からもう7年も経ったんだっていう話〜Joy!!と恋するフォーチュンクッキー考察〜

まるで小泉進次郎構文のようなタイトルで久々の更新失礼します。まーちゃろです。

2013年から7年が経った

リーマンショックによる不景気や東日本大震災に始まる激動が続くも一筋の光が仄かに見えた年、それが2013年。

2020年のオリンピックが東京に決まり日本中が歓喜に沸き、
前年12月に内閣総理大臣に就任した安倍総理がアベノミクスを始動。
また、富士山の世界文化遺産に登録、あまちゃんフィーバー、ふなっしーブームなど地域が注目されるようになります。

しかし12月に特定秘密保護法案の成立や北朝鮮の3度目の核実験といった国民の不安を煽るような出来事もありました。

この2013年は、東日本の震災から2年が経ち不安はありつつも、徐々に人々が前を向き明るい気持ちを取り戻して、未来へ胸をときめかせた時代でした。

結局Joy!!は泡沫のひとときだった

震災直後は陸前高田の奇跡の一本松のような不安の中に明るさや期待を見つける傾向があったが、2013年は明るさの中に不安をちらつかせる傾向がよく見られた。
それはJ-POPにも同じことが言える。
SMAPの『Joy!!』とAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』がその代表である。

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『Joy!!』はSMAPの記念すべき50枚目シングル。
『世界に一つだけの花』のミリオンヒット後、『そっときゅっと』といった大切な人への想いを綴った大人なラブソングや『Moment』といった頑張る人への応援歌がシングル曲の主となったSMAPにとって久々のアップチューン。

無駄なことを一緒にしよう忘れかけてた魔法とはつまりJoy!!Joy!!
というとにかく明るく楽しくみんなで歌って踊ろう!というメッセージが込められた曲は1996年の『SHAKE』以来。
しかし明るい曲調ではあるもののバブル最後の打ち上げ花火のような曲である『SHAKE』に対して、『Joy!!』はAメロとBメロにどこか閉塞感があるのだ。

【1番】
夜は付き合い ためらい 呑めない
だらけで渦巻く 誘惑 泣く泣く
矛盾に寄り添う 逃げそう ダメそう
自分が嫌になっちゃったなら
【2番】
昼も付き合い 馴れ合い やめたい
だらけで取り巻く 思惑 なんとなく
もやもや怖気づいて助け求める術探し中

夜に開催される会社の飲み会に下戸にも関わらず断ることが出来ず参加し、同期の野望や上司の過去の栄光話を聞きたくもないのに聞かされる。
でも笑顔で受け流して酒も平気な振りをする自分と、帰って気楽に自由になりたい自分。
そんな矛盾と生きてるけどそんな自分にも限界。逃げ出して辞めたいけど、行動することが出来ないから誰かに助けを求めてほしい。
そんな"自分"の忘れかけてた魔法が"Joy"すること。しかしその"Joy"はあくまでも魔法なのである。
だから最後の歌詞は

あの頃の僕らに今夜だけでもいいから朝までJoy!Joy!
なのである。今夜だけなのである。結局また元のつまらない日常に戻らなければならない。それが明るさの中に見える辛さなのである。

それでも、未来は明るいと信じたかった

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AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』は選抜総選挙で初の首位に立った指原莉乃をセンターに迎えたシングル曲で、前田敦子が卒業しブームに陰りが見え始めた頃に発売されるも大ヒットし、AKB48の代表曲にもなった。

誰もが踊りやすい振り付けも注目が集まり、サイバーエージェンシーや神奈川県庁といった企業が踊ってみた動画を公開した。

しかしそんな恋チュンも未来を全肯定していない。
未来はそんな悪くない人生捨てたもんじゃない、と歌っている。
1999年にモーニング娘。が『LOVEマシーン』で"日本の未来は世界が羨む"と未来を全肯定しているのに比べて、そこから14年が経つと"未来はそんな悪くないよ"と70%ぐらいしか肯定していないのだ。
若者のパワーに溢れた1999年から「ゆとり世代」そして「さとり世代」を迎え、もう2010年代にはLOVEマシーンが描いた未来が決して世界が羨むようなものではないことが分かっていた。
だから未来もきっと良いものではないが、ほんの少しだけでも自分がこれから生きる未来を肯定したいから"そんな悪くない"というフレーズになったのだろう。

2013年の2020年は輝いて見えた

2013年の出来事は2020年に繋がる。
前述の通り2020年に東京のオリンピック開催が決まったのは2013年だし、2013年にアベノミクスで景気回復の兆しを見せた安倍晋三は2020年に辞職した。
2013年の人々は2020年に熱烈な期待を寄せてた。寄せ過ぎていた。2020年に2010年代の全てを集約しすぎていた。
この7年でSMAPは解散し、木村拓哉以外はジャニーズ事務所を辞め、恋チュンの選抜メンバーは殆ど卒業した。

未来はそんなに良くもないし、楽しいのは今夜よりもっと短い時間なのかもしれない。
それでも人はそんな世の中で自分を鼓舞するために、明るい歌を求めているのだろう。





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