寝子屋 木天蓼

1987年霜月生まれ。鎌倉在住の小説家。2009年10月に文芸社ビジュアルアートから処女作「巍峡国史伝」を発表。中学生から執筆活動を始めた。

寝子屋 木天蓼

1987年霜月生まれ。鎌倉在住の小説家。2009年10月に文芸社ビジュアルアートから処女作「巍峡国史伝」を発表。中学生から執筆活動を始めた。

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    • 【壱ノ怪】

      第一弾、星月ノ井、千年の刻待ち人◎10話まで無料公開◎ 教職に就く佐竹神楽は冬休みに入り、いつも通りの生活をしようとするが、怪異やお稲荷の少女に出くわし、人の人生を神に奉納する「華絵巻師」にならなくてはいけなくなるのだが…。 ホラーとミステリー。ファンタジーと恋愛も含んだ、長編小説第一弾、鎌倉を舞台とした奇譚の物語に誘います。

    • 寝子屋のお茶室

      鎌倉の出来事、奇怪な出来事、奇跡的な出来事をはじめ、お茶の間でお話しするようにまったりをお話するお部屋。感謝の言葉、ご連絡、お笑いの共有(笑)などはこちらでしたいと思います(=゚ω゚)

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    【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(終)

    完:かぐら、はじまる 夜闇に沈んだ山道を、 こうして歩くと良く分かる。 闇の中に生きる者達の生活と、 その領域が…。 そして、その中でも上下関係が有り、 下の者はその領域を決して侵さないという 暗黙の掟が。 あの鴛鴦(おしどり)の宴が終わり、家族は 全員神に見守られる中、天へ行った。 手を振り、振り返り、振り返りこちらを見て、 笑いながら全員手を繋いで光の中を逝った。 あの長男弥太郎という子供は、 約束通りキヘイを肩車して歩いてやっていた。 その幸せそうなキヘ

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      • 【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(23)

        終章:かぐら、刻待ち人と宴す 『キヘイ…?キヘイなのかい…?』 母親がそう問いかけるのも無理はない。 とても5歳児の表情ではない。 恨みつらみがあり、憎しみに塗れた大人のような、 まるで般若のような顔をしている。 顔色も悪い上に、上から下まで汚れで黒い。 髪もやや長くぼさぼさだ。 5歳児の男の子ではなく、完全に小さな妖怪だ。 未だに家族はその禍々しさに近づけないでいる。 が、イナだけがニコニコと彼に抱き着いている。 彼の手がイナを抱きしめている事だけが、救いだった。

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        • 【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(22)

          終章:かぐら、刻待ち人と宴す 成就院にお参りに行った。 と、いうより他の兄弟を探すことにした。 一番下の妹か、下から二番目の弟あたりがいいだろうと目星をつけている。 これまでの事をまとめたパワポ資料をタブレット端末へ送信してあったので、改めて見返してみてからそう結論を出した。 一番下の妹と、下から二番目の弟はここ、鎌倉入りした可能性が高い。 もしくは、最後までこの怨霊と化した長男と一緒にいた可能性が高い。 なので、付近の寺院の誰かが知らないか? そう思って門を潜ってはい

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          • 【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(21)

            21:かぐら、玉響に涙す “死者と話すことができないか?” 自分の言葉に小舞千さんは力強く頷いてくれた。 全部話すとは限らないが、重要な手がかりはきっと話してくれるはずだ。と。 何かが抜け落ちている。 彼らにとって重要な何かが。 そのキーワードが回収できなければ、 あるいは、何かキーになる行動を起こさなければ、 次のストーリーに進めない。 RPGならば・・・ゲームならそうだ。 それがなければ先に進めない。 不自然な点を探す。 正に、RPGの基礎だ。 小舞千さんは

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          • 【壱ノ怪】

            • 24本

            第一弾、星月ノ井、千年の刻待ち人◎10話まで無料公開◎ 教職に就く佐竹神楽は冬休みに入り、いつも通りの生活をしようとするが、怪異やお稲荷の少女に出くわし、人の人生を神に奉納する「華絵巻師」にならなくてはいけなくなるのだが…。 ホラーとミステリー。ファンタジーと恋愛も含んだ、長編小説第一弾、鎌倉を舞台とした奇譚の物語に誘います。

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            鎌倉の出来事、奇怪な出来事、奇跡的な出来事をはじめ、お茶の間でお話しするようにまったりをお話するお部屋。感謝の言葉、ご連絡、お笑いの共有(笑)などはこちらでしたいと思います(=゚ω゚)

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            第一弾、星月ノ井、千年の刻待ち人◎10話まで無料公開◎ 教職に就く佐竹神楽は冬休みに入り、いつも通りの生活をしようとするが、怪異やお稲荷の少女に出くわし、人の人生を神に奉納する「華絵巻師」にならなくてはいけなくなるのだが…。 ホラーとミステリー。ファンタジーと恋愛も含んだ、長編小説第一弾、鎌倉を舞台とした奇譚の物語に誘います。

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            • 【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(20)

              20:かぐら、玉響に涙す とうとう。 とうとうだ。 自分の冬休みは今日で別れを告げる。 自分の冬休みの計画といえば、とりあえず一日目はゲーム三昧。 それから翌日には新学期の準備を猛烈な勢いでして、 それからあとはもう・・・ 家から一歩も出ずに新しいゲームをやりこんで、ブログにも書き込んで、 仲間内とチャットオフ会して、美味いもん鱈腹食べて・・・ 満喫!! するはずだった。 するはずだったんだ。 それが・・・ホラーに次ぐホラー。 悪鬼、魑魅魍魎、怨霊と

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              • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(19)

                19:かぐら、玉響に涙す 「待て。様子がおかしい」 烏天狗が全員をそう言って止めた。 「は?何がだ?」 クラブ顧問は新聞部、職員球技大会ではなんとか参考書を読み漁って知識を叩き込み勝ち取る審判役、体育祭は先輩に花を持たせるふりをして適当。 学生時代からゲーム三昧の体が悲鳴を上げている。 中学の頃の先輩に誘われて仕方なくやった高校のサッカー部だけが唯一自分の体の基礎を作り上げている。 あれはしんどかった。 何がしんどいって、モテる上に運動神経があり、勉強もできる奴らと

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                • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(18)

                  18:かぐら、玉響に涙す また、長谷に来てしまった。 星月の井とはインターネットによると 極楽寺切通ののぼり口に虚空蔵堂(こくうぞうどう)が一段と高いところあり、そのお堂の手前の道の脇に井戸がある。この井戸が「星月夜の井」(ほしずきよるのい)または「星の井」あるいは「星月の井」とも云われている鎌倉十井の一つである。星月夜の井 新編鎌倉志に次のように述べています。  「昔はこの井戸の中に、昼でも星の影が見えたのでこの名が付けられた。 ある日、近所の人が誤って包丁を井戸の中に

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                  • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(17)

                    17:かぐら、玉響に涙す 材木座「きこり食堂」 ここは鎌倉も地元民が主に利用しているレストランだと小舞千さんが言う。 ここのテラスからは材木座海岸が一望出来て中々穴場なスポットなのだとか。 確かに。 景色はかなり綺麗だし、中々に広い。 しかも、料理は1300円ほどで全部のせとかいう、海・山の幸とお肉が豪華に乗ったプレートが切株に乗ってくるから唖然とした。 山盛りのプレートに、それを乗せる切株の重さたるや凄いだろうと、従業員さんも尊敬した。 何かコツがあるのだろう。

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                    • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(16)

                      16:かぐら、玉響に涙す 睦月5日。 冬休み終了まであと2日。 学校は他の世界と違って、今が年末のようなものだ。 3月が卒業。4月が入学。 1月から3月にかけてがワンクールの中で最も忙しいと言われている。 普段もほぼ休みなく働いているというのに、更に忙しいなんてどうかしている。 子供たちは勿論可愛いが、ブラック企業の最たるものを教師が見せてしまってどうするんだという話だ。 新学期始まって夏まで部活などを含めて休日が無いという人もいる。 それが学校では当たり前に行われている

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                      • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(15)

                        15:かぐら、玉響に涙す 目が覚めた。 目が覚めた? 何だか体中が痛い。 重くて動かないし、熱があるみたいにだるい。 右側から明るい陽射しが差し込んでいる。 どうやら障子一杯に光がこの部屋に注がれているらしい。 まるで軽井沢かどこかのリゾートのように鳥の歌が美しく部屋に響き渡っている。 ―東京じゃ・・・ないな。 それは、1%しか働いてない頭でも瞬時に分かった。 東京はこんな風に美しいものを朝から感じられる場所なんて極々、極々一部だ。皆灰色の中のたうち回ってい

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                        • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(14)

                          14:かぐら、陰陽に踊る 「こ、これは・・・ッ?!」 外に出るなり小舞千が険しい顔になる。 今まで見たことが無いほどの険しい顔だ。 『小舞千は面を被れ。神楽はそのままで良いぞ』 どこからか先ほどの神様の声が聞こえる。 “どこからか”ではなく、 “耳元から”でもない。 “体の芯に直接強烈に響き渡る”と、言ったほうがいいかもしれない。 しかし、長野県の諏訪大社といえば、日本で知らない人がいるとしたら日本人のもぐりか、相当日本に興味が無いかだろう。 普通名前ぐらい知ってい

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                          • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(13)

                            13:かぐら、陰陽に踊る 「さて、おいでなすったようだな。藍子。小舞千。神楽君をよろしくな」 「ええ」 「うん」 少しのツマミと酒で散々話していた益興(ますおき)はいつのまにか酒を飲み干してどこか天井の向こうを見ながら立ち上がって、いたって普通に彼女たちに声をかけた。 そして、当たり前のように彼女たちは返事をして藍子さんは自分の左斜め後ろ、小舞千は自分の右斜め前で益興(ますおき)さんと同じ方向を見ている。 狐少女はそのままテーブルで酒と甘味という、激烈に合わないツマミで

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                            • 枠(わく)って、何だろうか?

                              枠って何だろうか? 固定観念とも言う。 偏見とも言う。 過程の教育も枠。 地域の雰囲気や文化も枠。 女性や男性という性別も枠だなぁ…。 カテゴライズ、枠(わく)。日本人大好きですよね。 もちろん、全部悪いこととは思ってない。 枠が無ければ無秩序で、使い分けや言い分けることができないし、 人間の文化的に不便すぎる。 枠(カテゴライズ)が面白いこともある。 動物図鑑だとか、サッカーのそれぞれのチームだったりとか。 だけど、使い方を間違えると苦しむことになる。 自分にかけ

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                              • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(12)

                                12:かぐら、陰陽に踊る 「益興さん、藍子さん、こんばん…」 「おお!待っていたぞ神楽君!!さ!早くこちらへ」 鎌倉雪の下の小笠原家に再びお邪魔して、少々緊張をしながら門を潜った。玄関は明かりがついていて、待ってましたとばかりに小舞千の祖父母の小笠原益興(ますおき)と藍子(あいこ)が居間から廊下へ飛び出してきた。 藍子さんは焦りと不安で心配げに出てきたが、自分を始めとした一向が無事であると分かると“ほっ”と胸を撫でおろし、涙ぐみながらも微笑んでくれた。 益興はというと、

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                                • Kagura古都鎌倉奇譚【壱ノ怪】星月ノ井、千年の刻待ち人(11)

                                  11:かぐら、陰陽に踊る 今、自宅の時計を見ると17時35分だ。 いつの間にそんなに寝てしまったのだろうかと思う。 体の倦怠感と、大量の寝汗が冷えたことによる不快感が、 さきほどの悪夢の後味の悪さと共にずっしりと頭痛と共にのしかかってくる。 「しかし、もう夢から入ってくるとは…。宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)と弁財天様に私が上からの委細を聞いて間もないではないか」 「委細が聞けたのか」 「ああ。やはり、あれじゃ。そしてそれがちと面倒になっておる。陰陽に分かれてしま

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                                    10:かぐら、陰陽に踊る 「おーい。神楽。いいのか?お前」 暫く黙っていた烏天狗が自分の背後から声を掛けて来る。 念願のゲームが今まさにできていて、ゲーマーたちの間ではほぼ周回遅れであろうこの事態を収取すべく、取り憑かれたようにRPGゲームをしている。 自分の家で。 食料もしこたま買って、引きこもりになる気満々でゆったりとやっているのに…。昨日家に帰ってから狐少女は口うるさく「戻れ」と言うし、この烏天狗は時折憐れそうな目をしてくるし、膝には犬猫のように当たり前の如く蒼

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