桜賀和 愛美

1987年霜月生まれ。鎌倉在住の霊能者兼小説家。2009年10月に文芸社ビジュアルアー…

桜賀和 愛美

1987年霜月生まれ。鎌倉在住の霊能者兼小説家。2009年10月に文芸社ビジュアルアートから処女作「巍峡国史伝」を発表。中学生から執筆活動を始めた。2021年「霊能者鎌倉物語」kindle著書カテゴリー1位取得

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  • 巍峡国史伝

    光の春、如月。麗らかな日差しの裏で全ては動き出していた。 古の御伽噺に隠された真実。明らかになったもう一つの世界の存在。三大神、四季の姫、四季の守護者、高精霊らが七千年の戦いと全ての狂いに終止符を打たんとする中に、1人の少女が立っていた。 人として育った彼女は、突然この日を境に皆から神々が生んだ最高神「犬御神」と呼ばれるようになり、濁流の中心となってしまう…。

  • 【壱ノ怪】

    第一弾、星月ノ井、千年の刻待ち人◎10話まで無料公開◎ 教職に就く佐竹神楽は冬休みに入り、いつも通りの生活をしようとするが、怪異やお稲荷の少女に出くわし、人の人生を神に奉納する「華絵巻師」にならなくてはいけなくなるのだが…。 ホラーとミステリー。ファンタジーと恋愛も含んだ、長編小説第一弾、鎌倉を舞台とした奇譚の物語に誘います。

最近の記事

​#23【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

​■前回のあらすじ■ ​ ​大地の女神安寧(あんねい)の思惑により危ない所を、秋の七草より既(すんで)の所で命拾いした ​冬の地の守護者黒冬(こくとう)は、その足で冬の姫、うつ田姫の屋敷に連れてこられた。 ​ ​ ​黒冬は息つく間もなく、秋の七草の一人藤袴に事の経緯を話した。 ​ ​まだ混乱している黒冬は、事の大きさと、結局聞いた事態をどうするのか不透明な事に焦りから苛立ちを感じ始める。 ​ ​特に彼と同じ、本来戦力になるであろう五天布(ごてんふ)は総勢五名いるというのに、

    • ​#22【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

      ​ ■前回のあらすじ■ ​ ​冬の地維摩(ゆいま)のうつ田姫の屋敷に、秋の七草に誘われ一人の男がやってきた。 ​ ​彼は、冬の地の守護者、五天布(ごてんふ)の黒冬(こくとう)だと、秋の七草の一人藤袴(とうく)が紹介をする。 ​ ​黒冬は「私を騙し、安寧殿の招集を妨げる理由を問おう」と、厳しい口調で言った。 ​ ​千蘇我(ちそが)を混沌に叩き込んだ、大地の女神である安寧(あんねい)は、大変に言葉巧みで、真実をうやむやにする事に優れていた。 ​そういったところでも彼女は千蘇我

      • #21【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

        ​​ ■前回のあらすじ■ ​ ​冬の地維摩(ゆいま)のうつ田姫の屋敷に、維摩の王颪王(おろしおう)と、秋の七草の一部、蒲公英はいた。 ​ ​天変地異が激しくなってから数か月、四季を司る姫達はなるべく外に出ないように努めており、うつ田姫は特に屋敷に引きこもっていた。 ​ ​颪王と秋の七草藤袴(とうく)は屋敷に来た狙いがありながらも、安寧の動向について訝しんでいた。表立って安寧の思想に拒否を示したというのに、何もしてこないという事はどういうことなのか?と。 ​ ​更に思い出す

        • ​#20【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ ​ ​「五天布(ごてんふ)の魂の呪縛を解放する」 ​ ​蓮華は白天社から少し離れた竹林の奥深く、自らの師匠である十重布(じじゅうふ)の臥待(ふしまち)に告げる。 ​ ​母子山(ぼしざん)の白天社(はくてんしゃ)から安寧(あんねい)が居なくなり十四日。 ​その間蓮華は異能により、この地がどうなっているのか、蒲公英(ほくよう)がどうなっているのか、この先何が起こるのかを知る。 ​ ​そして、蒲公英をまず助けるために、今まだ本当の力を封印され発揮できていない

        ​#23【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

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        • 巍峡国史伝
          桜賀和 愛美
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          ​#19【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ ​ ​蒲公英(ほくよう)が冬の地、維摩(ゆいま)の夜鏡城(やけいじょう)で颪王の庇護下にある時。蒲公英が寝起きしていた母子山(ぼしざん)白天社(はくてんしゃ)でも暗雲が立ち込めていた。 ​ ​白天社では大地の女神安寧(あんねい)が居なくなってから早二週間が経過していた。 ​ ​白天社を運営している十重布(じじゅうふ)達は気が付きながらもその詳しい所は良く分かっておらず、弟子達にも事の仔細をまだ伝えられていない状態であった。 ​ ​安寧がおらずとも白天社の

          ​#19【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#18【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ ​ ​五天布(ごてんふ)の1人、秋の守護者である白秋(はくしゅう)と急な別れをした蒲公英(ほくよう)。 ​ ​目上と思っていた神の領域と言われる人物に「主」と言われ、蒲公英を救うために一人動くと宣言された。 ​ ​嵐のような展開に着いて行けずにいると、入れ違いに現れたのは、冬の地維摩(ゆいま)を治める、夜鏡城の主にして、冬の四季の姫であるうつ田姫の父、颪王(おろしおう)だった。 ​ ​彼とたわいない話しをしつつも、次第に内容は白秋から今の騒動の話しになっ

          ​#18【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#17【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ ​​冬の維摩の地、夜鏡城(やけいじょう)地下での会議を切り上げた蒲公英(ほくよう)は自室で休んだ後、冬の地久々の晴れ間の出る朝を迎えた。 ​ ​初めて母子山(ぼしざん)にある白天社(はくてんしゃ)以外で寝泊りをする事になった蒲公英は、起き抜けに暫くぼーっとしていたが、着替えて屋根に登り、昨日の事とこれからの事を考える事にした。 ​ ​すると、秋の守護者、白秋(はくしゅう)が朝早くから同じく庭に出てきており、挨拶を交わす。 しかし、白秋はいつも通りの顔で

          ​#17【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#16【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​ ■前回のあらすじ■ ​ ​大地の女神である安寧(あんねい)に呼び出された、四方の四季の地を守る五天布(ごてんふ)と蒲公英。 ​ ​ ​それを、蒲公英は冬の地を治める颪王(おろしおう)と、四季の姫であるうつ田姫、それから、秋の七草達に静止された。 ​ ​ ​冬の地、維摩(ゆいま)の夜鏡城にて保護された蒲公英は、安寧が千蘇我(ちそが)の地にて、地獄の地盤と御伽草子で言われていた地上と諍いを起こす可能性があり、更には今現在、安寧が呼び出した者の命を使う事が予想されるという話

          ​#16【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          #15【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ ​ ​夜鏡城(やけいじょう)の会議の後、秋の地の守護者である五天布(ごてんふ)の白秋(はくしゅう)に呼ばれ、蒲公英(ほくよう)は彼のいる客間にやってくる。 ​ ​夜も更けた冬の維摩(ゆいま)の地はとても寒く、二人は囲炉裏の傍で話しをする。​その話しは衝撃的なものだった。 ​ ​下界との干渉で天変地異が起きている事が問題な千蘇我(ちそが)の地。 ​実はそれ以外にも問題が発生しており、特にここ維摩の地は大地の女神である安寧(あんねい)に表立って反旗を翻した国

          #15【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#14【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ ​ ​春の七草の精霊の1人、繁縷(はこべら)によって、会議に用いる古い重要書類をことごとくだめにされた秋の七草の精霊藤袴(とうく)は、頭に入れている限りの事で話し出す。 ​ ​ ​地上を創り上げた犬御神(いぬみかみ)は、先の御伽草子での戦いで突然現れ、女神である安寧(あんねい)の側に立ち、麒麟や龍に続く神々を焼き尽くしたと書かれていた。 ​ ​ ​犬御神の力も、破壊と創造という二つの矛盾する力を有しており、詳細な解読は困難なものの、​これから起きる事の鍵

          ​#14【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#13【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​■前回のあらすじ■ ​ ​冬の維摩(ゆいま)の地、夜鏡城(やけいじょう)地下の白石でできた間。 ​ ​安寧(あんねい)の目を欺けるその場所で、古より伝え聞いたものの真実や、現在の状況が次々と明かされる。 ​ ​ ​千蘇我(ちそが)の地に古くから伝わる御伽草子の真実と思しき仮説。 ​大地の女神の真実。 ​天地創造の真実。 ​ ​ ​しかし、それと同時に謎も深まる。 ​ ​ ​春の七草の精、蘿蔔(すずしろ)の謎の行動。 ​安寧の別れ際の遺言のような言葉。 ​御伽草子から消され

          ​#13【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          #12【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ 冬の大地維摩(ゆいま)にある、夜鏡城は雪が降る中でも煌々と松明が燃え、昼間のように明るく、兵士達も活発に動いていた。 秋の七草の精霊朝顔(ちょうがん)と尾花(びか)の案内により、ひと際明るい部屋の前まで行くと、いつからそこに居たのか、寒空の下蒲公英を迎えようと待っていた冬の四季の姫「うつ田姫」が、蒲公英の姿を見るや、駆け寄り、無事を確認して安堵した。 うつ田姫は佐保姫と同じく、蒲公英の良く知る人物だった。 この母子山(ぼしざん)から蒲公英を冬の維摩

          #12【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#11【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​​※当時の編集者により誤字脱字があるまま発行された部分がある書籍なので、そのまま書いてしまった部分を後ほど訂正することがあります。今回その個所を発見しましたので、修正をさせて頂きます。今後もこのような事があるかと思います。ご不便をおかけいたしますが、何卒宜しくお願い致します。 ​ ​冬の大地 八朔(はっさく)の地(誤)→冬の大地 維摩(ゆいま)の地(正) ​ ​八朔は秋の土地の名前となります。 ​ ​上記を訂正させて頂きました。 ​■前回のあらすじ■ ​ ​安寧(あんね

          ​#11【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          #10【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​■前回のあらすじ■ ​ ​蘿蔔(すずしろ)が犬御神(いぬみかみ)と話し終えた後、直ぐに蒲公英(ほくよう)と蘿蔔の間に割って入って来たのは、秋の七草の精霊である朝顔(ちょうがん)だった。 ​ ​その後ろからは同じく秋の七草の尾花(びか)がやってきて、彼らは、「とある方の命により犬御神を保護する」と言う。 ​ ​蘿蔔が朝顔と一閃、刀を交えると蒲公英は尾花に連れられてこの場から消えていた。 ​ ​しかし、ほぼ神と同等の力を持つ蘿蔔はそれを見送り、尚且つ、戦いも継続せずに、一人残り

          #10【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#09【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ■前回のあらすじ■ ​ ​蒲公英(ほくよう)は息抜きでやって来た謡谷(うただに)で、見た目は青年の、齢(よわい)七千歳の精霊と鉢合う。 ​その精霊蘿蔔曰く、ある時から封印されていた自分を安寧が今、蘇らせてくれたのだと言う。 ​ ​彼の話の何もかもがきな臭く感じた蒲公英は警戒をしていたが、彼は落ち着いた様子でこの地の御伽草子「如月の祝典(きさらぎのしゅくてん)」を聞いたことがあるか?と聞いてきた。 ​ ​彼は、それが実は本当に起こった事であり、自分も当時その中に居た。 ​その

          ​#09【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​#08【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮

          ​■前回のあらすじ■ ​ ​蒲公英(ほくよう)は、どこまでも桜の山が続く、母子山(ぼしざん)の隣の謡谷(うただに)に一人向かった。 ​ ​ここには蒲公英は迷いなく来られるが、この地の別名は「死の森」と言われ、神をも迷わせる、一度入れば出られぬ森として有名な場所であった。 ​ ​蒲公英は悩み事があるといつもここに一人で来ては自問自答し、整理をしているが、今回の一連の出来事はとても消化できるものではなく、時が経つのも忘れ、悶々と考え込んでいた。 ​ ​いよいよ余計な事を考え始め

          ​#08【巍峡国史伝】天の章 伏せる月、ふるえる睡蓮