さかな
行く当てのない個人的な書き物です。
短い旅行記のようなもの。
* 学校から帰ると、家には四匹の熊がいた。三匹の小熊と一匹の母熊だった。熊たちは、は…
昨今、性的マイノリティやジェンダーの問題を語る言説を耳にしない日は少ないでしょう。この…
「緘黙――今日もどこかで……」 言うべき言葉はすべて頭の中にある。なんだったらそれを教…
「いつも 痛みの中を 生きている」 * 湯の沸騰した鍋の火を止めて、鍋に卵を家族分入…
以下の文章は2020年7月に執筆したものです。 * 「英雄を、謳うまい――ポストコロナに向…
* 先生が死んでからしばらくして、僕は独りで旅行に出た。彼女には、ただ旅行に出ること…
幕間 「アミ」 一葉の写真がある。少年がカメラを両手に抱えて、空を見上げている。私た…
4 誰もいないポートレート 最後にもう一枚。 雪原の写真だ。地平線まで広がる雪原で、…
3 それは、悪くない物語 クリーム色のソファ席に並んで座っている女が二人、カメラに向か…
2 いま、あなた、泣いていますよ もう一枚。これは実際に撮った写真だ。でも誰にも公表は…
「誰もいないポートレート」 1 僕はシャッターが押せない 一葉の写真がある。 男…
その古書店を訪れようと思ったことに、特段の理由があるわけじゃない。店主と顔見知りという…
「祝われる 愛される 愛する」 休みの日、昼食のあと台所で食後のコーヒーを淹れていると…
「『許されない』ということについて」 つい最近、オリンピック開会式のごたごた辞任解任劇…
「架空都市マイカタの探訪」 なんとなく思い出したのは、ショッピングセンターの階段の踊り…
「妻の髪――女性解放戦争実録」 妻が髪色を変える。まず色を抜いて、それから青に染めるの…